2区:勧誘
無事に入学式を終えて、高校生活を送っていた七海と詩音。
「七海はさぁ~。部活どうするの?」
詩音が七海に対して聞いてみた。
「ん~。特には考えてないんだよねぇ~。文芸部もパッとしないし、運動部は体力的にきつそうだし。料理部とかなら楽そうだし、楽しそうかなぁ~なんて思ってるところ。」
「陸上部は?」
詩音が七海に聞いた!
「陸上!!?ないない!!詩音じゃないし、わたしの運動能力じゃついていけないし、迷惑かけちゃうよ!ムリムリ!!」
詩音に対して全力で否定をした。
「そっかぁ~。七海は向いてると思うんだけどなぁ~。」
「無理だよ!続かないからやめとくよ。」
そんな否定をしていると、廊下からざわざわした声が聞こえてきた。
「なんだろうね?」
七海が詩音に聞いてみた。
「たぶん、うちの先輩たちが勧誘に来たんだと思う。あの人に。」
そういうと詩音がその人の方に指を指した。
『椎名藍』
背が大きく、目立つ。確か学力も高くて、入学式でも代表の式辞をやっていた。
「陸上界じゃ、有名人だからねぇ。なんせ、全中に出てるぐらいだから。でも、部活には入ろうとしていない。だから、先輩が何としても入部させるとか言ってる。まぁ~、一種の勧誘だよね。」
「全中選手がいるんだねぇ。すごいね。なんでやらないのかなぁ~。才能があるなに。」
「まぁ、なんかしらあるんだろうねぇ。知らないけどさぁ。」
そんなこんなでほぼ毎日のように。いや、毎時間勧誘にきていた。
そして、入学して1ヶ月がたったあたりで体力テストというなのイベントが待っていたのであった。
「なんで高校生にもなってこんなことしなきゃいけないのぉ~。」
七海が早速、嘆いていた。
「しょうがないよ。やらなきゃいけないことだもん。」
詩音が優等生の回答をした。
「それも、最初に800mとかなんなの。きついし、足いたくなるし、やりたくない種目、ナンバーワンだよ!」
「あははは。大丈夫だよ!わたしが計測係で応援してあげるから。」
「ありがとう。詩音。ビリにならないように応援してね。」
そんなことを言いながら体操服に着替えて校庭へと向かった。
校庭は公立高校の割には広く400mトラックを使って走る。全員ではなくクラスを半分に分けて行うこともあって、最初の組に詩音。あとの組に七海が走ることになった。
詩音は部活にも在籍していることもあり、圧倒的な走りを見せていた。
走り終わってもけろっとして楽そうに戻ってくる。
「部活は入っているんだからもっと軽く走ればいいのに。」
「それをやると顧問に怒られるから。でも、七海の番だよ!がんばって!」
「はいはい。それじゃ、恥をかかないようにがんばってきます。」
頭をしたに向けてスターと地点に向かうと隣は…椎名藍であった。「あぁぁ。よりによってこんな人のとなり!勘弁してほしいよぉ。」
椎名さんの真剣な眼差しはやってやるぞという雰囲気がでていた。
「いちについて。」
担任がスタートの合図をする。
『ばーん!!』
スタートをするとすぐに椎名さんが前に出てくる。七海がその後ろにピッタリとついた!やる気はなかったはずだが、ついていってみたいと思い、思わず反応をしてしまった。