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ステータスが見えるようになったらハーレムできた  作者: マルコ
天使が舞い降りた日

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夢の中の天使

 時間は1週間ほど前に戻る。


「来週の金曜日、メアリ義姉(ねえ)さんが来るから、放課後予定入れないでね」


 夕食時、達也の母がそんな事を言った。

 メアリ義姉(ねえ)さんとは、達也の父の兄の妻。要するに達也の伯母だ。

 ちなみに、達也の母の方が年上なのだが、「義姉(ねえ)さん」呼びだ。妻同士の呼び方として適切なのかどうかは、達也は知らない。気にした事もない。なにせ、これが普通なのだから。


「メアリねえちゃん? え? 日本に来るの何年ぶり?」

「アリシャちゃんも来るの? 幸一伯父さんは?」


 達也と沙織がそれぞれ母に聞き返す。

 アリシャはメアリの娘で、達也たちの従姉。幸一というのは達也たちの父の兄だ。


 ちなみに、何でメアリ「ねえちゃん」なのに幸一「伯父さん」なのかは、達也たちもよく分からない。

 昔はともかく、今はもう「ねえちゃん」という歳でもないだろうが……なんとなく、メアリ伯母さんとは呼びにくい。修正する機会を逸した兄妹である。


「10年ぶりくらいね。 アリシャちゃんも幸一義兄(にい)さんも今回は来ないわ」


 久々に伯父たちに会えると思った兄妹だが、伯母だけだと聞かされ、少々……いや、沙織の方はかなり気落ちした。


「ちょっと大事なお話があるから、早めに帰ってほしいの」


 遠藤家ではあまり子供達のスケジュールに干渉しないが、稀にこういう事がある。

 本当に重要な事がある時だけなので、かなり強制力は強い。

 一度、ロングホームルームが長引き、達也の帰りが遅くなった時は学校に電話がかかってきたくらいだ。


「分かった。土曜日は?」

「メアリ義姉(ねえ)さんも用事があるから、土曜日は自由に予定を入れて良いわ」


 子供達も心得たもので、素直に予定を受け入れた。

 その後の夕食は、伯父たちの話題で盛り上がった。

 ちなみに、父親は残業で一緒ではない。来週は同席するという事だが、何があるのかは「その時話す」の一点張りで、達也たち兄妹には結局何も知らされなかった。


 その夜、達也は夢を見た。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 森の中、妹の沙織と従姉のアリシャと共に森で遊んでいる夢。


 明晰夢という奴だろうか。

 俺はこれが夢だと理解した上で、子供として遊んでいた。


 そして、事件が起こる。


 巨大な。


 本当に巨大なイノシシが子供達の前に現れた。

 いくら子供の頃の記憶とはいえ、大き過ぎるとは思ったが、記憶の中のイノシシと同じだ。


 不意に出会ったその獣は、幼い子供達に襲いかかった。


 俺はとっさに沙織とアリシャを突き飛ばし、自分は反対方向に跳んだ。

 跳んだは良いが、所詮は子供の動き。

 イノシシの突進は避けきれず、幼い俺は脚にダメージを負った。


 脚に鋭い痛みが走った。

 夢なのにあの時の痛みまで蘇ってくる。


 骨が折れていたんじゃないかと思う。

 それくらい痛かった。

 が、ギプス等を付けた覚えが無いので、折れはしなかったのだろう。


 痛いは痛かったが、その後が最悪だった。


 あろうことか、イノシシはターゲットをアリシャと沙織に定めたのだ。


 俺は必死で「こっちに来い!」と挑発した。

 足が痛くて歩けなかったので、それしかできなかった。


 イノシシは子供の挑発は無視して、2人の女の子に突進して……真っ二つに両断された。



 両断したのは、大剣を握った幸一伯父さん……父さんの兄だった。


 一緒にいたメアリねえちゃんは怪我をした俺に駆け寄り、

「痛いの痛いの飛んでけー」

 とおまじないをかけてくれた。

 キラキラ光って綺麗だった。


 現金な俺は、それですっかり痛みを忘れた。


 凶悪なイノシシを一撃で真っ二つにしてやっつけた幸一伯父さんは、俺たちのヒーローになった。

 それまでは、父さんの兄にしては厳つい容姿をどちらかと言えば怖がっていたが、俺たち兄妹は一気に懐いた。

 特に妹の沙織は「おじさんとけっこんするー」とまで言っていた。

 今でも細身のイケメンより、マッチョな男が好みのようだ。

 ……そういえば、彼氏の顔をまだ見てないが、多分マッチョなんだろう。



 さて、この夢を見るのも久々だ。

 この後、イノシシ鍋を食べるまでがセットだ。


 ちょっと前までの俺は、

「イノシシの大きさデカ過ぎ!」

「一撃で両断とか、美化しすぎ!」

「本当に痛いの飛んでいくとか、俺チョロいな!」

 と笑い飛ばしていた。


 でも……


 この世にはサキュバスが居る。鬼が居る。吸血鬼が居る。

 常識では考えられないスキルを持った存在が居る。ステータスが見れる俺もそうだ。


 もしかしたら、実在するんじゃないか?

 超巨大なイノシシも、それを両断できる力も、折れた脚を治療する力も………



叔母を姉と呼び続けて修正する機会を逸したのは、作者の現在進行形の実体験だったりします。

今さら「叔母さん」呼びは違和感あるんだよぉ……


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