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ステータスが見えるようになったらハーレムできた  作者: マルコ
アマレス旅行

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謎の少女

「隠すほど粗末なモノでもないでしょう」


 ──だったらお前も見せろ。


 喉まで出かかったその言葉を、達也はギリギリ飲み込んだ。

 18禁の登場人物なら、言葉に出していただろうが、達也は健全な高校生なのだ。

 たとえ彼女が4人居ても、やることはヤっていても、健全なのだ。

 ──いや、そういえばそもそも──


「お前、女の子だよな?」

「……まぁ、女ではあるわね。こんなナリだけど、の子(・・)という年齢じゃないけど」



 名前:アルメイア=シルン

 種族:人間

 年齢:73

 家族:夫、子3

 体力:30

 筋力:45

 (以下略)



 ほとんど反射的に達也が見たステータスには、確かに「夫」の文字があったので、女性である事がうかがい知れた。

 ──同性婚の可能性もあるが。

 子供も2人。だがそんなことより、その年齢だ。


「73歳て」


 思わず声に出す達也。なるほど、「女の子」という年齢ではない。

 見た目と年齢にギャップがあるのは陽子で慣れていたつもりだが、こんなリアルロリババアに遭遇するとは、想定外だった。


「へぇ、ステータス閲覧持ち?日本人にしては珍しいね」


 そのロリババア──ステータス表記によると名前はシルンというらしい──シルンは、達也の漏らした呟きで、ステータスを見れる事を察したようだった。


「ばーちゃんがこっちの人でな。それで、何で男湯なんかに居るんだ?」


 本来なら、達也は年上には礼儀正しい言葉遣いをする。

 しかし、このシルンに対しては、見た目の印象が強すぎて同年代か年下に対するような口調になっている。


「こっちじゃ、こういう裸の付き合いとかいう文化はほとんど無いのよ。オークくらいね。だから、誰も居ないと踏んだのだけど……良いモノも見れたし、儲けモノだったわ」


 つまり、誰も居ないだろうから、男湯に入っても問題ないと考えたらしい。

 だが、達也が……若い男が入っていた。さぞかし眼福だっただろう。


「なんか、こう、ロリババアなら、もっとそれらしい喋り方とかしないのか?」

「ロリババアって何……ああ、説明しなくて良い。何となく理解できたから」


 あまりにふつうの少女のような喋り方に、思わず文句を言う達也。流石に、いくら日本語が堪能でも、「ロリババア」などという単語は知らなかったようだが、ある程度は察したらしい。


「とりあえず、さっきの人から隠れるためにここに入って来たんだろ? もう近くには居ないだろうから、出て行ってくれないかな?」


 実は先程からずっとタオル1枚を腰に巻いただけの達也。

 流石に恥ずかしいし、湯冷めもしそうなので、そろそろ服を着たかった。

 まだ脚は濡れているが、パンツを履いてしまおうかと頭の隅で考え始めている。


「甘いわね。あの子は疑り深いから、今でも入り口を見張っている筈よ」


 何故かドヤ顏のシルン。

 男湯の前で待つ女というのも、なかなかにシュールである。


 ──隅田川かよ!


 そう、声には出さずに達也は突っ込んだ。

 惜しいけど違うので、声に出さなくて正解である。


「ていうか、何で逃げてるんだよ?」

「えーっと、大したことじゃないんだけど……」


 達也が根本的な疑問を呈すと、シルンの目が泳いだ。

 どうやら、ろくでもない理由らしい。


「何だよ?」

「あの子をこの村で雇ってもらえないかと交渉を……」

「本人に黙ってか? けど、そんだけであんな剣幕で怒るか?」


 子供か孫かまでは不明だが、それだけなら職業斡旋だ。怒りはするだろうが、女性が──誰もいないと思っていたにせよ──男湯にまで踏み込むほどだろうか?


「あー、テーマパークの方じゃなくて、子供作る方面で」


 どうやら、オークの村では他所から子供を生んでくれる女性を募集しているらしい。


「いや、流石に怒るだろう。つか、人身売買!?」

「いやいや! 人身売買じゃないわよ? あの子ヒトじゃないし!」


 奴隷制度があるこの国でも、免許のない者が人身売買をすれば立派な犯罪である。

 もっとも、達也の発言はこの国に奴隷制度がある事を失念したものだったが、シルンは「違法売買」と捉えたので、お互いの勘違いはスルーされる事になった。


「種族はともかく、言葉通じたぞ? たしか、翻訳可能な言語喋ってたら、ヒト認定されるんじゃなかったか?」


 ガイドブックから得たにわか知識ではあるが、キッチリ日本語まで喋る見た目人間の女性を、「ヒトではない」というのは納得がいかない達也。


「それだけだと、喋る自販機とかもヒト扱いになるからね。ヒトと種族的に交配可能。っていうのもあるのよ」


 喋る自販機などは日本でも最近できたのだが、実はアマレスでは数百年前から似たようなモノは存在していた。

 勿論、機械式ではなく、魔法生物的なサムシングだが。


「単に、ヤれれば良い。ってのじゃないわよ。ちゃんと子供もできるのが条件。もちろん、種族単位の話だから、個人的な不妊は別なんだけど」


 上記の自販機魔法生物に大人のオモチャを組み合わせるような発想は、なにも日本人の専売特許ではない。

 そういったモノは当たり前のようにヒトの扱いは受けない。


「さっきの人は違うと?」

「そ。まぁ、そこのところをはっきりさせる為にココで子作りに励んで欲しかったんだけどねぇ」


 魔法生物でも、ヒトと子供を作れればヒトと認定される。無理矢理だろうと何だろうと、デキれば良いのだ。


「事情はよくわからんが、そんことを勝手に決められたら、そりゃぁ、怒って追い回すわな。何の権利があって……」

「権利なら、ある!」


 何故か自信満々に言い切るシルンに、多少たじろいだ達也だが、それでも聞き返した。


「どんな?」

「親が子供をどう扱おうと勝手のはず!」

「ねーよ! いつの時代だよそれ!」

「え!? 日本人なら、こう言えば納得するんじゃぁ?」


 時代錯誤も甚だしい論理も、アマレスの価値観なのかと一瞬思った達也だが、どうやら日本のサブカルチャー由来のものだったらしい。


「なんとなく、どっから仕入れた知識なのかわかったけど……とにかく、あの人はあんたの子供なのか? それにしては、ちょっと若いけど……」


 このロリババアの娘なら、同年代か少し上程度にしか見えなかった彼女も、実は50歳とかでもありえるかも知れない。


「ちなみに私の子供、何人てステータスにある?」


 だが、達也の質問には答えず、シルンはそんな事を聞いてきた。


「──? 3人だけど?」

「ああ、やっぱりあの子はカウントされてないのね」

「どういうことだ?」

「あの子は、私が作った人造人間なの」

「……は?」


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