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ステータスが見えるようになったらハーレムできた  作者: マルコ
ステータスが見えるようになったら彼女ができた
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無策で突っ込んだらなんとかなった

 結局、無策なまま放課後になってしまった。


 いっそ、委員長の正体をみんなにバラすかとも考えたが、それは愚策だろう。

 単に達也がバカだと思われるだけなら良いが、ヘタすれば人生が終わる。

 サキュバスの能力とかではなく、社会的に。


 そこまで考えて、達也は何故委員長が自分をを呼び出したのか分からなくなった。


 自分がサキュバスだとバレた。


 だからなんだというのだ?


 今まで普通に……むしろ、模範的な委員長として生活してきたのだ。


 ある日、クラスメイトが「そいつはサキュバスだ!」とバラしたところで何か問題があるだろうか?


 断言する。無い。


 むしろ、変な奴に絡まれて可哀そうだと同情されるだろう。


 なら、なぜわざわざ呼び出してきたのだろうか?


 結局、分からないのだ。

 もしかしたら、正体を隠す面倒の無い「食糧」として目を付けられたのかもしれない。


 それはそれで怖ろしい事だが、良く考えればえっちぃ事を夢の中でヤられて、夢精させられるだけだ。

 もしかしたら、その精液をどこかの女の子に注入されるかも知れないが……自分自身に害があるわけではない。


 吸血鬼に対する十字架やニンニクのような対策が在るわけではないが、受ける被害が「その程度」なら対策など必要無いのかもしれない。

 まぁ、「モンスター大全」は所詮サブカル的な書籍なので、もっとガチな本になら別の被害や対策方法が書いているのかも知れないが。


 とりあえずは表向きの用事を済ませて、様子を伺う事にして達也は行動を開始した。



「委員長、進路の紙書いてきたぞ」


 そう言って進路調査票を差し出す。


「どうも。……ついでと言っては何だけれど、今から資料整理手伝ってくれない?」

「ああ、良いよ」


 突然の頼みも快く引き受ける達也。

 別に操られてはいない。

 数週に一度はこうして雑事を頼まれるのだ。このやり取りを気にするクラスメイトはいない。

 今回のこれが本当に何かの整理をするのか、単に教室を抜け出す為の口実なのかは分からないが。



 -----------------------------------------------------



 社会科準備室。

 鍵がかかっている筈だが、委員長は普通に扉を開けた。

 促されて達也が先に部屋に入り、後から入った委員長は扉を閉め、鍵をかける。



 男の人と密室で2人きりになってはいけません。



 達也は妹が母からよく言われている戒めを思い出した。

 良く聞いていた言葉だったので、何となく達也も守っていた。というより、習慣として刷り込まれていた。


 女の人が1人で乗っているエレベータに駆け込まない。

 女の人と2人きりになるときには、できるだけ扉を開けておく。

 閉める時も鍵はかけない。女の人が扉側に位置するように身を置く。


 母の言葉を聞きつつ、「ソコまで警戒する女は自意識過剰だろう」と思っていた。

 だが、今の状況は想像以上に怖い。


 達也の筋力は70だ。クラスの男子平均より少し劣る。運動部の女子の方が上だったりする。

 対する委員長の筋力は361。

 試してみるまでもなく、勝負にならないだろう。


 自分より強い相手と2人きりにならない。


 逆に言うと、そういう状況になったらこんなにも怖ろしいものだったのかと、達也は認識を改めた。遅かったかも知れないが。


「さて、答えを聞かせて? ああ、資料整理はただの口実だから。気にする必要はないわ」


 委員長がそう切り出した。


「……答え?」


 襲われるか、脅迫されるか……逆に誰にも言わないでと懇願されるか。

 そういった事は想定していたが、これは予想外だった。


「――見たよね?」


 委員長が朝と同じセリフで確認してくる。


「見たけど……これが答えで良いの?」


 言いながら、違うだろうな。と達也にも分かる。

 委員長の顔がみるみる赤く染まっていく。

 怒り――ではない。それは、羞恥の赤面に見えた。

 何が何だか分からない。


「あの話……知らないの?」

「どんな話?」


 ますます委員長の顔が赤くなる。

 多分、「あの話」とやらを知っている人が聞いたら、セクハラだと言われるような問いかけなのだろう。たが、達也には何のことが分からなかった。故に聞くしかなかった。




「パ……パンツにす、好きな人の名前を書いて、その人に見られたら両想いになれる。って話」




 なんだそれは。

 おまじないの類だろうか?

 消しゴムに名前を書いて使い切る。とかは聞いたことがあるが、パンツに名前は聞いたことがない。


「も、もちろん、それだけではダメ。って分かってて……その、見たなら返事が欲しいな、って……」


 真っ赤な顔で言う委員長。

 つまり、「――見たよね?」は「(パンツに書いた名前を)見たよね?」という事だったと。


 これは、怒っても良いかなぁ……

 達也にそんな考えが浮かんだ。結構怖かったのだ。

 だが、直ぐに言っている言葉の意味が分かる。


 つまりは、パンツに達也の名前が書いてあったのだろう。

 「両想いになれるおまじない」に対して返事を聞かせてほしい。というわけだ。

 だが、委員長は今朝達也の言動を操ったのだ。

 サキュバスの事も「見た」と気付いているのではないだろうか?


「委員ちょ……高橋さん、今朝俺に変な術使わなかった?」

「へ?…………ああぁ!!!」


 今気が付いたようだ。無意識だったらしい。


「あ、え、あの、あれは、その……」

「ああ、うん、変に隠さなくていいから。ていうか、俺が見たのは高橋さんがサキュバスだ。ってステータスなんだ」


 達也の言葉に、真っ赤だった委員長の顔から血の気が引いた。

 見事に、真っ赤から真っ白に変化した。


(これ、体に悪いんじゃないか?)


 と、無責任にも達也は思った。


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