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姉妹のおしゃべり

「のんは? 高校はどう? なんかやってる?」


 バイトは結構がんばってる。

 友達と遊んでるのは何かやってる、には入らない? 動画配信とか始めれば取り組みになるかな? やろうやろうと言いながら、未だに具体的な動きにはなっていない。


「あ、あとね、サンバ始めようかなって」

「サンバっ⁉︎」



 まあ驚くよね。逆の立場ならわたしもびっくりする。



「あ、違うよ? 肌出して踊るんじゃなくて、サンバの楽器。打楽器やんの」



「あー、まあ、そうか。そういう役割もあるよね。でも、だとしてもなんで急にサンバ? あと、どうせサンバやるならいっそ踊れば? とも思うけど」



 経緯をかいつまんで話した。



「ふーん。要はサンバがやりたいってより、幼馴染のいのりちゃんたちといっしょにやりたいって感じ?」



 わたしが公園で遊んでいて、めがみちゃんやいのりちゃんと知り合った頃、マレはバレエを習い始め空き時間のほとんどを費やすようになった。

 それでもたまに時間が空いた時には、一緒に公園で遊んだこともある。そのときに姫田姉妹にも会っているはずだが、ひと時の邂逅に過ぎず、マレはあまり覚えていないようだ。どちらかと言えば……


「のんが懐いてたひと? よくごはんの時にいのりちゃんの考えた遊びが凄いみたいな話してたような気がする。記憶合ってる?」


 うん、ばっちり。

 マレにはそう言うところがある。バレエに勤しむマレと頻繁なおしゃべりはしてこなかったが、時折交わす会話の細かな言い回しやニュアンスを、別の時に正確に伝えられたりするのだ。なんならわたしが覚えていなかったようなことまで。


 それは、マレがわたしとの会話を大切にしてくれていたからなのかなと、勘違いかもしないけど思えたことが、少し嬉しい。



「マレの言う通りなんだけど、いのりちゃん結構本格的にやっててさ。だからわたしもやるからには本気でやるつもりだよ」


「おー。いよいよのんも本気になれるものに出会えた? きついしつらいし苦しいけど、やっぱり『生きてる』って感じするよ!」言いながら、己が境遇を思い出したのか、その笑顔がほんの少しだけ曇った。



「がんばってみるよ。わたしだって、少しはマレの境地わかってみたいって思うし」



 マレは、他人なんて気にしなくて良いんだから、のんの追究を、のん自身が納得するまで突き詰めれば良いんだよと笑った。



 わたしはその業界に於いてトップランナーとして走り続けている同じ遺伝子を持つ双子に、強いコンプレックスまでは抱いていないが、わたしを諭すように語るその姿には、さすがの貫録を感じざるを得なかった。


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