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社会不適合者の異世界戦記  作者: サツキ
第1章~落とされて異世界~
11/32

射撃訓練って一度はやってみたいよな!

遅ればせながら更新です。


まことに申し訳ないです。

 「で、実際のところお姉さんはどれくらいの腕なのかわかる?」


 「そうですね。近衛兵の方と一緒に訓練しているのを見学させてもらいましたが、わたしには互角に打ち合っているよう見えました」


 近衛兵と互角の腕前とか、お嬢さまの肩書きはどこにいったのだと盛大にツッコミたい。せいぜいたしなみ程度だと思っていたが、その認識は改めないといけないようだ。



 自分とセリカちゃんは朝食の後、準備をすると言って部屋に戻ったレティーアさんと別れて先に練兵場に向かっている。メイドさんに案内されながら、聴こえない程度の声音で話しているから今は普通に話せている。それを嬉しそうにしているセリカちゃんを見ていると、なんだか子犬に懐かれているような錯覚に陥る。実際、尻尾しっぽがあればブンブンと振っているに違いない。



 「となると模擬戦は諦めた方が無難かな」


 「それは手を抜かれるということですか?」


 少し怒ったように訊かれたのは、正々堂々と真面目に戦うことを想像していたのだろう。自分の弱気な発言に適当に手を抜いてわざと負けるという風に聴こえたからだろう。



 「別に手を抜くわけじゃないよ。それに元々武器を使ったことはほとんどないから勝ち目はゼロに等しいってのが、本気でゼロになったみたいなものだし」


 「む~……サツキさんならどうにかなるんじゃないですか?」


 「あはは、そう言ってもらえるのは嬉しいけど、僕にも無理なものは無理だよ。まあ、ただ負ける訳にはいかないから精一杯足掻あがかせてもらうけどね」


 「わたしはサツキさんが勝つって信じてますから、頑張ってください」


 「ありがとう。でもそれじゃ不公平だから、お姉さんも同じように応援してあげないとダメだよ?」


 「わかりました。それでも信じてますから」


 うん、なぜだろう?なんでこんなに期待されているんだろうか。こんなに期待されるようなことはしていない筈なんだけどな。まあでも、ここまで期待されて頑張らないのは男じゃないし、いっちょやったりますか!!


 なんて気合を入れている間に城から出て練兵場として仕切られた敷地に出る。城の敷地内に作られたからか短辺が1㎞x2㎞の長方形をしている。これが広いか狭いかは判断に困るところだが、俺としては十分広いように見える。



 「お待ちしておりました、サツキ様。レティお嬢さまがお決めになられた勝負方法は2つです。その内の1つがこれです」


 「これって……」


 いきなり現れたウォルターさんにびっくりしたが、これはもう慣れるしかないのかもしれない。それよりも渡されたものだ。どこからどう見てもライフル。しかもボルトアクション式のものだ。中世から近世のファンタジー世界だと思っていたのに第二次世界大戦くらい(適当)の銃器が存在するとは。まあ、リボルバーを見てもそれほどの反応は見せなかったから、この程度は予想してしかるべきだったのかもしれないが。



 「帝国より流れてきた97式ライフルにございます。最大射程は500メル。装弾数は5発で主に狩猟用として使われている旧式のものです」


 これで旧式ということは、現在はどの程度の技術力を有しているんだか。ガトリング銃とかマシンガンとかがあるのであれば、この世界の戦争は魔法対科学みたいな感じになるんだろうか。それはそれで面白そうだが、ラス◯サムライみたいな結果にならなければいいんだが。


 そんな取り留めもない思考をしながらも、ライフルの各部をチェックしていく。構造的には写真とかエアガンとかで見ていたものと変わらない。銃というものは世界が変わろうとも剣と同じようにそうそう変わるものではないらしい。



 「ウォルターさん、スコープが付いているようですが、ゼロ点調整はどの程度の距離でされていますか?」


 「300メルで調整しております。ちょうどここからあちらに置いた的がその距離になります。100メルごとに距離と風向きを知るために旗を立てておりますので参考にされてください」


 指差された方を見ると確かに的が置いてある。そして100メルという距離の単位で示された旗を見る限り、およそ100メートルと言ったところか。単位の呼び方が変わっただけで脳内換算しなくて良さそうなのは助かる。



 「撃たないので、ちょっと構えてみてもよろしいですか?」


 「どうぞご自由に。レティーアお嬢さまからも自分が来るまでの間に試射をされていても良いと言付かっておりますので、発砲されても大丈夫です」


 「それは良かった。では早速撃たせてもらいます。セリカちゃん、危ないから少し離れていてね」


 「はい、頑張ってください」


 胸の前で小さく両手を握ってガッツポーズを取って応援してくれるセリカちゃんに微笑み返し、反動に備えてやや前傾姿勢でライフルを構える。



 弾が装填されていることは先ほどのチェック時にわかっているのでそのままスコープを覗き込む。スコープより一回りほど小さく的が収まっているが、それは問題にならない。十字の照準を合わせる前に左目で旗を見て風がないことを確認し、ゆっくりと的の中心に狙いを付ける。呼吸を沈め、ライフルを固定してちょうど的の中心に照準が合った時にトリガーを引く。


 銃声が鳴り響き、同時に反動で跳ね上がる銃身を抑えつける。予想外の衝撃に当てていた肩が痛いが、それよりも結果だ。スコープを覗き込んで的を確認すると、銃弾の後が的の中心を逸れ、左斜め下に開いている。反動を抑えきれなかったのと、重力に従って弾が落ちるのを計算しきれなかったせいか。



 「なかなかの腕ですな。初めて扱う銃であの命中精度で当てることができるものはそういませんよ」


 「惜しいです、サツキさん!でもスゴイです!何度か射撃訓練をしているのを見学させていただきましたが、一発目であそこまで精確に撃ち抜いた方はサツキさんが初めてです!!」


 双眼鏡を覗いて的を見た2人がそれぞれ称賛の言葉を述べるのを気恥ずかしく聞きながら、照れ隠しに頬を掻く。これでもの◯太君ではないが、エアガンで鍛えた射撃の腕についてはそれなりに自信を持っていたから少し悔しくもある。でもまあ、初めての銃で一発目だからこんなものだろう。



 「あははは、そんなに褒められると照れるよ。でも、次は命中させてみせるよ」


 「はい、頑張ってください!」


 セリカちゃんの声援を受けてやる気を出し、今度はさっきのズレを考慮して少し外すように狙いを付ける。そして的の中心に命中するイメージが出来た瞬間にトリガーを引くと、狙い過たず吸い込まれるように中心を撃ち抜いた。



 「さすがです!」


 「お見事!」


 確かな手応えに満足感を覚え、近寄ってきたセリカちゃんと喜びを分かち合うようにハイタッチを交わす。そうしてはしゃぐセリカちゃんと一緒になって騒いでいると、パチパチパチと拍手をしながらライアンさんとロベルトさんを護衛に連れたレティーアさんが現れた。



 「見事な腕前です。これでは勝負にすらなりませんね」


 「やるな~サツキ。2発で中心を撃ち抜くなど、ここの兵では未だに誰も為しえていないぞ」


 「本当にスゴイです。是非とも指導願いたいものです」


 レティーアさん、ライアンさん、ロベルトさんの順にそれぞれ感想を言われ、あまりの褒め具合に調子に乗ってしまいそうだ。



 「称賛のお言葉、ありがとうございます。自分でもびっくりしていますし、まぐれ当たりかもしれないですよ」


 「そう謙遜するな。謙虚なことは良いことだが、己の為したことにもう少し自信を持つといい」


 「ライアンの言う通りです。あなたに配慮してそれぞれの得意分野で勝負しようと考えていましたが、あれを見せられては勝てる気がしません」


 「そこまで言われるとは、身に余る光栄です。そう言えばレティーア様、勝負方法は2つと聞いておりますが、射撃勝負が中止となれば残る勝負方法はなんでしょうか?」


 一応、不戦勝という扱いになったことは少し嬉しいが、それでも残る勝負には不安が隠せない。なんせ出会い頭に殴りかかってくるような女性だ。しかもそれぞれの得意分野で、とのことなのだ。となれば自ずと決まってくる。できればこの予想は外れて欲しいものだが、そうはならないだろう。



 「決まっているだろう?こちらで勝負だ」


 ニヤリと笑って差し出されたそれは木剣。つまりは近接戦闘の腕で競おうというのだろう。剣道もろくにやったことがない俺がどこまでできるだろうか。ボコボコにされる未来しか想像できない。


 ああ、神よ。どうか私を救いたまえ。あ、あのロリ女神だけは勘弁な。

先週はいろいろあってもう少しで社会不適合者になるところでした。


まあ、バーチャルでは社会不適合者になっていますが(笑


お気に入り登録がさらに増えていてさらに感激です!


まだまだ盛り上がりにかける段階で期待していただけるのは本当に嬉しい限りです!!


今後も社会不適合者の異世界戦記をよろしくお願いします!!

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