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めがみちゃんからの返答

 めがみちゃんの表情が曇った気がした。


 いのりちゃんが今どうしているかを尋ねたわたしをしっかりと見つめながら、めがみちゃんは口を開いた。



「わたし、(いのり)には怒ってるんだ」



 どういうこと?



 当然発されるべき疑問の声を待つ必要もないと言うばかりに、めがみちゃんは姉との話を聴かせてくれた。




 優秀な姉に対してコンプレックスを持っていためがみちゃんは、いのりちゃんを一方的に遠ざけ、避けていた。


 その傾向は中学生の頃が特にひどく、高校生に入ってからも続いていた。

 高校生になっためがみちゃんはバイトをしてお金を貯め、早くひとり暮らししたいと思っていた。その理由は家族と離れたいからだったが、その家族にはいのりちゃんも含まれていた。



 学校とバイト先と家の往復という生活に、彩を添えたいと思っていためがみちゃんはサンバをはじめた。




 え、サンバ?

 サンバってあれだよね? 高い露出度と派手な衣装で激しく踊るやつ。

 え、あれをめがみちゃんがやってるの⁉︎ うそ、申し訳ないけど全然想像できない。



 聴きたいことは山ほどあるが、ここで話の腰を折っていては先に進まない。一旦我慢しておく。




 話を聴いていると、どうもめがみちゃんは踊る方ではなく、打楽器をやっていることが分かった。とにかくまずは話を聴いておいて正解だ。

 打楽器か。

 それもあまり目の前の小柄な女性の趣味としてはイメージが湧きにくいが、ダンサーよりは納得感がある。




 打楽器に取り組むにあたり、サンバのサークルに入っためがみちゃん。

 家には無かった居場所ができたようで嬉しかったそうだ。


 そんな安寧は、避けたかった姉が妹を追うように同じサークルに加入し、同じ楽器を選んだことで破られる。

 めがみちゃんは当初抵抗していたようだが、姉と一緒に練習やイベントに取り組んでいく中で、めがみちゃんの中にあったわだかまりは氷解していき、姉との関係は改善されたのだという。




 なんだ、やっぱりめがみちゃんがこだわっていたことなんて、実際は大したものではなかったってことじゃん。



 話を聴いていた限り、いのりちゃんの側には何の問題も無さそうだったし。

 なんなら、語るめがみちゃん側からの情報でしかないのに、いのりちゃん側のめがみちゃんに対する愛情すら感じられた。

 わたしはそれを羨ましいと思ったけど、身内の立場だとそういうのもうっとうしかったのだろうか。

 いずれにしてもめがみちゃんの気持ちだけの問題だよね。



 この段階では関係性は良好なものになったとするなら、「怒っている」という言葉には結び付きそうもない。


 これに対しての「何故?」に先回りした説明なのだから、その理由はこれから語られるのだろう。



 わたしは相槌を打ちながら、話の先を促した。


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