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ステータスが見えるようになったらハーレムできた  作者: マルコ
そろそろ夏休み

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32/47

確認って大事だよね

「アマレスに遊びに行かないか?」


 そんなメールの真意を確認したいところだったが、時間は朝礼の数分前。

 達也と恵は「とりあえず昼に電話する」とだけ返信してその場は問題を棚上げにした。


 そして、昼休み。

 達也たち4人は部室に集まった。朝は気が付かなかったが、同じメールが陽子と香苗にもCCで届いていたらしく、4人は昼食もそこそこにアリシャに確認の電話をかける事にした。


『お、達也か? どうした? ……ああ、旅行の件か」


 コール数回でアリシャが電話に出た。

 ちなみに、スピーカーモードにしてあるので、恵たちにも声は聞こえている。


「それだよ。どういう事だ?」

『どういう事もなにも、そのままの意味だが。夏休みに旅行なんて、普通にやるだろ?』


 夏休みに旅行に行く。確かに普通だ。


「ねぇ、アマレスって異世界なんでしょ? そんなに簡単に行き来できるの?」


 朝の疑問を恵が問う。


『普通に行き来できるぞ。関係者じゃないと、そもそも行こうとしないだけで』

「え? 何か特別な儀式とか必要ないの?」


 香苗が身を乗り出している。空想の世界でしかなかった異世界に行けるというのだから、無理もない。


『転移装置が必要だけど、空港に行けばある。……ああ、そうだ。パスポートが要る。あと、装置の利用料がーー』


 普通に海外旅行だ。

 パスポートは全員持っているし、費用も高くない。むしろ、アメリカやヨーロッパに行くよりは格段に安い。

 こんなに気軽に行けて良いのか、異世界。

 もっと、こう、王族の特殊な召喚魔法だとか、ン百年に1回のチャンスだとか、そういうのが定番ではないのか?

 だが思い返せば、達也だって幼い頃とはいえ何度か行っているのだし、アリシャもこうしてこちらに来ている。帰省の話題が出た時にはスルーしたが、みんなで行こうかとも言っていた。

 観光案内まで発売されているのだから、ある程度気軽に行き来できて当然なのだ。


 ちなみに、例の本(観光案内)には転移方法については一切触れられていなかった。仮に一般人の目に留まっても、フィクションだと思われるだろう。

 ……実際、アマレス関連の別の書籍が漫画の設定資料集と同じ棚にあるのを、達也は最近見つけたのだ。

 もしかしたら、アマレス関連以外にも「実は本物」な資料があるのかも知れないが、達也には見分けがつかない。恐らく、知っている人にはちゃんと分かるようになっているのだろうが。


「それで、期間は?」


 陽子は既に行く気になっている。

 いや、恵や香苗もスケジュールを確認している。


 ーー楽しい夏休みになりそうだ


 そんな風に思った達也だが、帰宅した後、その旅行が伯父に挨拶する時だと気付いて頭を抱えた。



 □



「ゆかりー、夏休み暇ー?」


 放課後。帰る準備をしていたゆかりに、沙織は声をかけた。


「……特に予定は入れていないけど?」

「旅行に行かない?」

「佐藤くんと行けば良いじゃない」


 ゆかりに馬に蹴られる趣味はない。


「夏コミ? があるからって、断られた」

「あなたたち、ホントに付き合ってるの?」

「らぶらぶだよー」


 一切の迷いなく答える沙織。

 ゆかりは恋人との旅行より夏コミを取る彼氏などゴメンだ。

 というか、沙織は「夏コミ」の意味すら知らないようなのに、2人の接点は何なんだと不思議に思う。

 だからといって、デバガメ的に親友とその彼氏を調査したりしないが。


「2人で行くの?」

「ううん、お兄ちゃんたちと伯父さん()に行くから、保護者同伴だね」


 なるほど、それなら佐藤が断ったのも納得できる。いきなり彼女の家族と一緒に旅行というのは、ハードルが高いだろう。と、ゆかりは彼の評価を元に戻した。……それでもマイナスだが。


 ところで、ゆかりには今の発言に気になる部分があった。


「沙織の伯父さんて、外国に住んでるんじゃなかった?」


 いつかの雑談で、そんな話が出た気がするのだ。


「うん、アマレスってところ」


 アマレスと聞いてレスリングを想像したゆかりだが、もちろん関係があるはずがない。

 たしか、ヨーロッパの……ポルトガルの都市だったか? そんな知識をゆかりは記憶から引き出した。


「また、遠い所だね」

「あれ? ゆかり、アマレス知ってるの?」


 一般的な中学生は知らないかもしれないが、ゆかりはこれでも現役の忍者だ。知識量なら、そこらの大学生にも負けない自信がある。


「ふふふ、頭のデキが違うのだよ」

「ぶー、驚かせようと思ってたのに……」


 イマドキ、ヨーロッパ旅行程度ではゆかりでなくても驚かないだろう。


「でも、お高いんでしょう?」


 ヨーロッパ旅行となると、一般の女子中学生に資金捻出は無理だ。親にたかるとしても、おいそれと許可は出ないだろう。ゆかりは自力で払えるが、一応は躊躇してみせないといけないだろう。


「それが、なんと今ならタダ! 手続きとか、お金はお父さんが出してくれるって。あ、パスポートあるよね?」

「うん、持ってる」


 あの刑事も太っ腹なことだ。

 忍者を使うような事件を担当していると、手当もイロが付くのだろうか?

 そんな事をゆかりは思った。まぁ、普通は「そんなに出してもらうなんて!」と親に反対される事もあるだろうが、ゆかりの親は問題ない。


 こうして、ゆかりのアマレス(異世界)行きは、微妙に噛み合わない会話で決定した。

次回25日です。

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