図書室に行ったら口でしてもらえた
昼休み。
昼食を急いで食べた達也は図書室にやってきた。
「あら、遠藤君。珍しい……けど、時間早すぎない?
ダメよ、お昼はちゃんと食べないと」
昼休み早々に現れた達也に、司書が注意する。
そういう彼女はヨーグルトとパック牛乳が昼食らしい。
ダイエットでもしているのだろうかとか、カウンターで飲食していいのかとか疑問はあるが、達也はとりあえずそれは無視した。
「ちょっと、調べたいことがありまして。例の本、奥にありますよね?」
「あるけど、貸出禁止よ」
「はい。ここで読んでいきます」
貸出禁止で持ち出せないからこそ、急いで来たのだ。昼休みの間に読んでしまわないといけない。
奥の棚に向かい、目当ての本を探す。
程なく目当ての本を見つけ、閲覧机に向かって本を開いた。
「サキュバスは……あった」
「モンスター大全」という書籍だ。
今年廃部になった卓上遊戯部……卓ゲ部の備品だった本だ。3月に卒業した幼馴染がその部活の所属だったせいで、入学早々備品の整理に駆り出された。その関係でこの本の所在を知っていたのだ。
その中のサキュバスの項を開いた。
サキュバス。夢魔、淫魔とも呼ばれる悪魔。
「サキュバス」とは女性の姿をしたものの呼称であり、男性の姿のものは「インキュバス」と呼ばれる。
サキュバスとして男性の精液を集め、それをインキュバスとして女性に注ぐことで悪魔を孕ませるという。
夢魔と呼ばれる通り、夢の中で性交を行うとされ、男性の夢精は「サキュバスの仕業」とされる。
また、女性が望まぬ妊娠をした場合「インキュバスの仕業」とされ、しばしば不倫の言い訳に使われた。
「……弱点とか書いてないのかよ……」
サキュバスである高橋に呼び出されているのだ。
放課後までに何か対策を。と考えていたところにこの本の存在を思い出したのだが、特に役に立たないようだ。
いや、ここに書いている通り「男に夢精させる悪魔」なら、先に一発ヌいておけば良いだろうか?
「なぁに? こんなページ見て。
エッチなシナリオでも書いてるの?」
「うわぁぁ!!!」
突然、背後から声をかけられた。
「あら、驚かせちゃった?」
声をかけてきたのは、司書だった。
「びっくりさせないでくださいよ、根岸先生」
「ごめんなさい。
でも、シナリオを書くくらいなら、卓ゲ部を復活させない?」
司書教師の根岸 香苗は元卓ゲ部の顧問で、達也に備品整理を依頼した張本人だ。
卒業した幼馴染を通じて以前から顔見知りだったので、卓ゲ部に誘われているのだ。
達也は帰宅部だし、幼馴染の影響で興味もあるにはあるのだが、わざわざ他人を勧誘して復活を申請するほどの情熱はない。
「いえ、別にシナリオの為に見ているわけでは……痛っ!」
痛みを感じて指先を見ると、血がにじんでいた。
どうやら紙で切ったらしい。
「ごめんなさい! 声をかけた時に切ったのね」
「すみません、絆創膏と消毒薬を……」
お願いします。と言おうとした。
他の学校は知らないが、ここではこういう事態に備えて用意してある。
それを出してきてもらおうとしたのだ。
だが、それを伝え終わる前に、それは起こった。
「……チュパ……んん……れろ」
根岸先生が傷を負った指を舐めはじめた。
驚いたが、頭では理解できた。
指を傷つけたのは古い本だ。それなりに汚れている。
なので緊急処置として舐めたのだ。
唾液にはかなり強力な殺菌成分がある。
傷口の消毒・洗浄には丁度良い。
「舐めとけば治る」は伊達ではないのだ。
そう。医療行為だ。
頭では理解している。
「……ん…れろ…ん……ん……」
長いまつ毛を伏し目がちにし、艶のある長い黒髪が顔にかかるので、押さえながら男のモノを一生懸命しゃぶっている。
……どうみても性行為にしか見えなかった。
いや、これは今までサキュバスの説明文で性行為だの夢精だのといった言葉を読んでいたからそう思うだけだたぶんそうだ。
「…………ん、ひとまずこれで良いわ。
救急箱をもってくるから、戻るまでに血が出たら自分で舐めておきなさい」
そう言って根岸先生は離れて行った。
指を見ると、唾液で濡れててらてらと光っている。
戻るまでに血が出たら自分で舐めておきなさい
……ゴクリ
イケナイ考えが頭をよぎる。
いや、さっきのは医療行為だ医療行為医療行為いりょうこうい……
そう言い聞かせてある欲求と、ついでに下半身の問題を振り払う。
でも、血が出てきたらしょうが無いよね……
卓ゲについて知らない人は適当にググってください。
一応、後の章で達也君にどういう部活かを解説させる予定ですが……