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また朝が来た
また太陽が出た
また雨が降った
気がつけば、夜だった。
私は“また“孤立した佳介の帰りを待っている。
十中八九、それが正しいとは限らない。
百発百中、それが当たるとは限らない。
そういう生活をしていく中で起こる被害は多い。
僕の身内は多い方だった。
家族も豊富で発言数も怯まなかった。
だけどある日、
雨が降ったある日、
家族は一家惨殺されたらしい。
犯人は、あの子だった。
「佳介ーっ」
少しお腹周りが見えるくらいに加工された制服を着た少女が僕の腹目掛けて突進してくる。
「おはよ、結」
「ぬー、おはぅー」
新しい言葉が開発されたらしい。
そんな事を考えていると結が僕の腹わたに抱きついてきた。
「佳介は私の事以外考えなくていいのー!!」
「それはそれは、失敬だったね」
抱きつかれた腹わたは、赤く染まっていそうだな、うむ。
勢いと締めつけで血管が上手く働かなさそうだし。
いっそ僕の脳内も働かなければ楽なのにな-なんて。嘘だと思う。
そういえば
僕は今日も知らされた。
「また、死んだらしい」と、人づてに。
家族がいない僕にとってそんなのどうでも良い事なんだが。
とにかく今日も僕の身内が一人、天国か地獄かはたまた宇宙か、どこかに逝ってしまったのだそうだ。
関係無いけど。って言ってみたり。
この事については僕がとやかく言うもんじゃないし、第一身内と関わりを持ちたくないので
質問と意見と感想は拒否しかねます。
愛用のナイフを持っている結は、僕への愛が分かりやすい。
むしろ、僕にとっても生きる為に好都合なんだけど。
「今日の朝ご飯はしちゅーでした」
「美味しそうだね、しちゅー」
過去形なのに現在進行形の言葉を使ってみる。
それに対しての議論は受け付けません御了承下さい。
「しちゅーは結の大好物」
意味無しの朝ご飯発表会を繰り広げる結。
朝ご飯はしちゅーでした、それで終わりじゃないだけに結の家庭の食事風景が丸分かり。
「僕の大好物は結ちゃんです」
「にゃー」
「照れ笑い照れ隠し」
「私の大好物も勿論佳介くんだよー」
さっきまで大好物はシチューですって言っていたのは嘘でした。って事かい。
本当、分かりやすい奴めっ
「佳介の朝ご飯はー?」
「うん、抜いてきた」
「なぬをぅ!!」
健全な高校生男子がお料理なんて豪華な事出来るわけ無いです。はい。
スクランブルエッグ作れって言われたら作るけど。
矛盾している事については受け流しの方向で。