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ともだち

 会ったばかりだというのに、旧知の間柄のような三人のおしゃべりのペースは衰えない。反比例してお弁当の減るペースは上がらない。時間内に食べ終わるか少し心配になったが、やっぱり楽しい!


「のんはお店の手伝いとかないの?」


「あ、蕎麦屋だもんねぇ」


「うん、でもお弟子さんたち居るし」


「おお、想像しているお蕎麦屋さんよりもしかしたらかなり立派な感じ?」


「お弟子さんたちに『お嬢』とか呼ばれてたり?」


「えっ、そんなんアガるー! なんか韓国ドラマの予感する!」


「そんなのないって! 高級店みたいな感じじゃないけど、『蕎麦屋!』って感じ?」


「なにそれ、全然わからん」


「これは実際に行かないと!」


「あと呼ばれ方なんてのんちゃん扱いよ。うち全然お金持ちじゃないし、お嬢様感ボルボックスほども無い」


「文字数多めの微生物で攻めてくんじゃん」


「アメーバとかみじんこじゃありきたりだけど、伝わらなかったら意味がないから絶妙なとこいったん?」


「う、うるさいなぁ」


「お弟子さんはみんな男のひと?」


「うん」


「へー。距離感近そうだし、お兄さんいっぱいいるみたいで良いなー」


「イケメンおる?」


「えー、和帽子被ってるからよくわかんない。すっきりした顔してるなって人はいるけど。すっきり? あっさり?」


 割と整った顔立ちの人が多いとは思う。そうなるとある意味無個性で、髪型などで判断できないと誰が誰やらわからなくなる。

 言ってもお店に顔を出したのはこの前が久しぶりで、まだいく日も経ってないのだから。


 その辺の事情もさっと話した。

 両親が仕事で海外に拠点を移したこと。それもあって、この春から祖父母の家で暮らすようになったこと。


 距離感を心得ているのか、あまり興味がないのか、ふたりとも「そうなんだー」程度の反応で、話はイケメン云々の内容にすぐ戻ってきた。

 感覚というか感性が近しいと思え、好ましかったしありがたかった。



 ふたりに声かけて正解だったかも。



 ふたりとは仲良くなれそうな気がした。


「いーじゃん。塩系好っきやわー」


「これは今度行かないとね!」


「蕎麦屋さんが被ってるの、和帽子っていうん?」


「あ、じゃあのんのお弁当って蕎麦屋さん弁当ってこと?」


「別に職人さんが作ったものじゃないよ」


「そっかぁ、でもおいしそー」


「カヨのもおいしそうじゃん」


「うん、まあね。わたしウインナー好きでさぁ。必ず入れてくれるんだぁ」


「あ、良いなぁ。わたしもウインナー好きー」


「じゃあおかず交換する?」


「え、良いの? ウインナー好きなのに?」


「毎日入れてくれるからね、好きだけど惜しむほどじゃない。ササもいる?」


 ササもカヨのウインナーをもらい、かわりに豚塩レモンをあげていた。わたしにも分けてくれた。


「わ、うれしー、じゃあこれあげる」


「なあにこれ?」


「さかなのナゲット。ササも食べて」


「へー、めずらしー」


「え、うそっ? これ、はも入ってない?」


「はも?」


「たけー魚だよ!」


「ああ、うん。お店で出してる天ぷらの材料が余ったのかな……?」


「やっぱ恩恵受けられるんだねぇ。良いなぁ」


「っていうか、すぐにはもってわかんのもすごくない?」


「前料亭に連れてってもらったときあって、そんときにパパがまー、騒いでたんよ」


「それで味だか食感だか、はもの特徴覚えたの? さすが料理好きー」


「ただ好きってだけだったけど、そんなん言われたら隠れた才能自覚しちゃいそー。料理の道、か……これはいよいよのんのお蕎麦屋さん行って職人の生き様拝ませてもらわんとならんね」


「友だち連れてったら喜ぶと思う! 行って良いタイミング訊いてみるよ」


「予約必要っぽいもんね。いきなりいくのは無理かー」


「今日はカラオケ行くんでしょ? お蕎麦屋さんは別の日にいこうよ」


 友だちお店に連れてったら、みんな喜んでくれるかな。

 仕事の邪魔になったら迷惑だろうけど、食べに行くならお客さんと変わんないし良いよね。

 食べ終わったら家に招待しても良いかも。

 おばあちゃんはなんとなく喜んでくれそうな気がした。

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