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社会不適合者の異世界戦記  作者: サツキ
第1章~落とされて異世界~
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緊張のご対面

次話投稿します。

 「ようこそサンベルグへ、歓迎するよ。ぼくはこのサンベルグ領の領主、アルフレッド・サンベルグだ」


 「自分はサツキと言います。森で迷子になっていたところにセリカお嬢さまとライアンさんたちに偶然会うことができ、こうして都市に辿りつくことができて本当に助かりました」


 レティさんに連れられて城の中を案内されたそこは食堂のようで、そこには温和そうな雰囲気の40代後半くらいのメガネを掛けた男性が待っていた。歓迎の挨拶から握手を求められ応じると、見た目の印象よりも手はゴツゴツしていて力強かった。ちなみにアルフレッドさんの髪は金髪だったから、奥さんの方が赤髪なのだろう。



 「何を言うんだい。聞けば助けられたのはセリカたちの方だと言う。しかもその相手がグラン・スコルピオとなれば、あの人数で討伐できたことそれ自体が幸運に違いない。君はもっと自分の功績を誇るといい」


 「ははは、どうにも褒められるのは慣れていないものでして」


 「ふむ、なかなか謙虚な性格のようで気に入ったよ。このサンベルグで過ごす間はこの城に滞在するといい」


 「ありがとうございます。ご厚意に甘えさせていただきます」


 「我が家と思ってくつろぐといい。さてセリカ、無事に戻ってくれて何よりだ。昨日、カナトスの途中にある森にグラン・スコルピオが出たと聴いて急ぎ部隊を編制し、討伐に向かわせようとしていたところだったんだよ」


 「サツキさんのおかげで無事に帰ってくることができました。あの方がいなかったらわたし達は生きて戻れなかったでしょう」


 親子の会話に口を挟む訳にもいかず、黙って後ろに控えておく。だが、自分のことを話されているのを傍から聴いているのはどうにもむず痒いものだ。



 「先程は悪かったわね。改めて自己紹介させてもらってもいいかしら?」


 声を掛けられ振り返ると、そこには着替えてきたのかシンプルなデザインのワンピースに身を包んだレティさんが立っていた。



 「ええ、どうぞよろしくお願いします。それとさっきのことはそこまで気にしていないので大丈夫ですよ」


 「そうね、あの程度はあいさつ代わりみたいなものよね。明日の本番が楽しみだわ、と話が逸れたわね。わたしはレティーア・サンベルグ。サンベルグ家の長女になるわ」


 何やら不穏な言葉が聞こえた気もするがあえて無視しておこう。トラブルは心配したところで勝手にやってくるものなんだから、今から気にしていたら眠れなくなってしまう。



 「どうやらレティともあいさつが済んだみたいだね。すまないが妻は体調が優れなくてね、また今度紹介させてもらうよ」


 体調が悪いのでは仕方がない。気にしないでくださいと告げると、もう一度謝ってから傍に控えていた執事みたいな人に何かを言い、その執事はすぐに扉の向こうに消えて行った。

 というか、あの執事いったい何時から居たんだ?全然気づかなかったぞ。



 「さあさ、食事といこうじゃないか。お腹が空いただろ?食事をしながらグラン・スコルピオを討伐したときの話を聞かせてもらえると嬉しいな」


 「それくらいならお安い御用です。と言ってもあまり話上手ではないものでして、楽しませることができるとお約束できないのが辛いところではありますがね」


 「なに、そんなことは気にしないでくれ。楽しませようとは思わずに、気楽に話してくれればそれでいいよ」


 「そうですよ、サツキさん。わたしも微力ながらお手伝いします」


 「それは心強い。よろしくお願いしますね、セリカお嬢さま」


 はい、と頷くセリカちゃんに微笑み返すと席に促され、それからは楽しい晩餐会を過ごすことができた。ちなみに料理はなかなか豪華なものだったが、なんとなく物足りなく感じてしまったのは内緒だ。






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 「ふぅ~~なんだか疲れたな……」


 晩餐会が終わり、客室に通されて一息つく。やっと1人になれて少し落ち着くことが出来た。今日で異世界生活2日目。まだまだ慣れたとは言えないが、なんとなくワクワクするのはどうしてなんだろうな。



 「まあ、この生活が向こうでは味わえない刺激的なものだからってのもあるんだろうな」


 コートを脱いでハンガーに掛け、装備一式をベルトから外してテーブルの上に置いておく。それでも用心の為に枕元にリボルバーだけは置いておく。さすがに暴発はしないと思うが怖いものは怖いので枕の下に置くことだけはしないが。



 「ベッドはふかふか、それに天蓋付きとか、俺には一生縁がないと思っていたけどこんなこともあるんだな」


 ベッドに横になり、ちょっと休憩するつもりでいたがすぐに睡魔が襲ってきて早々に眠くなってしまい、そのまま抵抗することなく眠りに落ちた。


















 「やっほ~~元気にやっているかい?異世界ライフを楽しんでるなら良いんだけど!?」


 「うぉい!いきなり現れるんじゃねぇよ!ってかここどこだよ!?」


 「ここは君の精神世界ってとこかな?ちょうど夢を見ていたみたいだったから、そこに割り込んじゃった」


 てへっと笑うロリ女神にうんざりしつつ周囲を見渡す。相変わらず真っ白過ぎて薄気味悪いと思う。もう少しいろいろ物を置くなり、せめて庭園みたいな形にするとかの努力をすべきだと思う。



 「いや~~それって意外とめんどいっていうか、ぶっちゃけこの空間にいること自体があまりないから凝る意味がないんだよね。それよりも今日、君をこの空間に呼んだのはちょっとだけヒントを与えるためなんだよ」


 「ヒント?それって世界を滅ぼすどうのこうのってことか?」


 「ううん、それはまだだね。わたしからのヒントっていうのは君の心造兵装について。それも仮面の方の力を確かめる方法を提供するだけ」


 「なんか前は知らないとか言ってなかったか?」


 「それはそれ、これはこれ。神様にはいろいろ確かめる方法があるのよ」


 「だったら全部教えてくれりゃ楽なのに」


 「そうやって何でも答えを誰かに求めるからあなたはダメなんだよ」


 グサッと胸に刺すような痛みが走る。確かにそれは先輩によく言われた言葉だ。わかならいから答えを求めているのに、お前は自分で考えないからズルいな、とかよく言われたものだ。



 「まあとにかく、今度何かと戦うことになったら仮面を着けてやってみなよ。そうすればわかる筈だからさ。ああそういえばその仮面、形状もある程度変えることが出来るみたいだから、仮面が不味かったらメガネとかを想像してみたらいいんじゃないかな?」


 「なんだか適当なアドバイスだな。そういやこの心造兵装って何か制約とかないのか?」


 「う~ん、特にはなかったと思うけど……。注意点としてはあまり使い過ぎるなってことかな。あくまでも自分の心を武器にするんだから、消耗しすぎるのは命を縮めることになることになりかねないからね」


 「わりと重要な注意点だったと思うけどな。ああそうだ、銃の弾なんだがこれってどうなっているんだ?ポーチから使った分が次の日に見たときには補充されていたみたいなんだが……」


 「それはサービスみたいなものかな。使っている技術自体は今の世界でも再現できないことはないんだけど、まだあなたはそれを知らないから困ると思ってね。使った分は次の日に補充されるようになっているから、弾を増やしたかったらポーチから弾を抜いておけばいいよ」


 これはいいことを聞いた。弾の製法を知るまでは無限に供給してくれるのであればありがたい。補給をどうすればいいのかが気がかりだったから、これで弾の心配をしなくて良くなったので安心して使うことが出来る。ゲームとかだと特別な道具は勿体なくて宝の持ち腐れ状態になっていることが多かったので、これで心置きなく使うことが出来るという訳だ。



 「さてと、そろそろお目覚めの時間みたいだね」


 「もうそんな時間なのか?」


 「うん、ここの時間の流れと外の時間の流れは違うからね。大丈夫、また会えるからそんな顔しないの」


 「そんな顔ってどんな顔だよ?」


 「捨てられた子犬みたいな顔……かな?」


 「んな顔してないっての!!」


 慌てて否定するが、少し不安になったのは本当だ。何時だって不安で、ビクビクしててそんな情けない自分が本当の自分だ。セリカちゃん達の前では明るく振舞ってはいるが、それはテンションを無理やり上げて慣れない環境にハイになっているだけだ。



 「あはは、それだけ元気なら大丈夫だね。じゃあ、またいつか夢で逢いましょう」


 パチンッ、と指が慣らされるのと同時に、ポッカリと足元に穴が開く。は?と思った時には落下が始まっていて、奈落の底へと真っ逆さまに落ちていく。



 「そうだ思い出した!もう一度会った時には殴ってやるってぇぇぇぇぇ!!」


 「あははははっ、なになに?聴こえな~い!」


 小バカにしたような笑い声に今度は忘れないぞと胸に誓う。絶対にこの借りを返すまでは何としてでもあの世界で生き抜いてやるのだ。


 そうして決意を新たに、俺の異世界ライフ3日目の朝が訪れようとしていた。

少し遅い時間になってしまいましたが、なんとか更新することができました。


明日も通常通り仕事があるのですが、まあなんとかなるだろうと気楽に考えて急いで寝ます。


 それではおやすみなさい!

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