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社会不適合者の異世界戦記  作者: サツキ
第1章~落とされて異世界~
8/32

お転婆お嬢さまにはご注意を!

結構遅くなってしまい申し訳ありません。


次話、投稿します。

 「でかいし、スゴいな」


  馬に乗って約8時間と言ったところだろうか?途中何度か休憩を取りつつ馬を走らせ続けた結果、彼らの言うサンベルグ領の首都に夕方には着くことができた。正直な話、初めて馬に乗ってこんなに長時間揺られ続けてお尻がもの凄く痛い。なんで彼らは大丈夫なんだろうか?


 だが、そんなことよりもこの都市だ。高い城壁に囲まれたそれは城塞都市とはこういうもののことを言うんだろうな、と1人納得しているうちにいつの間にか門に着いており、ライアンさんが門番の衛兵と何やら話を付けてこちらに来た。



 「門番と話をしてきた。サツキの入市税と身分証の提示についてだが、入市税については心配するな。私が立て替えておいた」


 「すみません。ありがとうございます。ちなみに幾らくらいなんですか?」


 「1000ギルだな。それほど高くないから気にしなくていいぞ」


 そんなことを言われても気にしない訳にはいかない。どうにか仕事を見つけてお金を稼いで、早めに返すことにしよう。まあ、そもそも通貨がギルと訊いただけでそれを日本円換算でどれくらいなのか、またこちらで仕事をした場合どの程度の労働で稼げるかわからない状況ではどれだけの価値になるのか想像もできない。これは一度市場を散策してある程度の価値観を養う必要がありそうだ。



 「あと身分証については後日ハンターズ・ギルドに連れて行ってやる。そこでハンター登録をすれば身分証の代わりになるから、それで問題ないだろう。幸い、腕については良い証拠があるからな」


 「ハンターですか?それに証拠って何かありましたっけ?」


 「証拠はこれだな。グラン・スコルピオの尾だ」


 ライアンさんが馬の鞍からサッカーボールより少し大きめの袋を取り出し、中身を開いて見せてくれたそこには自分の腹を貫いた毒針の部分が切り取られて入れられていた。いつの間に、と思いもしたが自分が寝ていた間にでも処理してくれていたのだろう。実際、朝起きた時にはあのサソリは燃やされて処分されたあとがあった。 



 「これをギルドに持っていけば討伐の証明になって換金してもらえる。北の森でグラン・スコルピオの討伐依頼が出ていればその報酬ももらえる筈だ。まさに一石二鳥だな」


 「そのハンターズ・ギルドに登録をするのにもお金がかかるのではないんですか?あと、ハンターって何かを狩るってことですよね。それって昨日のグラン・スコルピオとか化け物みたいな奴を専門に狩る人達ってことでいいんですか?」


 「むう、そうかハンターのことから説明しないといけなかったのだな。それはあとで時間ができた時にしよう。ようやく準備ができたみたいだからな」


 ライアンさんの視線の先を確認すると確かに一台の馬車が止まっていた。それにはセリカちゃんが乗りこもうとしていた。



 「セリカお嬢さまが乗っているようですが、自分が乗っても大丈夫なんでしょうか?」


 「な~に心配するな。お前は恩人なんだ。恩人を馬に乗せて連れていったとなれば礼を失することになり、私が当主からお叱りを受けることになる。だから私を助けると思って乗ってくれ。それに、セリカお嬢さまがお呼びだぞ?」


 ニヤリっと笑うライアンさんに促されて見てみると、確かにセリカちゃんが手招きしてくれている。気に入られたなってライアンさんは言うけど、ただ単に同世代の友人が近くにいないからとかそういう理由で話相手になってもらえれば、とかそんな感じだと思うんだよな。決して俺に惚れているとか、そんなことは絶対に思っていない。これは断言できる。勘違いして失敗した経験なんていくらでもあるからな。



 「そうみたいですね。では、行きましょうか」


 馬車に向かって歩いていくと、御者台にはロベルトさんが乗っていた。ほかの人たちはって見回してみると馬車の前にはケリーさんが、馬車の後ろにはダニエルさんとセリウスさんがいる。ライアンさんは自分と一緒に馬車に乗るようだ。



 「よろしくな、セリカちゃん」


 「はい、少しの間ですけどこちらこそよろしくお願いします」


 「サツキはお嬢さまの隣に座ると良い。私の方では窮屈な思いをさせてしまうからな」


 あからさまに近づかせようとしてる気もするが、確かにライアンさんの隣では肩身を狭い思いをすることになるから助かった。それにしてもライアンさんたちは暑くないのだろうか?ハーフ・プレート・アーマーと言うんだろうか?と、思考が逸れた。街の様子と人々の暮らしを見るだけでもそれなりに情報を集めることができる。



 「サンベルグの街並みはそんなに物珍しいですか?」


 「ん?ああ、そうだね。自分にはあまり馴染みのない街並みだったから、珍しくってついね」


 異国の街並みが珍しくてついきょろきょろといろんな所を見ていたのをセリカちゃんに見られていたようだ。くすくすと笑われてちょっと恥ずかしい。だが、レンガ造りの街並みは自分には本当に珍しいものだ。テレビで見たヨーロッパの街並みがこんな感じだった筈だ。



 「そんなに違うものなんですか?サツキさんが暮らしていたところはどんな感じなんですか?」


 「そうだね、自分が住んでいたところではここみたいなレンガ造りの家よりも木造の家やコンクリートって言っていろんな砂とか砂利、セメントとかいうのを水で練り合わせて壁を作るようなものが一般的だったかな」


 「そうなんですか。サツキさんの暮らしていた所と比べてどうです?ここサンベルグの街並みは気に入っていただけました?」


 「ああ、いい街だね。人々に活気があって、みんな楽しそうだ」


 通りを歩いている人達はみんな笑顔で、もう夕方だというのにまだ店を閉める気はないのか、通りに面した店はまだまだ客を呼び寄せようとしていたり、露天商も同じように客引きをしている。本当に活気があって良い街だと思う。


 通りの店なんかを眺めながらどんな物が売ってあるのかとか、人々の暮らしぶりがどのようなものであるかを訊いていると、いつの間にか城門まで着いていたようだ。馬車に乗ったまま城門を潜り、城の玄関前で停車して先にライアンさんが降りる。続いて自分が降りてセリカちゃんが降りるの補助するために手を取っていた時に勢いよく城の玄関を開け放って1人の女性が飛び出てきた。



 「セリカ!わたしの可愛いセリカは無事なの!?」


 「レティ姉さま!わたしはここですよ。この通り無事帰りましたのでもう心配されなくてもいいですよ」


 「ああセリカ、無事で良かった。あなたの身に何かあったらと思うと夜も眠れなかったのよ」


 セリカちゃんが姉さまと言ったということは、この燃えるような赤毛の女性はセリカちゃんのお姉さんということになるのだろう。姉妹で髪の色が違うということは両親で髪の色が違うとかそういうのだろうな。なんて姉妹が抱擁して再会の喜びを分かち合っているのを微笑ましく見ていると、ふとレティさんという方が自分に気付いてキョトンとした顔をしたあと、誰なのかをセリカちゃんに訊いていた。



 「レティ姉さま、紹介しますね。こちらはサツキさんといって、わたしが隣町のカナトスからの帰り道にグラン・スコルピオの襲撃にあって危機に陥った時に助けていただいた恩人です」


 「グラン・スコルピオに襲われたって本当なの!?それでよく無事に済んだものね。ということはかなりの実力者ってことになるわね」


 なんだかレティさんの目が鋭くなっていく。まるで肉食獣が獲物を見つけたような目だ。もしかしてお嬢さまなのにバトル大好きのバリバリの武闘派なんてオチはないよな?そんな心配をしつつも自己紹介は大事だと思い直し、笑顔を作って話しかける。



 「ご紹介に預かりました、サツキと言います。たまたまセリカお嬢さまの危機に駆けつけて運よく倒せただけですよ」


 「ふむ、己が手柄を誇らぬとは気に入った。少し見てみるか……」


 「はい?見てみるとはいったい……って!?」


 いきなり殴りかかってきた手を咄嗟に払い、後ずさることで距離を取る。しかし、レティさんはさらに踏み込んで今度は回し蹴りを放ってくる。それをしゃがむことで回避すると頭上で急停止し、強烈なかかと落としを繰り出してきた。



 「ちょっとお転婆すぎませんか?」


 「なかなかやるようね。今日はここまでにしておきましょう」


 かかと落としに対して両腕を交差することで受け止め、会話を交わしたあと、スッと退いてくれて少しホッとする。初見の相手にいきなり殴りかかってくるとは、思った通り武闘派だったようだ。パンツルックにブーツを履いていたことからなんとなく想像していたけど、あそこまで攻撃的だとは思わなかった。それに回し蹴りを途中で止めてかかと落としに切り替えるとは、相当鍛えているのだろう。



 「サツキさん、大丈夫ですか?」


 「ああ、セリカちゃん。心配しなくてもいいよ。ケガはないけど、ちょっと腕がまだ痺れているだけかな」


 ああ、心配して声をかけてくれるセリカちゃんにどれだけ癒されることか。それよりもライアンさん、少しは制止の声をかけて助けてくれてもよかったんじゃないかと睨んでみたが、ニヤニヤと笑っているライアンさんと目が合っただけでまったく気にしていない様子だ。



 「とりあえず、先ずは城に入りましょう。早くお父様に顔をお見せして安心してもらいたいですし、サツキさんのことも紹介したいですし」


 「ん~~でもちょっと心配だな。俺、偉い人と話なんかしたことないから、礼儀作法とか全然だよ」


 「それなら心配に及びません。お父様はそこまで厳格ではありませんし、理解もあるのである程度は大目に見てくれるはずです」


 「だったらちょっと安心かな?なんとか失礼にならないよう努力だけはしてみるから、何か不味いことをしたらそっと教えてもらえると嬉しいな」


 「ええ、任せてください。サツキさんのこと、きっちりサポートさせていただきます」


 よろしく頼むよ、と言うとセリカちゃんは嬉しそうに微笑んだ。釣られて自分も笑顔になる。妹がいたらこんな感じなんだろうな、と思っているとレティさんが呼ぶ声が聴こえてきた。さあ、ここから今度はレティさんに続いて第2戦の始まりのような気がする。2人の父親であるアルフレッドさんがどういう人かはまだわからないが、何事もなく済んでくれることを祈るばかりだ。



本当でしたらまた日曜の夜にでも更新しようと思っていたのですが、来週だと思っていた用事が朝からあると言われて出かけていって、帰ってきたらもともと予定していたライブを見に行って、と忙しくしていて執筆できませんでした。


初めてアイドルのライブを見に行きましたがファンの方の熱気がすごく、また掛け声を合わせて騒ぐのもなかなか楽しかったですね。

もう一度行きたいものです。



さて、私事はこれくらいにして今度こそ日曜には更新できるように頑張ります。


Ps.どなたかはわかりませんがお気に入り登録ありがとうございます!!本当に嬉しかったです!

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