ライラの告白
ドレスの裾を握り締めて震えていることを悟られないようにライラは話し始めた。
「エイル、貴方にだけは自分から言っておくわ。私の国には王位を継ぐときに前王を殺してその血を体に取り込む風習があるの」
「体に取り込む?」
「ええ、飲むの」
「私は父を愛していたわ。だから敵兵が迫っていた時も出来ないと言ったわ。すると父は私の手に短剣を握らせてのどに突き刺したの」
「・・・」
エイルは黙ってライラの話に耳を傾けた。
「父の血を飲み不老長寿の力を手に入れたかもしれない私は穢れているわ」
「・・・」
「そんな罪深い私を貴方は愛せるというの?」
泣き出したライラの唇にエイルの唇が重なる。
「俺はー・・・俺の気持ちはそんな事じゃ変わらない」
「でも、私は・・・あなたと初めて会った時の私ではないかもしれないのに、それでも好きでいてくれてるの?」
その言葉を聞いたエイルはライラを強く抱きしめた。
「ライラはライラだ。あの優しかったライラのままだ。例え不老長寿になっていても俺は君を愛してる」
そしてエイルは自分の手を見た。
「俺の手もクリヴと同じように穢れている。こんな俺に触れられたくないか?」
ライラはエイルの手を握り締め、少し笑いながら言った。
「嫌じゃないわ。私たち、似ているわね」
くすくすと笑うライラ。でも目には涙を浮かべていた。
「じゃぁ、俺と婚約してくれるのか?」
ライラと同じ目線になるように身をかがめて尋ねられた。
「・・・ごめんなさい。まだ応えられない・・・もう少しして気持ちの整理がついてからでもいい?」
大事なことだ。ゆっくり考えて決めていきたいとライラはエイルに言った。
「そうか・・・気長に待つとするよ」
ぽんっとライラの頭を撫でて部屋から出て行った。