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ステータスが見えるようになったらハーレムできた  作者: マルコ
そろそろ夏休み

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30/47

うちの妹が最近変なんだが

「沙織が最近変なんだが、何か知らないか?」

「変て何が?」


 夕飯の後、達也の部屋でくつろぐアリシャに達也が相談を持ちかけた。


「急に仏壇に向かって話しかけるようになった」


 遠藤家の仏壇には母方の祖父母が(まつ)られている。両親の結婚前に亡くなっているので、当然達也たち兄妹とは面識がない。

 それでも、盆くらいは手を合わせているのだが、最近の妹は学校であった話を仏壇に報告しているようなのだ。


「ああ、『霊感』の訓練だろ」

「レイカン?」


 こともなげにアリシャが言ったが、達也にはわけがわからなかった。


「沙織にスキルが生えていただろう? 訓練方法を聞いてきたから、知ってる事は教えといた」

「え? 嘘!? いつの間に?」


 驚く達也だが、そんな彼にアリシャが半眼で告げる。


「達也、何で沙織のステータスを見ない? 家族の体調チェックは、スキル持ちの義務だぞ?」


 そんな義務があることは初耳だった。

 バイトでは健康チェックもしている達也だが、、そんなに頻繁に家族のステータスを見るものでもないと思ってた。


「まぁ、これからはちゃんとチェックするんだな」


 言って、読んでいたマンガに目を向けるアリシャ。

 部屋着の中でもラフな格好だ。ノースリーブのシャツに短パン。下着を着けてないのも、先程から見えている。


「でもアイツ、彼氏いるだろ?」

「それがどうした?」

「ある日、アイツから処女の表記が消えたら、俺はどうすれば良いんだ?」

「……祝えば良いと思うよ」

「えー」


 それはどうなんだろうか?

 この辺りの感性が普通なのかどうか、サンプルがあまりにも少なく、達也には判断がつかない。『ステータス閲覧』持ちは、自分自身とアリシャ、それにここには居ない伯父と祖母くらいしか知らないのだ。


「……あ」


 そこまで考えて、達也は気付いた。気付いてしまった。


「どうした?」


 アリシャがたずねる。


「いや、幸一伯父さんがアリシャを見たら……」

「ああ、達也と男女の仲になったのは、直ぐに分かるな」

「マジカー!」


 達也は頭を抱えた。

 なんだその罰ゲームは。


「え、ちょっと待って。アリシャ、次に伯父さんと会うのって、いつ!?」

「夏休みには、一旦帰省する予定だが? あ、ついでに皆でアマレスに行くか?」


 夏休みまで、なんだかんだで後半月ほどだ。

 その時には、伯父にアリシャとの関係がバレる。

 達也も、いつかはちゃんと挨拶に向かうつもりだったのだが、思いの外タイムリミットは近かった。


「うーわー、どう言おう……」

「別に、何も言わなくて良いんじゃないか? 見れば分かるんだし」


 ソレが問題なのだ。

 いや、問題にならないかも知れないが、伯父に見られる前に、こちらからちゃんと説明するべきだと思うのだ。

 そもそも、娘を下宿させたらそこの息子に手篭めにされていた。なんて、どう考えても激怒モノの案件である。

 伯父にはそれなりに可愛がってもらった記憶はあるが、それとコレとは話は別であろう。


 そんな風に達也が悩んでいると、ドタドタと廊下を走る音が聞こえて来た。

 まさか、両親がこんなに音を立てるとは思えないので、沙織だろうか?

 おおかた、窓から虫が入ってきたとかで興奮しているのだろう。

 そんな風に2人が思っていると、達也の部屋のドアが勢いよく開いた。


「お兄ちゃん、アリシャちゃんと付き合ってるって、ホント!?」


 部屋に飛び込んできたのは、案の定沙織だった。

 掴みかからんばかりの勢いで、達也に詰め寄る。


「ちょっと待って、誰に聞いたの? そんな事」


 達也が沙織に尋ねた。

 アリシャではない。彼女には家族に内緒にしてくれと頼んであるし、夕飯前に聞いていたならその時にこうして詰め寄られただろう。そして、夕飯後はずっと達也と一緒に居たのだ。


「おじいちゃん」

「は?」


 なぜアマレスに居る祖父が沙織にそんな事を伝えるのか?


「ああ、もう交信できたのか。流石に位牌があると早いな」


 達也の隣で、アリシャがそんな事を言った。

 そういえば、と沙織のステータスを見ると、確かに『霊感』のスキルがあった。

 ……ちなみに、まだ処女だった。


「え、ちょっと待って。まさか、死んだおじいちゃんに教えてもらったの!?」

「そうだよ。おじいちゃんとおばあちゃんの孫は私たちだけだから、ずっと見守ってくれてるんだって」

「へー、良いおじいちゃん、おばあちゃんだね」

「でしょー」


 アリシャと沙織が和んでいるが、つまりは達也の行為は祖父母に見られていたという事だ。

 達也は背中に滝汗をかいていた。


「で、どうなの?」


 沙織がアリシャに尋ねる。


「んー、もう聞いているなら、良いよな? 達也と付き合ってる」

「ホントー!? おめでとう!」


 お祝いモードの沙織。先ほどの剣幕は何だったのか。


「で、お兄ちゃん」


 一瞬で氷の様な無表情を達也に向ける沙織。


「4マタってどういう事!? アリシャちゃん泣かせたら許さないんだから!」

「ちょっと待って、合意だから! おじいちゃんも、中途半端に伝えないで!」


 沙織の怒りに、達也も反論する。

 少々ハッスルして声も大きくなってくる。


「お前たち、近所迷惑だぞ!」


 結果、父親に怒られ、事の経緯を説明するハメになった。

次回15日です。

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