今日も宇宙はそのままで
空はとても暗い。真っ暗闇だ。だが、ここから見える星1つ1つがとても美しく輝いている。ここから見える景色は全て宇宙。地球とは異なるこの惑星からは青い空は見えなかった。
「今日もいいお天気だねー。」
この惑星には少年が1人と
「ん?どうしたの?うん!今日もニンジンが沢山できて嬉しいねー。」
彼の周りを囲む大量のウサギたちが暮らしていた。
「今日は帰ってからスープにしようかな。あ、そろそろ買い物にも行かなきゃだな•••。あ、でも船が•••。」
この惑星には彼らしか住んでいない。食事に必要な物は自給自足するか大きなマーケットがある惑星まで行かなければいけなかった。だが、不幸な事に彼らが所持している宇宙船は今壊れているようで、他の惑星に行く方法がなかった。
「うーん。」とウサギたちと首をひねって考えていると、一羽のウサギが慌てた様子で走ってきた。何か伝えたいことがあるらしくせわしなく宙を飛び跳ねていた。
「どうしたの?」
彼が聞くと短い手足をパタパタと動かし何かを伝えていた。
「ん?誰かが来る?それもすごい勢いで?」
彼がそう言うとウサギは首を縦に振った。
「いやいや、そんなワケないでしょ。だってここは月だよ?」
ウサギは慌てた様子で彼の手を引っ張った。
「•••んもぉ。わかったよ。どれどれ?」
少年は指で輪を作るとウサギの指す方向を覗いた。そこから見える景色は他のどの場所から見ても変わらない宇宙の景色•••のはずだった。ある一方向から何かがすごい勢いで飛んでくる。一直線にこちらへ向かって。
「なんだあれ?ねぇ、あれこっちに向かって来てるよね?」
彼がウサギと会話している間にも物体はこちらに近づいてきている。予想以上にスピードも速く、そうこうしているうちにもう目の前まで迫ってきていた。
「まずい。とりあえずみんな避難!ウチの方に逃げて!」
近くにいたウサギたちを抱え上げ、他のウサギたちにも指示を出し大急ぎで家の方へと逃げ込んだ。
ドォーン
外からすごい音がする。おそるおそる外の様子を伺う。そこには予想を上回る大きさの宇宙船が突き刺さっていた。
「結構、大きいのがきたね。」
トン。彼の肩にウサギが手を置いた。
「ん?どうしたの?」
ウサギは身振り手振りで彼に何かを伝える。
「中に、誰か•••いる、みたい⁉︎」
ウサギは頷いた。
「いやいや。それはないでしょ?どうせまた地球からの探査機か何かでしょ?無人だって〜」
ピッ。と手慣れた様子でボタンを押す。ウィーンと扉が開く。中は暗くよく見えない。
「んー。何にも見えないなぁー。」
手探り状態で宇宙船の中へと入っていく。
「何かいたー?」
先に中へと入っていったウサギたちへ問いかける。当然だが返事は返ってこない。奥へと歩みを進めていくと、宇宙船の中、1番奥の部屋の片隅にウサギたちが集まっていた。
「いたね•••。」
ウサギたちに近づいてみると1人の男が倒れていた。手早く呼吸を確認する。月に住んでいる彼らにとっては酸素というものは必要ないが、ここに倒れている男は月の人間ではない。それにここに来る他の惑星人とは違い宇宙服というヤツをコイツは着ていなかった。
幸いな事にこの船には酸素を供給する機関があるらしく呼吸は出来ているようだった。船内を見渡して見ても壊れている部分も見られない。目が覚めたらすぐにでも帰ることも出来るだろう。
「とりあえず、ここにずっと残しとくわけにはいかないよね。」
そう言うと少年は男を抱え上げた。
「連れて帰ろうか。」
彼はウサギたちを振り返るとそう言って微笑んだ。
宇宙ものです。
もともと漫画用に書いたシナリオだったのでなかなか表現が怪しい部分があったりしていますが暖かく見守っていただけたらありがたいです。