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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

江戸四方山話 始末人 菊花編。読売口上お試し版。

作者: 蘿蔔 華宵

こちらは台本を小説に書いたものです。

朗読など、放送にてご利用の際には、作者名、掲載URLの表記をお願い致します。

その他のご利用はどうぞお問い合わせくださいませ。



こちら、声劇用台本を小説にしようか迷い中でございますもの。

試しに、登場する人物の口上のつもりで書いてみました。

声に出して読むと楽しいやも知れません。

一番初めは 刹那くて


二番煎じは 世知辛い


仏の顔も三度まで とかくこの世は金次第


金金金じゃ金の為 亡者や鬼の悪行も


晴らせぬ恨みも晴らしやしょう。


きっちり始末をつけやしょう。


闇を駆け行く 始末人。


此処から先は   通せんぼ。





時は元禄江戸時代。

細かい事は聞かぬが花。

一つ話してしんぜやしょう。


現世、来世、何時の世も。過去も昔も人は人。

世知辛い世の中になってきやしたねぇってぼやいてみても、毎度のこと。


はてさて、何処から話しやしょう。


一口にお江戸、お江戸と申しましても、そりゃぁどえらく、広うござんす。

皆様もご存知の、明暦の大火めいれきのたいか

俗にいう振袖火事ってやつですな。え? ご存じない。

そいつはもったいねぇ。ですが、そちらの話はまた次の機会にゆっくりと。


で、ですな。その大層な大火事の後、再建されて広がった町。人呼んで八百屋町。

様々な人で賑わうようになりやした。


町人、侍、入り乱れ。

老若男女が集まれば、自ずと起こる悲喜こもごも。

さぁ、やっと本題だ。


夜もとっぷりと更けようという刻限。


思いつめたように叫ぶ女の声。

次いで聞こえる男の怒声。

「ぬぅう、おのれっ、無礼者! あるじの身体に傷をつけおったなあっ」

静まり返った武家屋敷。絹を裂くような女の悲鳴が夜空に消える。


「殿っ、何事でござりまするかっ」

すぐさま駆けつけたのは、絵に描いたような忠義の男。

青山家にこの人有りと謳われた、伊川主税いかわちから

文武に秀でたこの男は、家柄育ちも申し分なく。

実直な人柄に誰もが【鉄山に伊川】【伊川の持ち腐れ】と、まぁ褒めてるんだかけなしてるんだか。


さてもこの伊川。主君の一大事と云わんばかりに、勢い良く主の部屋に踊り込み、目にしたものは。

どんななまくら刀でも違えず殺れる。心の臓を一突きされて倒れる女中の姿。

「っ、こ、これは……。お菊、しっかりいたせっ、お菊っ」

必死に揺さぶろうとも、乱れた胸元を真っ赤に染め、すでに哀れに事切れ返事がない。

傍らに息を弾ませ、仁王立ちに立っている大男。

大きな身体に大きな顔。目も鼻も、口もそろって大造り。

小っせえのは肝っ玉と男の器量ってぇので知る人ぞ知る、青山鉄山あおやまてつざん

何処にでもいやすでしょう、生まれと育ちに関わりなく、残念なっ奴ってぇのが。

それですな。


「殿……」

戦国の世でもあるまいし、よもやその腕にうら若い女中の遺骸をいだくとは

太平の世にあるまじき惨劇。

思わず呆けて主人に声をかけますな。

するってぇと鉄山、あろうことかその場にふんぞり返って胡座をかき、倒れた銚子を逆さに振って残った酒を飲み始めやがる。

それでも、人を殺めて気が立っているのか、ふんふんと息を荒らげて震えた声で伊川に向かって「っふん、騒ぐでない」と。

続けて「女中の分際で余の手に爪を立てるなどと……お、思い知ったかっ。っは、はははははは」と笑おうとはするも、こわばり引きつった顔を歪めるばかり。

「いったい……」何故このようなと言いかける伊川に、「ふんっ、気が削がれたわっ。出掛けてまいる!」と荒々しく言い捨て部屋を出る。

その後姿に慌てて、お待ちくだされと声をかけても何処吹く風。

後に残った女の死骸と忠臣伊川。


はてさて、このお話はこんなところから始まりやす。

回る因果は糸車。

紡ぐ絆はなんとしよ。


絡まり解れた謎の先。


さぁ、どうですかい。

気になりやすかい。


そんなら売ってしんぜやしょう。


さぁ、買った買ったぁ!


続きは読んでのお楽しみだぁ!










台本を小説に直すのにどのように作っていこうかと悩んだ中で考えたものの一つです。いかがでしょうか。

朗読などにおつかになる場合は作品URLと、作者名の明記をお願いいたします。

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