姉妹でお出かけ
「このピンク良くない?」
「えー、わたしに合う? あ、これは?」
わたしの気負いや懸念なんて無かったように、仲の良い姉妹がショッピングに訪れ、ごく当たり前の会話を繰り広げているといった光景がそこにはあった。
「あ、良いかも。マレに似合うってことはわたしにも合うよねぇ?」
「どーかなぁ。のんちょっと太ったんじゃない? だらしない生活してない?」
「ひど! してないし太ってないから! マレが細すぎるんだよ。かりっかりじゃん。もっと肉食いな」
「体重管理しないといけないんだよ。肉食べちゃダメってことじゃないけど」
あ、そうか。
マレの表情が一瞬、少しだけ曇った気がした。
やば、やっちゃったかも……。
「あ、マレこれ合うんじゃん? お互い試着して見せ合おうよ」
良いね、というマレの表情は先ほどまでのものに戻っていた。
「ねー、お茶は飲んでも良いんだよね?」
試着は疲れるから、一通りみたらちょっとお茶しようという提案も受け入れられた。
本当はスタバで限定フラペチーノ行きたかったが、ここにはグリーンティーのカフェもある。
それはそれでいってみたかったので、そのお店で休憩することにした。おやつも軽めなら大丈夫みたいだし。
カフェに入ったわたしたちは向かい合わせで座り、足元の荷物かごに買い物袋と手荷物を入れる。
店内は混み合っていた。通された席はふたり用としては小さなテーブルだが、ほとんど並ばずに入れただけでも幸運と思わなくては。
マレは甘さのないほうじ茶ブラウンティに抹茶チーズケーキ、わたしは黒胡麻あんラテにほうじ茶ダークガトーショコラ。ケーキは大きくないから体重管理してるマレも大丈夫。のはず。
こうして向かい合うと、改めて自分たちは双子なのだなと思う。
しかしその人生は、今ではあまり交わらなくなっていた。
マレとはお互いの日常生活について語り合った。
わたしの話す学校やバイトの話。なんて事のない日常の話も、マレにとっては興味深い話のようだった。
マレの留学の話も、もちろんわたしにとっては別世界の話だ。
マレは寮生活やルームメイトのことを話してくれた。特に話しにくそうにしている雰囲気はなかった。
マレが帰ってくると聞かされた時、怪我をしたのだときいた。理由として語られた内容だが、理由のようで実は理由になっていない。
怪我をした結果、帰国という手段を用いてなんらかの目的を果たす必要が生じたから帰国することになった。その内訳が、本当の「理由」だ。
そういう意味では、わたしはマレの帰国の理由を正しく把握はしていない。先日の会話の時も、マレがふと寂しそうな顔を見せたので、具体的なことは聞きそびれてしまった。
そのこともあり、なんとなく深く聞くのが躊躇われていた。
向こうでの生活のことを語る様子からは、特に厭うているようには見えないが......話題に上がったルームメイトのことなどは尋ねることはできたが、バレエや怪我に関する質問、日本に戻ってきた理由などは、やっぱり尋ねられなかった。




