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癒しタイム

 心地よい疲れをお風呂でしっかりとほぐし髪を乾かした。


(今日は頑張ったからアイス食べよーかな)


 午後九時以降や寝る前は食べない方が良いと言われるけど、身体ではなく心への栄養補給を食に頼る場合だってある。


 今日のバイトはハードだった。


 お店ではアルコールの提供をしているが、言ってもファミレスだ。

 普段は通常のオーダー品の提供と変わらないので特に気にしていなかったが、今日は金曜日で居酒屋さんがいっぱいで入れなかったのか、アルコールをメインにしたい集団の来客があった。


 食事ならメインを頼んで、長居するならデザートやポテトなどを追加で頼むみたいな注文の仕方はありがちだけど、アルコールが主目的のお客様は、まずアルコールとつまみをわーっと頼んで、それ以降も都度都度ドリンクとフードの注文が入る。細かく。何度も。そして、長い!

 そして、アルコールも回ってきているものだから、提供のたびに話しかけられる。

 迷惑客とまでは言えない程度なので問題はないのだが、迷惑客ではないのでピシッと断ったり退店願ったりなどの対応もできない。

 ほぼそのテーブルの対応で体力も気力も使い切った感じだ。


 だから今日のご褒美アイスは、最上級のものを選んで良い。

 ピノストロベリームーンも捨てがたいが、やっぱりここはハーゲンダッツ。クリスピーのやつ。

 カップのも良いけどもう洗い物とかしたくない。スプーンひとつでも面倒だ。

 それに、サクサクのウェハースと滑らかなアイスクリームの異なる食感が同時に楽しめるクリスピーの方が好みだし。パリパリのチョコもアクセントになっていて心地良い。


 既にアイスの口になりながら冷凍庫からアイスを取り、居間にいく。

 それなりの築年数のある日本家屋だがリノベーションした際に居間は和モダンなテイストでコーディネートされていて、ホワイトオークの天然木にライトグリーンのファブリックを組み合わせたややカジュアルな三人掛けと一人掛けのローソファが配置されている。

 わたしは三人掛けのソファに寝そべってアイスを食べるのが好きだ。

 おばあちゃんからは「食べ物はしゃんと背筋を伸ばしていただきな」と言われたが、アイスは食べ物の形を借りた癒しグッズなのだから、一番癒される形で取り入れるのが良いと主張したら、意外とあっさり通った。



「おお、今日はバイトだったね。お疲れさん」


「めちゃつかれたよー。ファミレスでお酒飲んで騒ぐんどーなの? そもそもなんでお酒飲むのよ。吐きそうになったり辛そうじゃん。ドMかなんかなん?」


「はは。大変だったみたいだね。大人が酒を飲むのは、おまえが今食べているアイスと同じだよ。

ただし、癒しはひと匙、一滴でじっくり味わい浸透させ、身体に染み渡らせるのが大人のたしなみだね。際限なくってのは無粋。欲に歯止めが効かないなんて動物とかわりゃしない」


「えー。じゃあもう一個食べようと思ってたけどやめとこー」


「賢明だね。私もお茶いただこうかな」


「おばあちゃんまだ寝なくて平気なの?」



 蕎麦屋の朝は早い。

 おばあちゃんは今は経営面に特化していて、仕込み等でお店に出る必要は無いのだが、習慣なのか意図があるのか、おじいちゃんと同じ時間にお店に行っている。


「ちょっと締め作業にてこずっちゃってね。もう終わったからさ。私もお茶でリラックスして寝ることにするよ」


 わたしが淹れようかと席を立とうとしたら、自分でやるから座っときなと言いキッチンへと向かうおばあちゃん。

 ほどなくして湯気を上げたマグカップを手にして戻ってきた。ジャスミンの香りがふっと漂った。

 おばあちゃんは一人掛けのソファに座り、お茶をすすっている。



「湯飲みじゃないんだ?」


「湯飲みってのは味があって良いけど、あまり入らないだろ? 急須で淹れるなら良いがティーバッグだからね」


「ふぅん。……まだ寝ないなら少し話して良い?」



 おばあちゃんは目で、肯定の意思を表し話の先を促した。

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