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一羽の少年  作者: らいこ
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「Hello」と鳴いた宇宙人

誰かの視線を感じる。

身体がふわふわしてる。

まるで宇宙にいるみたいだ。実際に行ったことなんてないけど。

なんだか暖かい。気温が高い?違う。なんか生き物が乗ってるような•••。


「ん•••。」

目を開けると目の前には一羽のウサギがこちらを見ていた。

「う•••さぎ?」

「あー‼︎」

自分とウサギしかいないと思っていた空間に大きな声が反響する。

声のした方を見る。

「気がついたんだね!」

高校生くらいだろうか、自分より年下くらいに見える少年がそこには立っていた。


「目が覚めてよかったよ。長い時間気を失ったままだったんだよ。」

「見ててくれてありがと〜。」と少年は俺のそばにいたウサギを撫でる。

「あんたは?」

理由はよくわからないが少し痛みのある身体を起こしながらそう尋ねた。

「寝てて大丈夫だよ。」

そう言いながら少年は俺の身体を再び寝かせた。

「僕はねー。んー。ウチュウジン?」

少年は少し首をかしげながらそう答えた。"宇宙人"?

「は?」

「君たちの言語では地球以外の惑星に住む者をそういうんだろ?」

"地球以外の惑星"。今、目の前にいる少年はそう言った。確かにそう言った。

ここは、地球ではない?じゃあここは一体どこなんだ?

「ここはね、月だよ。君たちが居た惑星とは違うところだ。」

「•••月?」

"月"。地球とは違う惑星。今、俺は月にいる?

「君は地球人だろ?月へはよく来ているみたいだけど、僕のいる所に来たのは君が初めてだ!」


「僕はクロル。」

「よろしくね」と言いながらクロルは笑った。


月で1人で暮らしているらしい。家族と言える生き物はここにいる大量のウサギたちのみ。

「月ではウサギが餅をついている」とは聞いたことがあったが、本当にウサギが住んでいるとは。

食事は主に自分で育てた野菜、中でもウサギたちの好物であるニンジンがメインになっているらしい。クロル自身もウサギたちの食事を優先していて畑で育てている野菜の大半はウサギの食事に消えるらしい。他の食材はマーケットのある他の惑星まで買いに行くらしいが、あいにく今この惑星にある船は壊れていて動かないらしい。


「まぁこれでも飲んで•••。」

クロルは黒い液体の入ったカップをテーブルの上に置いた。

「これは?」

「んー。」

クロルは少し考えてからこういった。

「"コーヒー"というヤツだよ。君の惑星では飲むんだろう?」

"コーヒー"。おそるおそるカップに口を付けて飲む。

「!おいしい。」

「ふふん」とクロルは得意げに笑った。

「地球と同じ味がする。」

ここで飲んだコーヒーは地球で俺が毎日のように飲んでいたのと同じ味がした。

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