表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ステータスが見えるようになったらハーレムできた  作者: マルコ
アマレス旅行

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

39/47

翌朝

 意識が覚醒してゆく、夢と現の狭間。

 要するに目覚める直前のうとうとした時間。達也は寝具に違和感を覚える。妙に肌触りが良い。

 薄眼を開けてみると、いつも使っているのとは違う枕が目に入る。


「知らない枕だ」


 アニメなんかで、目が覚めて最初に天井を見ているが、達也はそんなに寝相が良くない。目覚めて最初に見るのは、枕か頭まで被ったシーツだ。

 さて、寝具が違うのは当然だ。旅行中なのだから。──つまりは、長期休暇中だ。しばらくはうとうとできるだろう。

 達也は再び目を瞑り、隣にあった抱き枕に抱きつく。

 すべすべムニムニ。

 とても手触りが良い。素材は何だろうか? 最近よく触っている気もする。という疑問が達也の頭によぎる。が、一瞬でそんな事は棚上げする。この気持ち良さの前には、そんな疑問は些細な事だ。


「あー、しっくりくるー……ん? 動いた?」


 抱き枕がもぞりと動いた。モーターでも入っているのかと、確認の為にまた目を開けると、目の前にアリシャの顔があった。


「オハヨウゴザイマス」

「おはよう」


 抱き枕だと思って撫で回していたのは、アリシャだった。ついでに、何故か全裸。


「昨日は大変だったぞ。全然離してくれなくてな」

「うーわー」


 そうだ。昨晩、伯父の幸一に酒を飲まされた。

 そこから先の記憶がない。そして、この状況……彼女の実家で……親も居るのに……


「あ、達也起きたんだ」


 頭を抱えていると、恵が部屋に入ってきた。こちらはちゃんと服を着ている。


「ま、まさか、恵とも!?」

「へ? なに言って……アリシャ、いつの間に脱いだの?」

「ついさっき」

「まったく……ほら達也、お茶持ってきたから」

「あ、ああ……」


 どうやら、そういう事は無かったらしい。

 酔って眠った達也を2人で寝室まで運んだが、そのまま達也が離さなかったらしい。

 微妙にヤバイ気がするが、ギリギリ大丈夫なのではないだろうか?


「恵ちゃん、酔い覚ましも念のため──」


 そこにメアリもやってきた。

 さて、部屋の中の状況をもう一度見てみよう。


 ベットの上に達也とアリシャ。

 アリシャは全裸。


「オハヨウゴザイマス」

「あらあらー、お盛んねー。孫ができるのもすぐかしら? アリシャ、頑張って!」

「任せて!」

「ちょ、ま、い、違う! 今は違うから!」

「ふーん、今は?」

「……あ」


 墓穴を掘りまくる達也であった。


 ◇


「そんなことより、もうすぐ朝ごはんだから幸一さんたち呼んできて」


 と、メアリに言われた達也は、遠藤家の道場に来ていた。

 無駄に広い土地があるので、鍛錬用の道場まであるのだ。この家は。

 色々突っ込みどころはある。

 そんなこと呼ばわりで良いのかとか、親戚とはいえ客だぞとか……

 何より、目の前で繰り広げられている光景だ。

 伯父の幸一が道場で模擬戦をしていて、ソレを妹の沙織が見学──というか、観戦している。ここまでは、良い。

 問題は、その伯父の相手が妹の友人の山口さんだという事だ。何故伯父と妹の友人がチャンバラやっているのか、意味がわからない。

 昨日空港でステータスを見たので、彼女が只者ではないとは思っていた。各種ステータス値が総じて高く、忍術や回復魔法や身体強化もできる、ハイスペックJC。

 そんな彼女が音もなく跳び回り、幸一に攻撃しているのだ。速くてなかなか目が追いつかないが、どうやらナイフ二刀流──しかも本物ぽい──で怒涛の勢いで。

 ソレを幸一は竹刀で事もなげに受け切っている。

 一見防戦一方に見えるが、幸一は片手しか動かしていない。どちらもバケモノだ。

 だが、ゆかりのステータスは、昨日見た限りでは150前後。とてもこんな動きができるとは思えない。そう思いつつ、再度彼女のステータスを見る達也。



 名前:山口 ゆかり(処女)

 種族:人間

 年齢:13

 家族:父・母

 体力:152

 筋力:640

 (以下略)



「……増えてる!?」

「おう、朝飯か?」


 思わず声に出した達也に幸一が気付いた。

 ちなみに、思いっきりよそ見している癖にしっかり攻撃は防いでいる。


「ああ、うん」

「じゃ、そろそろ上がるか。頭はやめた方が良いよなぁ……背中も。女の子は腹もダメだよねぇ……ゆかりちゃん、左利きだよね?」


 どうやら、幸一はゆかりに一撃入れて終わりにするようだ。


「……両利き」

「そう? 攻撃が左の方に偏ってるよ。てことで、右腕に一撃入れたら、朝飯にしよう」

「宣言されて受けるほど弱く……」


 ──パァン!


「……え?」


 響く音にゆかりが気が付き、声を漏らす。

 見ると、彼女の右腕に竹刀が当たって居る。会話で油断もしていただろうが、実際に痛みが広がるまで何が起きたのかわからないようだった。

 離れて見ていた達也にも何が起こったのかわからない。超スピードだとか、ワープだとかそういった類のモノだとは思うが。──流石に、時間を止めるような事まではできないだろう。それらしきスキルも無いし。


「はい、おわりー。シャワー浴びてからリビングねー」


 当の幸一は軽く言ってさっさと道場から出て行った。


「何やってたの?」


 達也は、ひとまず手近に居た沙織に状況を聞いてみた。


「稽古だって」

「稽古って、真剣使うモノなんだっけ?」


 達也が疑問の声を上げると、ゆかりが2人の下に……というか、沙織の下にやってきた。


「途中から本気で殺すつもりでやってたけど、全然歯が立たなかった。沙織の伯父さんてナニモノ?」

「えー、普通の伯父さんだよー? すっごく強いけど」

「いや待て。聞き捨てならない言葉が聞こえたぞおい」


 物騒な事を口にするJCと、それを軽く受け流す妹に、たまらず達也もツッコミを入れる。


「そんなことより、早くシャワー浴びないと、朝ごはん冷めちゃうよ」

「そだね」

「え? なに? 俺がおかしいの? ねぇ?」


 シャワー室に向かう2人を追うわけにもいかず、達也は疑問とともに、広い道場に置き去りになったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
下記の作品もよろしければご覧ください。
女装令嬢の日常
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ