表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ステータスが見えるようになったらハーレムできた  作者: マルコ
部長になったら彼女が増えた

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/47

血を舐めたら興奮した

 閑静な住宅街と言えば聞こえは良いが、それはつまり人通りが少ないということだ。

 真っ暗な道を独り歩く。

 私は暗視ができるので平気だが、普通の人間なら、怖くてしょうがないだろう。

 それとも、もう慣れてしまっている頃だろうか?


「いつになったら直すのよ……」


 街灯の話だ。壊れてからそろそろ2ヵ月だ。私だけでなく、何人か通報していると思うのだが……


 駅前の繁華街ばかり危険だと騒がれるが、こちらの方がよっぽど危ないだろう。

 自分が誰かを襲うなら、駅前よりはこちらを選ぶ。……いや、やらないが。


 ……なんて考えていると、誰かが襲ってきた~なんて事もなく、自宅に帰り着く。

 まぁ、襲われたところで自分がどうにかなるとは思っていないが。


「ただいまー」


 ワンルームの誰もいない我が()だが、声を出してしまう。


 さて、今日は金曜日なので思う存分アレを食べられる。

 冷凍庫から材料を取り出し、レンジに入れる。

 解凍している間にシャワーを浴びて一日の疲れと汚れを洗い流す。


 さっぱりした後、エプロンを身に着けて台所に立つ。

 以前裸のまま料理したら、油が飛んできて大変な目に遭った。エプロンは大事だ。

 所謂(いわゆる)裸エプロンというヤツだが、見せる相手はいない。


 完成した夕食を食べる。エプロンを取り、裸のままで。

 うん、良い出来だ。


 裸のままなのは、別に露出趣味があるわけではない。

 単に部屋着を着なければ、洗濯もしなくて良いからだ。


 ……どちらにしても、女子力サイテーなのは変わらないか。


 いや、女子という年齢でもないのだ。認めたくはないが。


 晩婚化が進んでいる時代とはいえ、この年まで結婚はおろか、処女。

 付き合った男も居ない。というのは一般的にどうなのだろうか?


 いや、言い訳はある。

 ずっと女子校だったのだ。出会いなんかなかった。


 ……いや、その言い訳は苦しいか。

 私を「お姉さま」と呼び、そっちの趣味だとしか思えなかった後輩は早々に結婚した。


 いやいや、職場も悪い。

 高校の司書教諭なんて、全然出会いがない。


 ……これもだめだ。

 同期で教師になった友人はどんどん結婚している。

 というか、子供を産んで職場復帰しているヤツまでいる。


 種族的な問題……はもっとダメだ。自分の存在を否定することになる。

 吸血鬼の父と人間の母は普通に恋愛結婚だった。男女が逆でも同じことができる筈なのだ。


 結局は自分自身の問題なのだ。

 金曜日だからといって、ガーリックピラフを頬張ってる事に問題がある。

 つまり、明日匂っても問題ない。どこにも出かけない。誰にも会わない。という事だ。


 ああ、ヒッキーだよ。

 悪いか? ちゃんと働いてるんだ。

 給料安いのに司書教諭なんてやってるのは、本好きなのもあるがずっと引きこもってられる仕事だからだ。

 仕事は早いと自負している。

 余った時間はひたすら本を読んで過ごせる。図書室に入れる本も、多少は趣味を反映できるのだから、天国のような環境なのだ。

 そんな職場環境で、吸血鬼の自分と同じく日に弱い本を管理する司書は、天職だと思っている。



 吸血鬼。

 自分がそうだと意識することはそれほど多くない。

 そもそも、世間一般の吸血鬼のイメージと自分はかけ離れている。


 曰く、日に当たると消滅する。

 日に弱いのは確かだが、日常生活に支障はない。夏場は日焼け止めが手放せないが。


 曰く、流水を渡れない。

 橋を渡るのは問題ない。よほど流れが早くない限りは泳ぐ事もできると思う。


 曰く、十字架が苦手。

 キリスト教のプロパガンダだよね?


 ニンニクが苦手。

 むしろ好物。苦手な吸血鬼も居るだろうけど。


 招かれなければ部屋に入れない。

 行儀が良いだけでは?


 心臓に杭を打ち込むと死ぬ。

 誰でも死ぬよね?


 血を吸う。


 ……これは否定しない。

 吸わないと死ぬ。という事もないけど、吸いたくなる。


 普段は牛乳とかの乳製品で我慢している。

 ほら、乳って血からできてるから。


 漫画とかだと、トマトジュースが代用品とかっていう描写あるけど、無理だから。全然違うから!

 いや、牛乳とかも違うけどマシなのは確か。

 あとは肉屋で血が売ってることがあるので、それを飲んだりしている。

 けど、やっぱり人の血が良い。


 昔はお母さんに飲ませてもらっていた。お父さんの分がそれだけ減っていたんだと思う。悪いことをした。

 最近は頼んでも断られている。


「彼氏に飲ませてもらえ」


 だって。

 いない。っつーの!


 ていうか、男の血なんて飲んだこと……あったわ。



 遠藤 達也。


 今年入学した子だが、数年前から卓ゲ部に遊びに来ていた。

 幼馴染が部に所属していたらしいが、どの子がそうだったのかまでは知らない。

 顔は良いし、気は利くし、正直に言えば好みだ。


 だからだろう。彼が指を切った時、思わず血を舐めてしまった。

 あの時は性的にもかなり盛り上ってしまったのだが、バレなかっただろうか?


 ……いや、彼の顔がかなり赤くなっていたので、たぶんバレただろう。

 それとも、自分の妄想だと思ってくれただろうか?


「でも、生徒だしなー」


 だが、背徳的な感じが燃える……いや、萌える? どちらでもいいが。

 彼は潰れてしまった卓ゲ部を復活させる気があるらしい。

 顧問として彼と接する時間が増えるかもしれない。

 それはつまり、彼をオトす時間も増えるという事だ。


 いや、何か違うな。

 こちらが年上として迫るよりも、グイグイと引っ張ってもらいたい。

 こんな風に素っ裸でだらしなく過ごしている自分を叱って躾けてほしい。

 上手にできたら、ご褒美に血を飲ませてほしい。


 ああ、なんて甘美な想像だ。

 けどまぁ、ありえないな。

 彼が部に誘っていたのは女の子2人だ。若い子の方が良いだろう。


 そうは思えど、彼女たちに混じって彼に抱かれる自分を想像する。


 ああ、だめだ。

 こんなヘンタイ思考だから彼氏ができないのだ。

 達也君だってドン引きだろう。



 でも、例えば……「ゲームに負けたら何でも言う事を聞いてあげる」

 なんて約束をしたら……彼はどんな命令をしてくれるだろうか?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
下記の作品もよろしければご覧ください。
女装令嬢の日常
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ