表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/8

第6話 お茶会

 

 ユリーナに今までのお茶会の詳細を聞き、一度従姉妹であるアリアラ・プリアンド子爵令嬢とその他、数名を呼んでお茶会を開くことにした。彼女たちは快く参加してくれるとの手紙の返事がきた。


 ーーーーー


 お茶会の当日。

 ルライン家自慢の庭園にて、小さなお茶会が開かれた。私合わせて、6名のご令嬢が集まった。中には、アリアラの取り巻きであるご令嬢もいた。その方が少しでも素が見れるんじゃないかと考えていた。ユリーナには、部屋に残ってもらっていた。今はエステラの姿をしているし、私自身彼女たちとはあまり接点がなかった故、お茶会に参加する必要はないと思ったからだ。

 皆が集まって来たのを見て、開始の挨拶でもしようとした時、アリアラがこちらに挨拶をしに来た。

「ユリーナ様、本日はお茶会にお招きいただきありがとうございます。最近、あまり誘われることもなかったので、嫌われてしまったのかと心配になってしまっていましたわ」

 小さな会釈をしてからこちらの様子を伺ってきた。

「そんなことありませんわ。体調のこともありましたし、最近はそこまで開催ができなかったのです。だから本日はこうして晴天の中、開催が出来てなによりです」

 今の所はあまり悪い印象はないわね。ただあと2ヶ月後には、プリアンド家の脱税疑惑が告発されるはず、それまでは互いに仲は悪くないのかしら。


 皆がテーブルの席に着き、お茶を楽しみ始めた時、ひとりのご令嬢が私に話しかけてきた。

「そういえば先日、王太子殿下をお見かけすることがあったのですが、なにか少し雰囲気が変わられたように見えたのです」

 げっ、まさかバレていないわよね。

「どのようにですか?」

 別のご令嬢が聞いてきた。

「なんといいますか、いつものお優しい雰囲気に少しカッコ良さが増してしるといいますか、いやいつもとてもカッコ良いのですが、いつにも増してクールさがありまして…」

 照れ臭そうに言うご令嬢を見て、殿下はやはりご令嬢たちにとても人気のある方なんだと、再確認した。でも今の中身はアルデウスだけど…

「まあそんなんですの。一度お会いしてみたいですわ」

 ご令嬢たちで盛り上がっている中、アリアラは静かにしていた。特にこの話題には興味がなさそうだった。それよりも、殿下の婚約者がいる前で殿下の話題を振ってくるなんて、このご令嬢は何を考えているのかしら。

「でも殿下といえば、エルディ侯爵ご子息様もお素敵ですわよね」

「ああ!そうですわね。あのたくましいお姿に、誰も寄せつかせない様なキリッとしたお美しお顔。一度睨まれてみたいですわ」

 アルデウスに睨まれたいなんて、彼に一度睨まれながら殺された私にとってはトラウマのようなものよ。やめといた方がいいわよ。

 あら?アルデウスの話題になった途端、アリアラがご令嬢の方を見ていた。いや、睨みつけていた?

「ラランカ様、侯爵家の方にはあまり失礼のないようにしてくださいまし」

 アルデウスの話題で盛り上がっていたご令嬢に対して、忠告をするかのように、威圧をかけていた。

「あ…失礼いたしました、アリアラ様」

 ラランカ様は、メルダン伯爵家の人間でアリアラ子爵家よりは上の貴族になるが、アリアラの取り巻きでもあった。なのでアリアラには逆らうことはしなっかった。昔プリアンド家に恩があったとかなんとか。よくは知らなかった。それもこの後ユリーナに聞いてみよう。重い空気からなんとか明るい話題に変えて、無事にお茶会が終わった。

 皆が帰り始めた頃、アリアラが話しかけてきた。

「本日はお茶会にお招きいただきありがとうございました」

「こちらこそ、遠いところから来ていただいて感謝していますわ」

 アリアラも特にユリーナに対しての態度もそう問題はなさそうね。やはり問題は、告発があってからか。

「…なぜ」

 うん?何か言ったかしら。

「なぜエルディ様は、あなたなんかに…」

 え、アルデウスのことかしら。アリアラは、私をグワッと睨みつけてこう話し続けた。

「あなたは殿下の婚約者にも関わらず、殿下だけではなく、エルディ様までも奪おうというの」

 私が?アルデウスを?あ…ユリーナのことね。確かにアルデウスはユリーナに恋心を抱いているが、アリアラがこう言うのは、もしかして彼女はアルデウスのことが…

「アリアラ、なにか勘違いをしていらっしゃいますわ。アルデウス様とは、仲良くして貰っているだけで、それ以外には何もございませんわ」

 弁明してみたけど、アリアラはそれ以上何も言わなかった。皆が帰った後、私はユリーナが待っている部屋へと向かった。


「エステラ、お茶会はどうだった?」

 アリアラは、未来で脱税の告発があってから、ユリーナとの仲が悪くなったのかと思っていたが、そうではなさそうね。恐らくアルデウスに恋心を抱いているアリアラだが、彼と仲が良いユリーナに嫉妬をしていた。そこに告発が重なり、さらに悪くなったというところかしら。アリアラも要注意人物ね。だとしたら、告発した人物もちゃんと探らないと。

「…テラ」

「エステラ!!」

「え!」

 ユリーナが私をずっと呼んでいたらしいが、考え事をしていて気付かなかった。

「あ、ごめん。少し考え事をしていて」

「もう、何度も呼んだのよ。やっと戻って来たと思ったらすぐ考え込んで。お茶会で何かあったの?」

 心配そうにこちらの顔を覗き込んできた。ユリーナに心配させてしまったな。

「ううん、大丈夫だったよ。お茶会はとても楽しかったわ」

「それなら良かったわ。それからアリアラはどうだったかしら。最近会えていなかったら、元気にしていたかしら」

 ユリーナは、特にアリアラに対して不信感や、嫌な感情は持っていない様子。

「アリアラは元気にしていたわ。それとユリーナ、プリアンド子爵家とメルビン伯爵家の両家の関係って知っているかしら」

「プリアンド子爵家とメルビン伯爵家?」

「ええ、そこの両家の関係を知りたくて」

 ユリーナは少し考えてから、両家について教えてくれた。


 ユリーナの話によると、メルビン伯爵家は以前、とある商人から共に商売をしないかと話を持ちかけられ、その話に乗ったらしい。しかしその商売とやらは表向きは何の変哲もない布売り、しかし裏では法では定められていない物を裏市場の者たちに販売をしていたという。それがバレて地位を失いかけていたところに、救いの手を差し伸べたのが、アリアラの家系である、プリアンド子爵家だった。子爵家の手助けのおかげで、地位は失われずに、今も伯爵の名を名乗っている。

 しかし、その手助けもかなりのお金が動いていたらしい。伯爵家が安易に出せるような額ではなかった。もしかしたらこれが、伯爵家の脱税に関係しているのではないか。私はそう考えた。そして、脱税を告発した人物も一体誰だったのか。もしこの事件が未来の暗殺に関わっているのなら、私が動くしかないわ。


第6話まで読んでいただきありがとうございます!!


登場人物の紹介

アリアラ・プリアンド子爵令嬢 ユリーナの従姉妹

ラランカ・メルビン伯爵令嬢 アリアラに付いている

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ