ハンターのお仕事
約二週間ぶりの投稿です。
お待たせして申し訳ありません。
こちらの世界に飛ばされ、レティーアさんと戦ったりハンターズ・ギルドに登録したりといろいろあった日から数えて2週間ほどが経った。その間、別に何もしていなかった訳ではない。こちらのことについていろいろ勉強したり、ライアンさんたちにお願いして護身術をメインに戦い方を習ったりしていた。
わかったこととしては、文字はアルファベットが主体となった英語のようなものであること。正直な話、英語は苦手だったので結構苦労している。だが、試しにレティーアさんにやったように仮面を今度はメガネにして見てみると翻訳して読むことができた。そしてそのまま書こうとしてみると、書こうと思った内容を頭に浮かべるとその文章が一緒に浮かんできて書くことができた。それをセリカちゃんに見せて確認してもらったところ、なんの問題もなかったということだから文字を覚えるまでは重宝している。
そしてハンターズ・ギルド。このギルドは地球で言うところの国連みたいな組織であるらしい。紙幣に関してもハンターズ・ギルドが責任を持って管理しているからこそ、信用してどの国でも使用されているとのことだ。イメージ的にヨーロッパ辺りの国々で使われているユーロみたいなものだ。
しかし、ハンターズ・ギルドもただの一組織であればどこかの国に攻撃されてしまえば壊滅してしまうのではないかと思ったものだが、そこは対策が取られているとのこと。先ず本拠地がどこにあるのかはギルド関係者でもほとんど知らない。転移魔法陣で移動するしか手段はなく、それも本部の人間が許可しないと使用できないようになっている。またギルド保有の軍隊もあるらしく、その力は一国の軍隊と同等以上の力を持っているともっぱらの噂だとか。だからどの国もギルドに対しては一定の敬意を払って対応しているとのことだ。
まあ世界情勢なんかはまだよくわからないし、現在はこちらで生計を立てるのが急務のため、ギルドの依頼を週三で受けるようにしている。ちなみに一週間は地球と同じく7日間だ。依頼の内容は薬草採取やたまに人に害を為す動物狩り、そしてモンスター狩りだ。モンスターは別にそこまで異形のものがいる訳ではなく、ほとんどは動物や昆虫が魔力を浴びて突然変異を起こし、巨大化してしまったのがほとんどだ。まあ、始めに遭遇したグラン・スコルピオ級のモンスターはあまり出現することはないらしい。これに関しては運がなかったと言うほかない。
他にも指名手配犯を捕まえるとか、山賊などの無法者を捕まえるといった依頼もあるのだが、まだ人を相手にするだけの実力も自信もないから手を出す気はない。あと、人を相手にして殺し殺される覚悟もないってのも理由だ。やっぱり一番怖いのは人間だと思うのは自分だけでは無い筈だ。
そんなこんなで今日の依頼。森に入っての狼退治とモンスターの発生状況の調査と可能ならば駆逐という、定期的にギルドで発行されている通常の依頼だ。こういう依頼は基本的に新人の実力アップの為に出されているもので、たとえ失敗してもペナルティーはない。モンスターの発生状況の調査も、この辺にこんなモンスターがいたと報告をすると、そのモンスターの種類と危険度に合わせて改めて依頼が発行されるようになっている。もちろんギルド自身でも調査した上でのことだ。
自分はこの依頼を利用して街から出て、適当に依頼をこなしながら魔術の練習に励んでいるのが実情だ。それもこれもライアンさん達が使っている魔法を全然使えなかったのが原因だ。おかげで銃を使った魔術とカードを使った魔術を独学で習得するしか方法がなくなった。まあでも、幸いにもカードについては手帳サイズの指南書がポーチを探っているときに見つかったのでそれを参考に勉強中だ。
まあそちらの魔術についてはまた今度にしよう。なんせ今、こうやって現実逃避を試みていたが絶賛危機に直面している。いや、まだ一歩手前と言うのが正解か。自分が対峙しようとしているのはオークの群れだ。しかも豚顔のやつだ。誰だよ、この辺りにはああいう類のモンスターはいないと言ったのは、あとで文句言ってやる。
「さて、どうしたもんかね?この数を相手にするのは得策ではないだろうし、ギルドに報告して終わりにした方がいいよな」
オークの集落なのか、崖を背にしてテントのような寝床や焚火をしているのが見て取れる。崖の方には洞窟が掘ってあり、見張り番でもしているのか2体のオークが立っている。意外と奴らは知能が高いのかもしれない。だとしたら相当厄介なことになるのが目に見えている。
「ああ、焚火の煙につられて来なければよかったよ。とりあえず数だけでも確認して、見つかる前に逃げるとしますか」
ひぃふぅみぃよっと、数えること30を過ぎたところで諦める。洞窟の奥にあと何体いるのかわからないので、50体ほどだと報告することにしよう。手帳にメモしておき、地図を取り出して歩いてきた道のりと目印となりそうなものを思い出しながら、オークの集落があるだいたいの位置を記しておく。
「これで終わり……と。あとは優秀な先輩ハンターに任せるとしますか」
俺に英雄願望はない。何事も分相応。無理、無茶、無謀は俺には似合わない。
その筈だったのに……。なんでこう、不幸ってのは向こうから遠慮なくやってくるんだろうか?
「神様は絶対、俺のこと嫌いだわ」
あ、あのロリ女神だったらやるかもしれない。なんて思考を頭の片隅に追いやり、新たに集落に合流してきたオークの集団に視線を送る。ただ数が増えただけだったら良かったのに。10体近くの中に人間が紛れているのが問題なのだ。
「どう考えても攫われてきましたって感じだよな」
荷車に縛られて積まれているのを見る限り、そう考えるのが妥当だろう。男2の女3、それも若い人ばかり。男は食料にでもして、女性はやっぱりエロゲーみたいなことをするのだろうか?あ、やべ、考えてたら腹が立ってきた。
「さて、逃げる訳には行かなくなったところで、どうしよう?」
装備はリボルバーの拳銃一丁にハンターナイフと呼ばれているグルカナイフ、またはククリ刀と呼んでいたくの字型に曲がった大振りのナイフ一本。弾は60発ほど。スピードローダーがあるから装弾に手間取ることはないだろう。
「あとは勉強中のカードの魔術か」
四大元素とルーン魔術を複合した魔術だ。だいたいは理解したが、まだ完全とは言えない。信用できるのは銃を使った魔術とにわか仕込みの剣技ってことか。しかしそれも、ただ相手に向かって振り下ろすことだけに特化したハンターナイフを選んできたから難しいことは何もない。
「敵の武装はっと……」
槍に斧、それに棍棒で飛び道具は無し。連れてこられた人たちは洞窟の奥に運び込まれていったから巻き込む心配はない。これなら先制攻撃で思いっきりやれる。
「周囲に敵の気配は無し。そんじゃまあ、柄じゃないけど気張りますかね」
カードをホルダーから取り出し、目的のルーンと色の組み合わせを揃えて準備を進める。正面突破は数の差が明白なのでしない。罠を張り、そこにおびき寄せて少しずつ削っていくことにしよう。
「さあ、戦争を始めよう……!!」
先ずは遅れてしまったことを謝ります。すみませんでした。
実は仕事の方で悩んでいて、少しおかしな方向にいきかけていまして、小説を書く余裕がなく遅れてしまいました。
まあでも、こうやって最新話を無事に投稿できて少しホッとしています。
さて、次回は無双と言わないまでもサツキのオーク狩りが始まります!
次回もお楽しみに!!
ps ハンターズ・ギルドでテンプレ的に先輩ハンターとの諍いでも書こうかと思ったのですが、ボコボコにされる未来とライアンさんが止めるだけでそれほど面白くなりそうになかったので書きませんでした。
期待されていた方、申し訳ありません。
それでは、失礼します。