ほまれさんと練習
わたしにスルドを教えてくれる、他エスコーラから移籍してきたスルド奏者のほまれさん。
年の近い同性で、セグンダということもあり、ほまれさんにとっては移籍早々のタイミングでありながらも、いのりちゃんのとりなしで実現した、わたしにとってはとてもありがたい関係性。
そのほまれさんは、かつてバレエ教室に通っていた。なんと、わたしの双子の姉のマレと同じ教室だ。そこはマレが所属している教室だった。
ほまれさんとは今日が初対面だが、マレとそっくりなわたしを見て、もしかしてと思ったらしい。
マレからわたしの名前を聞いたこともあったようだ。
「へぇぇぇぇ……すっごい偶然。ほまれバレエやってたんだね。なんか雰囲気わかる」
確かにすごい偶然だ。
わたしも驚いていたが、なんならいのりちゃんの方が驚いていたかもしれない。わたしの姉と知り合いだった偶然と、ほまれがバレエ経験者だったということのふたつについて驚いていたから。
「マレからちょっと聞いたことあったかも……たぶん、発表会でも見かけてたかもです。マレがすごく慕っていた方ですよね?」
マレの発表会は両親と一緒にわたしも観に行っていた。その時、マレがべったり懐いていたお姉さんが居た。なぜかマレがわたしに自慢気な目線を送っていたような気がしていて、妙に印象に残っていた。
そのお姉さんがほまれさんだったのだと思う。
「うん。もったいないくらい想ってくれていたと思う。マレを置いて辞めちゃったのに、未だに前と変わらずにいてくれるし」
そうか。未だに交流はあるのか。
わたしの勝手なマレの印象。あまり交友関係は広くない。その代わり、信頼している相手と深く付き合うタイプだ。
バレエに特化し、すべてに於いてバレエを優先していたマレは、友だちと遊ぶ時間もほとんど作っていなかった。学校よりも、どちらかと言えばバレエ教室の仲間の方が深い関係性を築けていたのだろう。
その中でもほまれさんは特別だったのかもしれない。そういえば先日も以前教室で一緒だった人に会っていたと言っていた。それはほまれさんのことだろうか。
「早速だけど、叩こっか」
ほまれさんに促され、演奏を始める。
いのりちゃんのスタジオで、めがみちゃんも交えて自主練習したおかげで、それなりに鳴らせていたと思う。
ほまれさんの指導も優しいだけじゃなく、丁寧でわかりやすい。こんな人が音楽の先生だったら、生徒はみんな音楽が好きになる。
「おー、のんちゃん上手。ミスないね。このあとの合同もこのままスルドで一緒にやろう」
モチベーションを上げるのも上手い。良い指導者だ。
心の中で「意外といけてない?」と思っていても、単なる自画自賛かなと思っていたが、ほまれさんも褒めてくれたから少しは自信を持っても良いのかもしれない。




