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ステータスが見えるようになったらハーレムできた  作者: マルコ
ただの日常・ザ・サード

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29/47

一般人(笑)

コレは「ステータスが見えるようになったらハーレムできた」であってます。

この話には残酷な表現が含まれます。ご注意ください。


 私、山口 ゆかり。13歳。中2。

 本職は忍者。


 あ、待って。引かないで。

 うん、分かる。

 リアル中2だからって、中二病発症してるんじゃねーよ! って思うよね。

 私だって、事情を知らなければ、そう思う。


 とりあえず、色々置いておいて、忍者てどんなイメージ?

 黒い衣装で刀背負って、ニンニン言ってるイメージかな?


 うん。無いから。


 いや、戦国時代くらいなら、そんな人達が一部には居たかも知れないけどね。


 知ってる人は知ってるだろうけど、忍者って要するにスパイなワケですよ。

 各地の情報収集して、雇い主に伝えたり。ああ、時には暗殺とかも請け負ったりしてる。


 忍者です。て言うよりスパイです。って言ったらちょっとは現実味ある?

 まだ中二臭い?


 スパイって言うと、政府の機密情報盗んだり、核兵器の図面とか盗んだりするイメージある?


 無いとは言わないけど、そればっかりやってるわけじゃないから。


 大体は企業からの依頼で、自社の財務状態の実態調査とか、就職希望者の素行調査とか。ちょっとカッコイイものだと競合他社の企業秘密を盗むとか、そんなのが大半。


 それすら受けられない底辺忍者は探偵を名乗って浮気調査してたりする。

 あ、世間の探偵が全部忍者ってわけじゃないよ。一部にそんなのが混じってるってだけね。


 私の場合、親がちょっと優秀なお陰でコネで結構良い仕事をやっていたりするのよ。

 よくあるのは、辞めさせたい人物に適当な不祥事を起こさせて引責辞任させる。ってやつ。


 主にエンコーとか、痴漢とかで破滅させる系。


 え? 実際にヤらせるわけないじゃん。

 これでも乙女なんだから。

 ……証拠見せろ? フザケンナ。


 ……まぁ、そんな事よりさ。

 最近、この辺りで小学生の女の子が暴行された事件があったんだよね。

 報道とかはされてないけどさ。ワリと悲惨なことになってたみたい。

 犯人、まだ分かってないことになってる(・・・・・・・)んだけどさー

 こういうのの再犯率って、無茶苦茶高いんだって。もう、死刑にすればいいのにね。

 でも、できないんだって。


 ーーだから



 ◇



「ーーだから」

「お前が殺しに来た。ってのか?」


 真夜中の繁華街。その路地裏。

 そこに2つの人影があった。


 どちらもこの場所にふさわしくない人物だ。


 1人はサラリーマン風の男。いかにも気が弱そうで、こんな場所に近付くことなど無さそうだ。

 1人はセーラー服の女の子。路地裏でなくとも、こんな時間に出歩くと補導されるであろう。


「私は人殺しなんてしたことないよ。殺人処女。……安心した?」


 少女があっけらかんと言う。


「俺も、コロシはしないさ」

「うん。知ってる。みーんな生きてる。コッチで把握してるのは、14人だけど、合ってる?」

「さぁな。5人目までは数えてたけど、そっから先は知らないね!」


 言い終わるより先に、男が少女に飛びかかり、地面に組み敷いた。


「忍者ごっこか、仕置人ごっこか知らないが、犯された奴らが何て言ってるか知らなかったか?」


 男の目つきが変わっている。体は大きくなり、スーツは破け、いつの間にか髭も濃くはえていた。


「男が狼になって襲って来た」


 少女が答える。

 その時には、男の体は大きな犬の姿になっていた。


「そう、狼だ。 犬じゃねぇ、狼さ。 どーせ、警察連中は比喩とか思ってたんだろ?」


 狼がそんな事を喋る。


「お前も、狼にヤられるとは思ってなかっただろ? この姿でヤるとサイコーだぜ! 絶望の表情だけで3回はヌケピギャぁ!?」


 高揚した調子で喋っていた狼が、珍妙な悲鳴をあげて転がった。

 残されたのは、片足を高く上げた少女。


「重い」


 言いながら立ち上がり、少女は汚れを払う。


「て、てメェ、なん、何で……」

「何でバケモノに襲われて冷静でいられるんだ? 聞き飽きた。そのセリフ」


 本当に飽いた口調で少女が言う。


「こんな仕事してると、アンタみたいなのにはよく遭うのよ」


 いつの間にか、先ほどとは逆に少女が狼を組み敷いていた。


「なぁ!?」


 狼は動けない。

 狼の、獣人の力で、こんな少女に抵抗できない。


「て、てメェもバケモノか!?」

「失礼ね。私は人間。ホモ・サピエンス。アンタたちみたいな外来種(・・・)とは違うわよ」


 そう言う少女の手には、いつの間にか大型のカッターナイフ……コンビニで売っているヤツが握られていた。

 もう片手は、狼の……随分縮こまったモノに添えられている。


「ま、まさ……ガッ」


 狼の喉が少女の膝蹴りで潰される。

 そして……


「※◇★@?◯〆∋$≠!?」


 喉を潰されたせいで、絶叫をあげることもできない狼。

 それを尻目に、切りとったモノを傷口にあてがう少女。


「ベホ◯」


 切りとったモノが元に戻る。


「!? !? ◇★@?◯〆∋$≠ーー」


 切る。吹き出した血が少女に降りかかる。


「ベホ◯」


 戻す。切る。戻す。切る。戻す。切る……


 どれくらいの間、繰り返されただろう?

 カッターナイフが切れなくなり、刃が無くなるまでそれは繰り返された。


 狼の姿は男に戻っていた。

 回復される為に死ぬこともできず、痛みで気絶することもできず、男はいつしか少女に……女性に恐怖を覚えるようになった。


「ご苦労様」


 路地裏に、第三者が現れた。

 いや、他にも数名。


「連続女子暴行犯、菅原 裕司! 現行犯で逮捕する!」

「お、おまわりさん、俺よりそ、ソイツをつ、捕まえ……」


 男は、抵抗するどころか、現れた警察官たちに助けを求めた。

 いつの間にか喉が治療されている事に気付いていない。


「あー、コンナニ血が出てカワイソーになー」


 上役らしき刑事が、血に染まった少女を労わるような事を言う。棒読みで。


「て、てめぇら、グルか!? さ、裁判でブチ撒けてやる!」

「あん? 言いたきゃ言えよ。『女子中学生に回復されながら何度もチ◯コ切られました』てな。精神鑑定でどうなるか次第で、無罪になるんじゃね? その場合、もっとコワイヒトタチに狙われるかもな」

「ひぃぃぃぃ!」


 男が悲鳴をあげたのは、刑事の言葉を聞いたからか、駆けつけた婦警(女性)の姿を見たからか、刑事には興味が無い。

 仕事終わりの一服を取り出し、火を……


「子供の前でタバコ吸わないで……それに、この辺りは路上喫煙禁止」


 付けようとしたところで、少女に奪われた。


「キビシーね。そうそう、佐藤 健也くんて知ってる?」

「……身辺調査なら、前払いで」

「嫌だなー、娘の友人との雑談だよ」


 ーー沙織の彼氏。漫研所属。何で付き合ってるのかは、私が聞きたい。


「知らない」


 頭に浮かんだ回答とは別の言葉を、少女は素っ気なく返した。



 ◇



「おはよー」

「オハヨー」


 朝の学校。


 少女を襲う狼も、路地裏の惨劇も、ここでは関係ない。


「ふわぁー、おはよー」


 私も、夜の仕事を終えた後だが、登校しなければならない。

 義務教育年齢の辛いところだ。


「ゆかりー、また徹夜でゲーム?」


 親友の沙織がそう声をかけてくる。


「私のベ◯マがセカイをまもってるんだよー」


 嘘は言っていない。


「もう、また授業中居眠りして怒られても知らないよー」


 ソレは、お父さんに言ってください。


 ……いつか、あの刑事は娘にこのセカイの事を話すのだろうか?

 そのとき、私の正体も明かすのだろうか?


「そうそう、昨日のアリシャちゃんとのデートだけどさ!」

「沙織、普通女の子同士ではデートと言わない」


 まぁ、ただの一般人の沙織には関係のない話なので、そんな未来はこないだろう。

忍/白

あ、ベホ◯は彼女が勝手に言ってるだけで、「ただの回復魔法」です。


次回10日です。

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