表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ステータスが見えるようになったらハーレムできた  作者: マルコ
天使が舞い降りた日

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/47

異世界の天使

 金曜日の放課後。


 達也は部活を休んで帰宅した。


 時間は午後5時。

 普段の帰宅はもう少し遅い。


 あの夢を見た後、達也は両親のステータスをチェックした。

 これまで特にチェックしていなかったからだ。


 結果、多少父の力が見かけ以上に強い事が分かったが、それも普通よりちょっと強い程度。

 いつか恵に言われたような、退魔師のようなスキルは無かった。


 そして、今日。

 自宅のリビングで、達也と沙織の兄妹と、父、母、伯母の3人が向かい合って座っている。


 ……ちなみに、この時点で達也はメアリのステータスを見ていた。



 名前:遠藤 メアリ

 種族:エルフ

 年齢:32

 家族:父・母・夫・子1

 体力:107

 筋力:84

 (以下略)



 達也も予想はしていたが、人間じゃなかった。

 そして、『風魔法』『治癒魔法』『幻惑魔法』なんてスキル名も見える。

 (ああ、あれは魔法だったんだ)

 いくつかの記憶を達也は思い返した。



「さて、いくつか大事な話があるが……」


 達也の父、達二が口火を切った。


「先ず、アリシャちゃんが達也と同じ学校に通うことになった。……正確には、1ヶ月後の編入試験に合格したら。だが、大丈夫だろう」


「アリシャちゃんこっちに来るの? やった〜!」


 達也の妹、沙織が喜びの声を上げる。

 達也も、この話は予想もしていなかったので、驚き喜んだ。


「やっぱり、前みたいにウチに住むの?」


 沙織が父ではなく、伯母のメアリに聞く。

 10年ほど前までメアリ母娘(おやこ)は達也の家に居候していたのだ。

 その頃、沙織はいつもアリシャにくっついているお姉ちゃん子だった。


「ええ、今回はアリシャだけだけどね」


 メアリが沙織に答えた。


「まぁ、今のが話の2つ目だな。アリシャちゃんも10年日本から離れていたからな。慣れないだろうから、2人とも色々気をつけてやってくれ。達也は学校でもだな」

「いつから住むの!?」


 沙織が今度は父に迫った。


「来週の土曜日からだな。編入試験までに日本に慣れてもらう」


 ちょっと試験までの期間が長い気がするが、慣れない環境で試験に挑むより、約1ヶ月の準備期間がある方が良いだろう。

 丁度期末試験の時期なので、一緒に試験勉強しても良い。


「で、だ」


 父が佇まいを正した。


「アリシャちゃんがアマレスに帰った理由、知っているか?」


 そんな事を兄妹に聞いた。


「そういえば……何で?」

「知らないな」


 2人とも知らなかった。

 10年……正確には8年前。

 ほとんど突然にアリシャは日本を離れた。

 沙織などは泣き喚いて嫌がっていた。


 そんな事があっても、「大きくなったら教えてあげる」と、詳しい理由は教えられなかったのだ。


「理由は……あの子が人に向けて魔法を使ったからよ」


 メアリが言った。


「あ、あの時……」

「そういえば、あの後すぐだったんだ」


 言われて納得する兄妹。

 公園で女の子を虐めていた悪ガキを、アリシャが文字通り吹っ飛ばした事があったのだ。

 その後にアリシャは日本を離れた。

 まぁ、達也は大して覚えていないのだが。

 虐められていた女の子というのが陽子の事で、その時の事が話題になって、何となく思い出していた程度だ。



「……お前ら、よく納得できるな。普通、冗談だと笑うか怒るかすると思うんだが」


 兄妹の反応に対し、若干引き気味に父がそう言った。


『まぁちょっと……え!?』


 2人の声が見事にハモった。

 兄妹それぞれ何かしら体験していたようだ。

 妹が自分と同じような体験をしていたらしい事に、達也は驚いた。


「……まぁ、そちらは後にしよう。先にこちらの話をしてしまおう」


 父の宣言に達也はホッとした。

 正直、どこまで話して良いか、決めかねたのだ。


 冷静に考えてみれば、自分の体験した事を話す流れになるのは当然だ。


「とはいえ、困ったな……信じさせる為の話も用意していたんだが、コレは端折ってもいいのかな?」


 父が悩んでいる間に達也は急いで話す内容を吟味する。

 父の話が終われば、次は自分の番だろう。

 先に話す内容を決めておけば、余計な事を言わずに済むだろう。


 ーーステータスが見えるようになりました。


 これは言っても良いだろう。

 普通なら、ソッチの病院送りにされかねないが、エルフやら魔法やらが身近にあるなら、問題ないはずだ。


 ーー彼女がサキュバスなんです。


 ……ちょっと心配だが、まぁエルフがOKならサキュバスも許容範囲だろう。と楽観的に達也は考えた。


 ーーついでに鬼と吸血鬼も彼女です。


 ……アウトだろう。

 種族ではなく、数が。


 達也は、とりあえずステータスが見える事だけを伝えることに決めた。


 達也がそんな事を考えている間にも話が進み、メアリがエルフである事も公表され、魔法の実演も行われた。エルフといえば長い耳だが、メアリの耳も実は長かった。

 普段は魔法で誤魔化しているらしい。


「じゃぁ、アリシャちゃんはハーフエルフ?」


 沙織がそう聞いたが、アリシャもエルフだという。

 混血の子供は、両親どちらかの種族になるという事だ。

 言われてみれば、達也の恋人3人もハーフ○○ではなく、それぞれの種族だ。


「さて、そろそろ察しているとは思うが……今まで秘密にしていたが、アマレスは異世界だ」


 父が言うには、以前達也と香苗が観た映画『異世界日本軍』はほぼノンフィクションで、舞台となった異世界がアマレスだということだ。


 達也はごく幼い頃にアマレスに連れて行ってもらった記憶はあるが、色々と曖昧になっている。

 魔法で記憶操作をされたのか、単に昔すぎるだけだからか、どうやって行ったのかよく覚えていない。

 船にも飛行機にも乗った記憶が無かった。

 異世界にそんな乗り物で行けるわけも無いのだろうから、当然の話なのだが。


 その後、魔法やらアマレスやらの事は基本的に秘密にする事。(当たり前だ)

 将来を約束した恋人や信頼できる親友にはバラして良い事を達也たちは聞かされた。



「さて、お前たちも色々あるみたいだな」


 父のそんな言葉に、先ずは達也がステータスが見える事を告白した。


「ああ、母さん……お前たちの婆ちゃんと同じスキルだな。兄さん……幸一伯父さんとアリシャちゃんも持っている。俺は無いが……隔世遺伝というやつかな? 沙織もか?」


 父はあっさり納得して、妹に話を振った。


「私はそんなのは無いよ。えと、お付き合いしている彼が……」

「ああ、彼氏が出来たとか言っていたな。そろそろ、写真くらいは見せて欲しいんだが……」


 この父も、娘に彼氏が出来ても「娘はやらん!」と言うような人物ではないらしい。


「えと、写真はまた後でね。

 ……それで、私の彼って……その、獣人なんだ」

「ほう、何の獣人なんだ?」


 ーー獣人もOKなんだ……


 達也は妹の話より、父親の反応の方に気が向いていた。

 この分だと、サキュバスや鬼、吸血鬼でも大丈夫だろう。

 ……人数の問題があるのでまだ言えないが。


 その後、なんだかんだで娘の彼が気になる父と、惚気たい妹で話が盛り上がりまくったという……

次回より新章「エルフの同級生(仮)」です。

(仮)だけど正式名称です。念のため。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
下記の作品もよろしければご覧ください。
女装令嬢の日常
【なろう版】魔国の勇者
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ