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【幕間】 祷の空白 エピローグ

 ピークタイムを過ぎたファミリーレストラン。

 それでも意外と客数は多いが、全体的には落ち着いた雰囲気だ。

 仕事をするには遅い時間だが、ノートパソコンを開いてキーボードを打ち続けている人。

 ドリンクバーを頼んでいるのに、ティーバッグの紅茶一杯で本を読んでゆっくり過ごしている人。

 活動終わりだろうか。なんらかの打ち合わせをしている団体。


 昼下がりのファミリーレストランも、ママ友集団と子どもや、学生のグループ、少し時間をつぶしにきた感じの仕事中の人など、少々騒がしくとも、全く関係のないいろんな人々の営みが一瞬この場で交錯している様相で、なんとなく「平和」を感じられて好きだったが、夕食の時間を過ぎた頃の夜のファミリーレストランもなんとなく趣があった。

 日中に較べ、一日を越えてきた人たちへの「お疲れ様でした」と思わせる雰囲気がある。


 わたしたちはどういうふうに見えるだろうか。

 ほとんど年齢差もない同性三人。まあ友達同士という無難な見え方をしているはずだ。

 そしてそれは間違いではない。

 でも、隣同士で座るふたりのみを切り取れば。


 年相応かやや大人っぽく見えることもあれば、時折驚くほど幼く見えることもあるいのりちゃん。

 年齢よりは幼く見えるめがみちゃん。

 華やかで洗練されているいのりちゃん。

 普通を体現しているかのようなめがみちゃん。


 ぱっと見あまり似ていないふたりは、パーツパーツをよく見れば実はよく似ている。

 それ以上に、距離感というか醸し出す雰囲気が、姉妹感を漂わせているように感じた。


 テーブルの対岸で、わたしはふたりを、ふたりのやりとりを、少し羨ましく思いながら眺めていた。








「ね、ひどいでしょ?」



 まあ。先ほども思ったが、思った通りいのりちゃんはなかなかぶっ飛んでいるというか、なにかが外れているというか、そんな側面はあるのだろう。


 それでも、これはいのりちゃんにもめがみちゃんにも言えることだが、双方が、お互いのことを思っているが故の行動や言動なのだろうなと思う。


 ひたすらに姉を心配していためがみちゃん。


 論理的かつ冷静な判断で心配するに値しないとした現象や状況に対し、そもそも心配が発生しないように処理しようとしていたいのりちゃん。

 めがみちゃんが状況に驚き、把握し、安心するということがわかりきっていたため、最初の驚くというところすら発生させないようにした結果が、不必要な情報の提供を行わないという行為だ。

 すれ違いはあっても思い合っていることに変わりはないので、結局のところ微笑ましい着地で終わるのだ。




 言いたいことを言い合いながら(主に言っているのはめがみちゃんだったが)、思い思いに頼んだ料理を口にし、「あ、これおいしい、祷も食べて」なんてやっている姿は微笑ましくも羨ましかったし、結構言いたい放題な妹の言葉を、謝りながらも優しく受け止めていたいのりちゃんは、やっぱり思っていたまま、かつて憧れたままの、素敵な女性だった。

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