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ガールズ・デイ

 辛そうにしているのは知っていたが、まさか倒れる程とは考えていなかった。


 誰の事かというと、達也の恋人、進藤 陽子の事だ。

 朝会った時、すでに調子が悪そうだったので、達也は彼女のステータスをチェックした。

 病気や貧血といった状態異常も分かるからだ。



 名前:進藤 陽子

 種族:鬼

 年齢:15

 状態:生理

 家族:父・母

 恋人:1

 体力:181

 筋力:541

 (以下略)



(なんだ、生理か。大した事がなくて良かった)


 達也は楽観視した朝の自分を殴り飛ばしたい気分になった。

 元々生理が重い陽子だったが今回は特に酷く、5時間目の授業中ついに倒れたらしい。


 放課後、教室まで彼女を迎えに行った達也と恵はその話を聞き、保健室にやってきた。


「どう?」

「かなりマシになった。バファ○ン万歳」


 恵の問いに陽子が気だるげに答える。まだ辛いらしい。


「いつも辛そう、って聞いたけど、ピルとか飲んでないの?」

「え? ピルって、生理痛に効くの?」


 陽子が疑問の声を上げると、恵も驚いたようだった。


「保健の授業とかで習わなかった? あー、一応危険性皆無ってワケじゃないから、教えない学校もあるのかな?」


 恵の通っていた小、中学ではピルの使用も教えていたらしい。というか、恵の父と第4夫人(実母)が産婦人科医なので、教えに行っているのだとか。


(それ宣伝じゃね?)


 と達也は思ったが、黙っていた。


「一回、ウチ来る? 正面から入るのが恥ずかしければ、裏の自宅からも入れるよ」


 学生の身でそういう所に行くのは恥ずかしいと怯んでいた陽子だが、治療や診察は恥ずかしくない。という恵の説得に程なく折れた。

 毎月の痛みから少しでも開放されるというのも利いたらしい。


 と、いうわけでその日の放課後彼女達2人で診察……できればピルを処方してもらうため、恵の家に行くことになった。

 達也はハブなのでここで退場である。主人公なのに……



 -----------------------------------------------------



(大きい……)


 恵の家を見た陽子は目を見開いた。

 産婦人科の病院に隣接した自宅という事で、多少大きな家だろうとは予想していたが、想像以上だったのだ。

 いや、父、母4人、姉5人と恵自身という大家族が住む家なのだから、これくらいの広さは当然なのかも知れない。


「一番上の姉さんが結婚して出て行ったから、今は10人で住んでるの」


 恵がそんな解説を加えながらインターフォンを押して帰宅を告げる。

 程なく、姉らしき人物が玄関を開けて2人を迎え入れた。

 陽子の事はあらかじめ恵が連絡していたので、特に驚きは無かったようだ。


「いらっしゃい。貴女が陽子ちゃんね。初めまして、恵の母の織江です」

「え?」


 陽子は挨拶も忘れて驚いた。目の前の人物はどう見ても20代。恵の母というには若すぎると思われた。


「どうかしたの?」


 織江が首をかしげる。そんな仕草も若々しい。


「あ、いえ、その、お姉さんだと思いましたので……」

「あら、お上手ね」


 陽子の言葉を織江は軽く流し、恵に制服を着替えるように促した。

 恵が自室に引っ込んだ後、リビングに通された陽子に織江はこう切り出した。


「タクヤ君……だったかしら? 彼氏君とはどうなのかしら?」

「達也です。どう……とは?」


 質問の意図を計りかねて、陽子は聞き返した。


「恵から、カレシにハーレム作らせよう。って云われたでしょう?」

「……ええ、まぁ……」(――母娘でそんなハナシまでするのか、あのサキュバスは……)


 いまいち、まだその感覚についていけない。


「もしかして、迷惑をかけているんじゃないかと思って……ほら、ウチが特殊だから、あの変な感覚持っちゃってるじゃない? 無理に合わせているのではなくて?」


 なるほど。母親としては気になるワケか。

 恵に聞いた話からすると、織江は第二夫人。実母ではないはずだが、実の子のように恵の事を気にかけているようだ。

 恐らく、この家では実母とか実子とか、そういった区分けはないのだろう。


「いえ、彼とも恵さんとも、楽しくお付き合いさせていただいています」


 これは陽子の本心だった。

 まぁ、最初こそは達也を中心としたハーレムという付き合いに多少の抵抗はあったが、ここ数日の付き合いで認識を改めた。


「達也……彼は大きなホールケーキなんですって」

「あら、あの子ったら」


 織江の反応からすると、あの言葉は母親の誰か(恐らくは目の前の織江だろう)からパクった言葉だったようだ。



 達也は大きなホールケーキ。みんなで食べた方が美味しいじゃない。



 今はその恵の言葉に全面的に同意している。

 3人でおしゃべりして、デートして、エッチする。素直に楽しいと思う。

 そう伝えると、織江も楽しそうに微笑んだ。


「お待たせ。2人で何話してたの?」


 着替えた恵がリビングに現れたが、2人は「ナイショ」と口を揃えた。


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