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いのりちゃんは今


「まあそういう状況で、祷今ブラジルなの」

 追加で頼んでいた台湾カステラを口に運ぶめがみちゃん。

 同じものを頼んでいた私も倣って一口いただく。あまくておいしい。



 いのりちゃんが今どうしているという問いのシンプルな回答としては、「ブラジルにいる」となる。

 ブラジルではさすがに会えないが、なんでももうそろそろ日本に戻る予定なのだとか。


 会いたいと言った私に、めがみちゃんは「お土産いっぱい持って来てくれるはずだから山分けしよう」と笑っていた。


 尚、いのりちゃんはスマホを海外で不足なく接続できる設定にせずに渡航してしまったようで、タイムリーなやり取りは困難らしく、めがみちゃんはお土産の指定がしにくいと不満を口にしていた。



「どこか抜けてんだよねー。うちのお姉ちゃん」


 高い能力を如何無く発揮していた姉の様子を語る時は誇らしそうにも見えためがみちゃんは、今は未熟な弟妹を想う兄姉のような表情になっていた。




 ああ、いのりちゃんとめがみちゃんは、きっとお互い思い合い、信頼し合いながらも、本音も言い合える関係性なのだろう。改めて、羨ましさが込み上げてくる。


 きっと、幼い頃からそう思っていた。

 今は双方向な信頼と愛情という関係性は、当時はいのりちゃんからめがみちゃんへの愛情、めがみちゃんかいのりちゃんへの信頼という一方向だった。だから、わたしは無条件に愛情が与えられ続けているめがみちゃんに、嫉妬したのだ。


 そして、妹に無条件な愛情を示していたいのりちゃん。

 周囲に集まっていた子どもたちにも、配慮やリーダーシップを発揮していたいのりちゃんに。


 わたしは確かに憧れていたのだ。



 それにしても、経緯の詳細は不明だが、病み上がり早々にブラジルに行くとか。

 聞いた感じ、前々からの計画というわけではなさそう。下手したら、思い立ってすぐなんてこともあり得る。


 いのりちゃん。明るく品の良いお姉さん。でも意外と行動的。そんな印象は当時からあった。

 きっと性質はそのままに高い能力を身に付けながら成長したのだろうと考えていたが、思っている以上にぶっ飛んでいるのかもしれない。



 そんな側面がまた、一層魅力的に思えた。


 能力の高い人。優しい人。愛情深い人。

 そんな人たちは多分たくさんいる。

 でも、そのどれでもありながら、そのどれでもない独自の個性を持っていそうないのりちゃん。

 幼い頃の印象から、成長したいのりちゃんを想像していた。めがみちゃんの話を聞いてその像は微修正と微調整をしてより具体的になってきた。


 きっと、その予測をさらに超える人なのだろうなと、特に根拠はないが思った。期待した。


 そして、その期待は応えられる、なんなら上回るのではないかとすら思っている。




 わたしはめがみちゃんに、いつ、どこで会おうかと相談していた。


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