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ちょっとコンビニへ

「のんちゃんごめん、コンビニ寄って良い?」


 不意にいのりちゃんに尋ねられた。

「え、うん」トイレかな? もうほどなく家に付ける距離だけど。


「遅い時間だから早く家に着きたいよね。ほんとごめん。どうしてもパイナップル食べたくって……」


「え、なにその欲求⁉︎ 大人なのにそれ我慢できないの⁉︎」

 めがみちゃん厳しい。いのりちゃんは今年が二十歳になる年だから大人ではあるのかもしれないけど、わたしたちと幾つも変わらない。


「たまにない? どうしてもこれ食べたい、みたいなやつ。それ放っておいたら身体に悪いでしょ?」

 気にした様子もなくのんびり言ういのりちゃん。


「放っておけば勝手に消えるし、遅い時間に甘いのもどうかと思うし、欲望のまま生きてる方が身体に悪いよ」

 めがみちゃん正しい。


「そんな責めないでよー。なんか好きなのかって良いからぁ。のんちゃんもなんか選んで?」


「え、良いの⁉︎ わー、いのりちゃんありがとう! なににしようかなぁ」


 嬉しい!

 いのりちゃんはしきりに申し訳なさそうにしてたから、ここは遠慮なく好意を受け取って、いのりちゃんが得た申し訳なさを払拭してあげるのが良いよね。



「のんちゃんはエンサイオの日って夕食はどうしてる? うちのエンサイオ長いからたっぷり練習できるのは良いんだけど、学校終わってから直接行くと夜ごはん食べられないよね。エンサイオの後に食べようと思うと夜遅くになっちゃうし」


「遅くなるのは前もってわかってるので、家で軽めの食事用意してくれてる。でも、終わってからだと練習中はおなかすくし、時間的におなかいっぱい食べない方が良いし、軽食持っていった方が良いのかなぁ」


「わたしはたまにおにぎり持ってってる」

「がんちゃんシャケばっかり食べるよね。同じものばっかりって、保守的なサラリーマンみたいね」

 いのりちゃんはくすくす笑っている。


「いのりはオムライスのおにぎりとか変わり種すぐ行くよね。こどもみたい」


 やり返されたいのりちゃんはむーって顔をしていた。

 めがみちゃんは気にする様子もなく商品を選んでいる。


「ね、のんちゃん何にする?」


 軽めとは言え家には食事が用意されている。夜中に近い夜、という時間を考えれば、明日以降食べられるものを買うのが良いだろうか。飲み物でも良いかなぁ。でも、めがみちゃんはスイーツコーナーとアイスのコーナーを行ったり来たりしている。これ、多分すぐ食べる気だ。

 先ほど遅い時間に甘いの云々を言っていたことなど多分すっかり、忘れてしまっているようだ。


「せっかく買ってもらうんだからぜいたくなやつにした方が良いよねー。ハーゲンダッツかなぁ」

 クリスピーサンドとカップのピスタチオ味を見比べているめがみちゃん。


 う、それは惹かれる……!


「食べやすいクリスピーサンドかなぁ」


 やっぱり今食べる気だ。


「期間限定のと迷うー。のんちゃんもクリスピーサンドにしない?」


 それはつまり、別々のを買ってシェアしようということか。

 直接かぶりつくクリスピータイプはスプーンで食べるカップより、シェアのハードルは高めだが、めがみちゃんは気にならないようだ。わたしも別に気にならない。

 めがみちゃんの誘いに乗る形なら、高級アイスをおごってもらうのも少し気が楽だ。なにより今、わたしは既にアイスの口になってしまっている。

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