シェアハウスに住むことになったんだが、何故か幼馴染と同棲生活になってしまった。
読んでいただきありがとうございます。
「「どうしてこうなった?」」
俺・七森心太郎と隣りにいる幼馴染の西条渚は顔を見合わせながら言った。
目の前の玄関には、たった今引っ越し業者が置いていった大量の荷物。
なんで入寮最終日なのに俺と渚の二人しかこのシェアハウスにいないのかは置いといて。
それと、なんで渚がここにいるかも置いておこう。
とりあえず今は
「荷物・・・片付けるか」
「・・・そうだね」
二人で引っ越しの荷物を片付けることにした。
◇◇◇
「それでどうしてここにいるんだ?」
「それはこっちのセリフよ」
引っ越しの荷物を片付けた翌朝。
結局あの後、荷物の整理に一日かかってしまった。
それも仕方ない。なんと言っても大学生活四年分の荷物だったのだから。
「確認するけど渚の大学は?」
「T大だけど」
「こっちの目を見て言えよ・・・」
大学も同じだった。
高校の卒業式のときにも同じことを聞いたけど『秘密よ』の一言だけだったよな。
だけどこんなことよりもまだ気になることもある。
「他の入寮者はどうしたんだろう?あと二人来る予定だったのに」
「さぁね。私はわからないわ」
「そうか。こういう時もあるのか?」
「まぁ。あるんじゃない?」
どうやら渚も知らないらしい。
シェアハウスが広くなるからまぁ・・・いいか。
昨日は驚いたけどだんだん状況に慣れてきたな。
よく考えると、知らない人たちと住むよりも知ってる人と住む方がストレスもないし。
渚はもう十五年以上の付き合いの幼馴染だし。
結構この環境はいいんじゃないか?
渚と二人きりだから同棲カップルみたいなのが少し気になるが・・・
しかしもうこうなった以上仕方ない。
せっかくの大学生活だ。楽しまなきゃ損だろう。
「これからよろしくな」
「ええ。こちらこそ」
俺は渚にコーヒーを渡しながらそう言った。
これからの生活に期待を込めて。
◇◇◇
「そうか。こういう時もあるのか?」
「まぁ。あるんじゃない?」
私はそう心太郎の言葉に答えた。
本心を隠しながら。
実のことを言うと他の入寮者たちはちょっとお願いをしてこのシェアハウスに来ないよう頼んだのだ。
そう。あくまでもお願いだ。
少しだけここでは言えないような手を使ったけど・・・
まぁ死んでいないし大丈夫だろう。
だけど私には正当な理由がある。
あれもこれも、私は心太郎との同棲がしたかったから行動したのだ。
そのために高校のときから苦労したわね。
心太郎の進路を調べる時とか。大学の学部を調べる時とか。シェアハウスに住むってわかった時は焦ったわね。
まぁ。現にこうなっているからもういいけど。
私はコーヒーを飲む心太郎の顔を見る。
なんて純粋な顔なんだろう。
まるで人の闇をまだ知らない子供の顔だ。
この顔がこれからの私の行動で赤くなったり、羞恥に頬を染めると考えると―――
「たまらないわね」
だんだんと自分の鼓動が速くなるのがわかる。
これからのことを考えると興奮が止まらない。
体中がゾクゾクする。
「なんか言ったか?渚」
「ふふ。いいえ何も」
「?」
だからか。少しだけ笑みがこぼれてしまった。
あいも変わらず心太郎の顔は純粋無垢。
嗚呼。これからが本当に、本当に楽しみね。
今日からもう襲っちゃおうかしら?
私はこれからの同棲生活に心を踊らせた。
無事出来上がりました。
今後の参考とモチベーションのためにも評価とブクマの方お願いします。
それではまた次の物語で。