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ステータスが見えるようになったらハーレムできた  作者: マルコ
ステータスが見えるようになったら彼女ができた
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ステータスが見えるようになったらクラスメイトの秘密を知ってしまった

こちらは短編と同じ内容です。

短編読んだ方は読み飛ばし可です。


 日曜の夜。

 風呂にも入り、後は寝るだけ。という時間。


 愛用のタブレット端末でネット小説を読み漁る。


「お、久々に更新されてる」


 愛読している小説の更新通知を見つけ、早速読む。

 内容は良くあるゲームっぽい異世界転生モノ。

 書籍化したせいで、更新が遅くなってしまっているのが残念だ。

 いや、作者本人にとっては書籍化こそが目標でモチベーションなのだろうから、文句は言えない。それに、タダなのだから。


 他にも何作か読み漁るうちにそろそろ眠くなってきた。

 そのまま意識を手放すのが、いつものパターン。


 ふと、タブレットから目を離し、自分の手をみて念じてみる。


『ステータス・オープン』


 彼はこれでも高校生だ。

 誰かにバレたら軽く死ねるような事をしている自覚はある。

 眠気に支配された頭で、発作的に過去の病(中二病)がぶり返したのだ。


 まぁ、誰だって一度はやってみるだろう。

 誰だって分かってやるのだ。

 何も起こらない。


 かめはめ波は撃てないし、舞空術だって使えない。

 傘を振り回してもアバンストラッシュにはならないし、魔法も使えない。

 ベルトを付けて「変身!」と叫んでも何も変わらない。

「ステータス・オープン」なんて念じても、ステータスなんて出るわけがない。


 (なーんて、ね……え?)


「ステータス・オープン」なんて念じても、ステータスなんて出るわけがない。

 ……はずだった。


 しかし、彼の目にはっきり見えた。



 名前:遠藤 達也(童貞)

 種族:人間

 年齢:16

 家族:父・母・妹

 体力:82

 筋力:70

 (以下略)




 何が何だか分からない。

 彼……遠藤 達也は特別な人間ではない。

 特別な才能なんて、これっぽちもない。

 こんな、ステータスなんて、見れるわけがない。


 (ああ、夢か。いつのまに寝たんだろ?)


 達也は、あっさり夢だと判断した。

 このまま夢の中で遊ぶことも考えたが、なにしろ眠い。


 夢の中で眠い眠いと思っている夢を見ると、翌朝の目覚めは最悪だ。

 ちょっと珍しい夢だが、どうせ自分の知っている情報しか見れないに決まっている。

 ならば、この眠気に身を任せる方が得策だと判断し、そのまま眠りに落ちた。


 (童貞とか、ほっといてくれ……)



 -----------------------------------------------------



「おはよー」


 翌朝、パジャマのままリビングに顔を出すと、朝食を食べている制服姿の妹と、台所に母の姿が見えた。

 父は出張中で居ない。


「沙織はもう制服なのか?」


 いつもなら、同じ様にパジャマのまま朝食を食べるはずの妹に声をかける。


「今日日直だから、早いの」

「ふーん」


 日直で朝が早いのは時々ある事だが、何だか今日は嬉しそうだ。

 前回までは愚痴りながら朝食を食べていたのに。


 何となく『ステータス・オープン』と念じてみる。

 昨晩ぶり返した病気がまだ治まっていない。



 名前:遠藤 沙織(処女)

 種族:人間

 年齢:14

 家族:父・母・兄

 恋人:1

 体力:70

 筋力:59

 (以下略)



「!?」



 ステータスが出てきて驚いた。


 (それに、何だこの 恋人:1 て!?)


「お兄ちゃん、どうしたの?」

「あ、いや、えと……なんでもない」

「へんなの」


 まさか、ステータスが見えて驚いたとは言えない。

 それに、恋人:1。


「あー、沙織?」

「なに?」

「お前、彼氏とかできた?」

「ぶは!」


 盛大に咽た。

 ちょっと女子中学生としてはどうなのよ?というくらいに。

 まぁ、その態度は肯定ということなのだろう。


 (ああなるほど。日直は彼氏と一緒なのか。

 しかし、誰なんだ恋人:1)


 恋人:1を注視していると、そこにポップアップのように名前がでてきた。


「佐藤 健也」


 知らない名前だった。

 まぁ、妹の交友関係をすべて把握しているわけではない。

 何とかその場を取り繕って学校に向かう妹を見送りながら、今夜にでもじっくり話を聞こうと母と話しつつ朝食を食べた。



 -----------------------------------------------------



 達也は徒歩通学だ。

 毎日同じ時間に同じ道を通るので、すれ違う人や、追い抜く人、逆に抜いていく人は顔だけは知っている。

 そういった人々のステータスを眺めながら歩いている。


 (これも夢……じゃないよなぁ?)


 何度も頬を抓ったりして確かめた。

 もっとも、痛覚のある夢を見たことがあるので、確実ではないが。


「おはようございます」

「ああ、おはよう」


 いつもすれ違う、犬の散歩中の老人に挨拶をする。

 ふと思いついて犬のステータスを見てみる。



 名前:榊原 幸太郎

 種族:犬

 年齢:8

 家族:父・母・兄弟姉妹計20、子3、飼主家族

 体力:100

 筋力:80

 (以下略)



 (犬も見れるのか)


「家族」が異様に多いが、まぁ犬だからだろうとあたりを付ける。


 人々のステータスを見ながら歩いていたので、いつもの時間よりは少し遅れて教室に到着した。が、遅刻ではない。

 ここでもクラスメイトのステータスを見る。そして、ある項目に安堵を覚える。


 (なんだ、みんな童貞、処女ばかりじゃないか)


 いや、恋人が居る奴もちらほらいるが、「童貞」「処女」の記述が無い人物はほとんど居なかった。


 (しっかし、意外だな)


 達也はとある人物のステータスをもう一度見る。



 名前:海藤 専一(童貞)

 種族:人間

 年齢:16

 家族:父・母

 恋人:1

 体力:90

 筋力:84

 (以下略)



 クラスでは遊び人と認識されている男で、実際に容姿も派手だ。

 だが、意外に童貞。恋人:1だ。通学路で恋人:2や3という人も居たので、一途らしい。

 相手は誰かと思えば、クラスでも目立たない女子だった。これも意外だった。


 (人は見掛けによらないんだなぁ)


「おはよー」

「おはよーサキー」

「遅刻ギリギリじゃーん」

「えへへー寝坊しちゃって……」


 クラス……いや、学校でも1、2を争う美少女の片岡 咲が教室に入ってきた。


 (片岡さんには恋人はいるのかな……?)



 名前:片岡 咲(妊娠中:3日目)

 種族:人間

 年齢:16

 家族:父・母・中絶2

 下僕:5

 体力:75

 筋力:69

 (以下略)



 (――――!!!)


 酷い。

 一瞬、理解できなかった程だ。


 妊娠中:3日目


 これも酷いが、まぁ彼女ほどの美少女なら恋人もいるだろう。

 そういう事もヤるだろう。

 避妊に失敗することもあるかも知れない。

 中絶も、彼女の年齢なら仕方がないかも知れない。


 決して誉められる事ではないが。



 (けど、下僕:5って何だよ!?)



「恋人」ですらないのだ。

 学校のアイドルがドン引きするくらいのビッチで(たぶん)女王様だった。


 (人は見掛けによらないんだなぁ)


 数十秒前に同じ事を考えたが、心境は真逆だった。


 (あと見てないのは……ああ、委員長がまだだったか。)


 メガネでお下げで委員長な高橋 恵に目をやる。



 名前:高橋 恵(処女)

 種族:サキュバス

 年齢:16

 家族:父・母・姉5

 体力:212

 筋力:361

 (以下略)



 (――――――――!?!?!???)


 驚いた。

 どこから突っ込んで良いのか分からないくらい、滅茶苦茶なステータスだった。

 思わず凝視していたら、恵が達也の方を見た。


 一瞬、怪訝な顔をした後、こちらに歩いてきた。


 (バレた!?)


 達也は恵が目の前に来るまで……いや、目の前に立っても動けなかった。


「遠藤君。進路の紙、持ってきた?」


 達也は安心した。

 それは確かに今日提出するように言われていた資料だ。

 ちゃんと鞄に入っている。


「ゴメン、ワスレチャッテサー」


 (!?)


 口が勝手に言葉を紡いだ。


「もう! これ、放課後までに書いて持ってきてね!」


 恵が進路調査票を出す。




「――見たよね?」




 達也にだけ聞こえるくらいの声で、しかしはっきりと言った。


「放課後、絶対持って来てよね!」


 念押しして自席に戻る恵。



 (―――――サキュバスよりビッチって、どんなだよ!)


 人生最大のピンチに、達也はそんな事を考えていた。



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