表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
104/217

いのりちゃんの提案

 ヘッドライトが行き交う幹線道路と暗い生活道路を交互に渡って家路を進む自動車。

 いのりちゃんが運転するハイブリッドカーは、静かな駆動音を唸らせながら夜の街を滑るように進み、わたしたちが住む街へと近づいて行った。

 減速や右折左折が穏やかで、余計な重力を感じず乗っていて心地良かったが、空いている道路では少しスピード出し過ぎなんじゃ? と思う場面もちらほらとあった。

 案の定となりのめがみちゃんも「速度出し過ぎてない?」と声を上げている。

 いのりちゃんは「範囲内だよー」と、答えになっているようないないようなよくわからない返事をしていた。少なくとも問題とは思っていないようだった。斜め後ろに座っているわたしからはその表情は見えないが、速度を上げていくときのいのりちゃんは少し機嫌が良さそうに見えた。



「合同始まっちゃうと教えてもらっての練習できなくなっちゃうよね。早く来れないと教えを受ける時間あまりとれないし、そももも月にエンサイオ三回、バテリア練一回しかないから、のんちゃんさえ良かったらまたうちで自主練やろうよ」


 スピードは緩めないまま、ゆったりとした口調でいのりちゃんは言った。


「え、やりたい! お願いしますっ」


「うんっ、ほまれ先生にも言っとくね! 後で日程調整しよう」


「あー、楽しみ過ぎる―! そーなってくるとちゃんと自分のスルド持ってないとダメだよね。買うかぁ」


「お、マイスルド! ほまれから言われた?」


「え? 買うことについてのことで?」


 特に具体的な話はされていなかったと思う。


「そか、ほまれものんちゃんのスルドのこと気にしてて、ソータにも相談しながら買うかレンタルか、買うなら新品か中古か、みたいな選択肢を揃えてのんちゃんと話してみるみたいなこと言ってたから」


 まだ聞いてないなら先に言っちゃって悪かったかな? なんて、あまり悪びれた風もなく言っているいのりちゃん。

 まあ順番はどっちが先でも良いよねなんて言っている時点で、たいして悪いとは思っていないのだろう。この話を止めるつもりはないようだ。


「買えるならやっぱりマイスルドらあった方が良いよね。買いに行くなら付き合うよ! 私も買うときみんなと一緒に行ったんだ。楽しかったなぁ」


 ね? とめがみちゃんに振るいのりちゃん。「いのり、買い物行くとテンション上がるよね」めがみちゃんはちょっと呆れた声を出した。


 買うならみんなと一緒なら楽しいだろうし、わからないことだらけだから知識ある人が一緒だと心強い。

 でも、お金がなぁ。


 いのりちゃんによると、大体五、六万円くらい。高いもので十万程度らしい。


「価格差はね、あまり気にしなくて良いと思う。素材の差であって、品質の差って感じではあまりないから。一般的に売っているものだとメーカーも限られてるし、その枠内で選ぶなら特徴に差はあるけど、安いから悪いとかは無いはずだよ」


 まあ私もまだまだ素人だからね。チカに教えてもらったのだとといのりちゃんは笑った。

 チカさんはいのりちゃんのセグンダの指導係だ。



 買いに行く前にタイミングあったらソータに訊いてみても良いかもと言ういのりちゃんのアドバイスには従おうと思った。

 エンサイオやバテリア練のお互いの到着時間を伝えあうくらいの、事務的なやり取りしかまだしていないが、一応ソータさんの連絡先は登録してある。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ