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休憩中

 ブラウンのプラスチックでできたトレーをテーブルに置いて椅子に座る。

 少し遅れてめがみちゃんも同じトレーを持って休憩室に入ってきた。


「賄いなににしたのー?」


 めがみちゃんがわたしの「サーモンいくら丼」を覗き込み、「わー、それもおいしそーだねぇ」と微笑みながら、大きいスプーンに目一杯すくったハヤシライスを頬張った。「んーっ」と頬を綻ばせている。


 ん。いのりちゃんが騒ぐのわかる。確かにかわいいな、この人。


「ハヤシライスもおいしそー。ね、乃木さんの取材って何だろう? めがみちゃんは前々から取材受けてるんだよね?」


「取材って程じゃないけどね」言うと、めがみちゃんは無邪気な笑顔を見せた。



 乃木さんはコラムマンガの連載もいくつか持っているイラストレーター兼漫画家だ。とくに最近は食に関する領域が得意分野で、レシピや料理の紹介、おいしいお店巡りなどが好評だ。


 かつてめがみちゃんがサンビスタだと知った乃木さんは、サンバのキャラクターを立ち上げ、ブラジルの家庭料理を紹介するコンテンツを立ち上げた。

 主業務と言えるほどではないが、安定した人気を得ていて、興新速度はやや遅いながら、不定期の連載は続いている。そのネタ作りにめがみちゃんを取材していたのだった。その絡みだろうか。

 めがみちゃんと同じエスコーラに、めがみちゃんと同じ楽器で入ったばかりのわたし。

 めがみちゃんの持つ情報以上または以外のものを提供できるとは思えないが――。



「お待たせ―!」


 待っていたわけではないけど、ああやって入ってこられると、待っていたかのように感じてしまう。



 私とめがみちゃんは向かい合って座っている。入口に近い側のめがみちゃんの隣に当たり前のように座る乃木さん。

 なにやら深刻な表情で、魚介のスープパスタに入っているエビを一旦集めてまとめて麺の下に沈めている。


「エビはお宝だからね。掘っていって後からお宝がぽこぽこ湧いてきたら嬉しいでしょ?」なぜか自慢げだ。


 らーめんに於ける天地返しみたいなこと?

 

「さて、みんなに集まってもらったのは他でもありません」


 なにその感じ? あと集まったわけじゃないけど……。


「最近また長編のストーリー描かないかって話来てて。まだ全然まったく手付かずなんだけど、なんとなく特定の分野×学生の青春モノ描きたいなーって。で、せっかく身近にリアルタイムで青春の真っただ中にいるがんちゃんとのんちゃんがいて? ふたりともサンバっていう珍しい分野の、更にダンサーのイメージが強い中にあって打楽器をやっていて? それも見た目とのギャップが結構ある大太鼓で? そんなJKの物語なんて良いんじゃないかなーと」


 まだまだ企画の骨子すらできてないんだけどね、と乃木さん。


 それなりの知名度はあれど、一般的にはあまり知られていない分野にクローズアップした物語は多いし、結構人気が出たりもする。

 マンガやドラマ人気のお陰でその分野の知名度や人口が増えれば、双方にとって望ましい関係性となろう。

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