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公開家計簿  作者: 鹿家加布里
7/18

そりゃまあ確かに冷蔵庫って一番よく使って意外性も案外感じないほうの家電だけど、なんで金庫より安いものを選んだのかとかそんな感じ。

これが飲まずにおらりょうか、といった具合に開店の周年セールの居酒屋で飲んだ。

飲み物がオール百円という、まさにパラダイス。

しかしなんとも、酒に弱くなってしまったものだ。

全力で挑んで生4杯と芋ロック3杯でギブアップとは情けない。

全盛期ならこの1.5倍はいけたのに、病と歳は重ねたくないものだ。

割といい感じに出来上がった状態だったが、今回は忘れなかった。

そう、コメだ。

コメさえあれば、日本人はたいてい何とかなる。

作戦に参加する将兵全員に握り飯があと二個づつ配られていれば、ガダルカナル島の航空基地だって奪還できていたに違いない。

そのくらいコメは偉大なのだ。


で、だ。

コメは忘れなかったが、昼過ぎに起床してみると、とんでもないものを忘れたというか、無くしていた。

家の鍵。

これがどこを探しても見つからない。

酔っぱらった→外での出来事

コメを買った→外での出来事

惰眠を貪った→家での出来事

なので、鍵の在処はこの狭いワンルームなのは間違いない。

外で無くしていたら、そもそも布団で大の字になれないのだから。

まずは玄関を開け、ドアにカギを差しっぱなしにしていないかを確認する。

過去に何度かやらかしたとんでもなくヤバい失態なので真っ先に脳裏をよぎった。

ドア開放。

あったのは、置き配の三ツ矢サイダーの箱だけだった。

そういやコスパ的にこっちの方が安いからって頼んでいたのだった。

鍵はないが、糧食を粗末にして生きながらえることはできないのだから、室内に運び込む。

次に、いつもの置き場近くを捜索。

見当たらない。

ひっくり返すわけにはいかないが、散乱したごみを処分したことで部屋の一部が綺麗になった。

問題は解決していないが。

ここで玄関のチャイムが鳴る。

出てみると宅配業者。

諸般会って注文した安いノートパソコンが、到着予定日を三日も前倒しして届いたのだった。

……今月の支払い、大丈夫だろうか。

数字的に、障害年金が入ることを当て込んでの買い物なので、同年代の財形と比較すればあからさまに破綻しているのだ。

それでも買わなきゃならない時がある。

義理と筋だけは通さないと、気持ちが落ち着かないのだからどうしようもない。

最後に、昨日履いてたスーツのズボンのポケットを確認する。

何も出てこない。

万策尽きた。

鍵はまぁ、大家さんに頼んでスペアを貸してもらって合鍵を作ればいいだけの話だが、切り出すのに八と情けない話である。

コメはある、だが、おかずが無い。

これを買いたいがために鍵を探しているのだが、ない以上防犯的に無施錠で部屋を開けるわけにはいかない。

なにしろこのアパートには、入居から一か月にも満たない(二週間くらい?)自分のところに、二万円貸してくれと突撃をかましてくるとんでもない(差別用語)オヤジが住んでいるのだ。

大家さんは良い人なのだが、いい人過ぎてこんなとんでもないのも平気で受け入れちゃうのである。

ここまで、すでに四時間かかっている。

昨晩の、酔っぱらっていつもの行動を墨守しなかった自身の記憶外の行動。

これだけしか頼るものは無かった。

とりあえずこのままではいかんので、冷蔵庫に三ツ矢サイダーを充填することとした。


あった。

冷蔵庫の中に、キンッキンに冷えた家の鍵が。

なんで?

なんでこんなところに入れてるの?

結露現象を使って水を確保する努力が、昨晩の自分には必要だったの?

わからない、答えは闇の中だ。

19時50分ごろ、自分は鍵を持ち、買い出しに出た。

とにかく食糧だ。


さて、今月末・来月末はどんなえぐいクレカの請求金額が来るのかねぇ。

5万円を切ったら、金の無心に奔走しないといけないだろう。

それほどに、ピンチなのだ。


☆昨日と今日の収支☆

出費:

金曜日:三ツ矢サイダー(通販)

●162円(税込み)


金曜日:米と朝食

●2,420円(税込み)


金曜日:居酒屋

●3,280円(税込み)


土曜日:晩飯と朝食

●1,530円(税込み)


財布:11,603円

通帳:80,431円

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