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ステータスが見えるようになったらハーレムできた  作者: マルコ
アマレス旅行

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魔法生物は容赦しない

「人造人間について、どれくらい知ってる?」


 真剣な顔で聞いてくるそれなりの美少女……いや、姿形はともかく、実年齢は70歳を超えているので、美少女というのは適当ではない。


「その前に聞きたいんだが……」

「何?」


 見た目詐欺なシルンに対し、達也は真剣な面持ちで問いかける。質問に質問を返すという無礼ではあったが、その真剣な眼差しに、シルンは素直に先を促した。


「──そろそろ服着ていいか?」


 タオル一枚ではそろそろ限界だった。

 間抜けに思えるだろうが、本人としては割と真剣だった。


「まぁ、もうちょっと若い子の体見ておきたいけど……風邪でもひかれたら嫌よね。どうぞ」

「どーも」


 どうやら、シルンの方はタオル一丁を気にしていなかったわけではなく、それなりに目の保養を楽しんでいたようだ。達也の身体は、運動部でもないのに、それなりに引き締まっているのだ。

 ──特に腰回りが引き締まっている事については、多くは語るまい。

 ひとまず、タオルを巻いたままパンツを履き、軽く体を拭いていく。パンツ一丁の姿を見られるわけだが、まぁ男なのでそれほど気にするまい。……多少というには多分に性的な視線を向けられている事には、この際目を瞑る。用意しておいたシャツを着て、やっとひと息つくことができた。


「あー、で、何だっけ?」

「やはり、若い男の肌はなかなかに……っと、えーっと、そう! 人造人間について、どれくらい知ってるの?」


 このロリババアはなかなかの危険人物ではないか?


「どれくらい……って……ぶっちゃけ、アニメやマンガ中の存在としか……」

「こっちでは、ホムンクルスとかの魔法生物として……って、何話の途中で出て行こうとしてるのよ!?」


 シルン(ロリババア)を危険人物認定した達也の選択は、至極真っ当なものだった。

 つまりは、逃げだ。

 数ヶ月前までの達也なら、性的な視線はむしろご褒美だっただろうが、別に女に飢えているわけでもないし、何より73歳の人間というステータスが見えていれば、そういう(・・・・)気も失せるというものだ。

 いっそ、730歳とかなら別だったかも知れないが。


「いや、よく考えたら聞く義理とか無いなーって……」

「聞きなさいよ! この私の話を聞けるなんて、王立大学での公開講義くらいなのよ!?」


 なるほど。こう言うからには偉い学者なのかも知れない。

 達也も今のこの状況でなければ、喜んで拝聴しただろう。


「俺、まだ高校生だし……」

「向学心がない奴はモテないぞ」

「生憎、恋人が4人も居るんだ。これ以上は望まねーよ」

「んン? うっかり聞き流しそうだけど、日本ではそういうの、浮気者になるんじゃないの?」

「理解のある彼女たちでな……」


 微妙に個人情報を収集されているような気分になってくる達也。本格的に逃げた方が良いかと思い始めた時、出口のドアが開いた。


「シルン様、やはりココに隠れていましたか」


 先程の女性だった。

 恐らく、中のやりとりをある程度聞いていたのだろう。


「おー、マジに入り口で待ってたんだな」

「先程は失礼したわね」


 こうして面と向かって話をしていても、人造人間とかそういう雰囲気は一切感じない。

 とはいえ、やはりただの人間でもないのだろう。

 達也は彼女のステータスを見ようとしているが、一切何も見えないのだ。

 それは無生物のステータスを見ようとした時と同じような感覚だった。

 あるいは、TVや写真に写った人のステータスを見ようとする感覚か。

 とにかく、この目の前の女性が人造人間というのは、どうやら本当の事のようだ。


「まぁ、その辺はどうでもいいよ。じゃ、そのヒトちゃんと捕まえておいてね」


 とにかく、これで変なロリババアから逃げられるのだ。

 先程の逆ラッキースケベを水に流すくらいはいくらでもしよう。


「ええ、もちろん。さ、宿でたぁーっぷりオハナシしましょうね、シルン様。……その前に、一発」

「いっったぁーーーー! 頭! 割れる! 史上最高の頭脳が漏れるぅぅ!」


 ゴン! とかなり大きな音で拳骨が振り下ろされた。頭を抱えて悶えるロリババア。

 だが、達也はそれよりも気になることがあり、つい口を開いた。


「あれ? ロボット三原則とかどうなってるんだ? ああ、厳密にはロボットじゃないんだっけか?」


 人造人間というからには、ロボット三原則が適用されるのではないかと思ったのだ。

 なのに、彼女はヒトを殴った。

 魔法生物とやらは対象外なのだろうか?


「ろぼっとさんげんそく……? ああ、セカイの小説の設定ね」


 彼女は一瞬なんの事か分からないようだったが、すぐにそんな風に応えた。


「え、アレ小説の設定なのか?」

「単なるイチ小説の設定よ。フィクション。法律でも条約でも、ましてや普遍原理でも何でもないの。守る義理も義務もないわ。なので、ココでこの鬼畜外道の脳漿を撒き散らす事になんら制約は無いわけ」

「いや、別の法律とかあるだろう」


 物騒な事を言う彼女に達也が突っ込む。


「他人の所有する人造人間が危害を加えたなら、問題にもなるけどね。遺憾ながらこの腐れビッチが私の所有者で製作者なので、問題ないの」


 自分が作った機械で自分が怪我をしても全面的に自分が悪いと言うことだ。


「待て! 私はダンナ一筋だぞ! 断じてビッチなどではない!」

「鬼畜外道も否定しろよぉい」


 どうも、このロリババアは色々ズレているらしい。


「とにかく、私はこの全自動迷惑製造機を解体する作業があるから、これで失礼するわ」


 そう言いつつ、彼女はシルンの首根っこを捕まえ、脱衣所を出て行こうとする。


「ちょ、ま、おい少年! コイツ止めろ! コイツはやると言ったらやる奴だ!」


 抵抗出来ずに引きずられつつ、それでもどうにか逃れようとするシルンが達也に助けを求める。


「ふむ、私は全自動迷惑製造機としか言っていませんが……何のことだとお思いですか? シルン様?」

「あ、う……えぇ……」

「では、行きましょう。 伝説の邪神を超える悪逆非道な輩の腕を、正義のフードプロセッサーに突っ込む使命を果たさねばなりません」

「微妙に生々しいぞ! 待て! 話せばわかる!」

「問答無用です」

「ぬわーーっっ!!」


 そんな騒動と共に、2人は脱衣所から出て行った。


「結局、何だったんだアレ……」


 残された達也の呟きに応えてくれるものはいなかった。


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