僕にとっては吉報だった
第2章「地球編」がここからはじまります。
ウサギたちと一緒に良介を見送った。
大丈夫。きっと笑えてた。笑顔で良介を送れたはずだ。
「これで、よかったんだよね。」
ボソッと呟いた。ウサギたちがまるで慰めるかのように僕の周りに集まってきた。
「みんないい子たちだね。」
ウサギたちに向かってクロルは微笑んだ。
「⁉︎」
1羽のウサギが僕の服の裾を引っ張った。
「どうしたの?」
ウサギを見るとその手には『クロルへ』と書かれた1通の手紙がにぎられていた。
数ヶ月。地球。
「良介さん!」
悠が慌ただしく研究実に入ってきた。月から帰ってきて早数ヶ月。俺はまた毎日のように宇宙船の開発やら点検やらで研究室にカンヅメになる日々が続いていた。
「どうした?そんなに慌てて。」
「ーました。」
「?」
「ーが、きました。」
悠は慌てるあまり何かを俺に伝えたいらしいが上手く喋れておらず、断片的にしか悠の言葉を聞き取ることが出来なかった。
「悠、落ち着け。何が来たって?」
「ールが、クロルが!」
「クロル⁉︎」
悠の口から出たのはつい数ヶ月前まで一緒に月で過ごした異星人の友の名前だった。
「クロルが!地球に来ました!」
『今、センター長室にいます。さっき、入っていくの見ました!』
「だから速く行ってください」と、「今ならまだ居るはずです」と、悠は俺に言った。
いろんな気持ちを抱きながらも俺はセンター長室へと向かった。