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公開家計簿  作者: 鹿家加布里
4/18

田舎育ちはこの程度の雨では死なないけど酸性雨が怖い人たちは死ぬのかなとかそんなかんじ。

仕事が終わりビルから出てみると大雨だった。

アニメ消化するのに忙しいから、天気予報なんて見ていない。

だから、備えるすべが無かった。

置き傘なんて軟弱なこともしていない。

「鹿家さん、どうしますこれ?」

同僚が聞いた。

「俺、誰かの傘に入れてもらおっかな」

続けた。

自分は思った。

何と惰弱な、と。

傘を持ち合わせていない人は割と多くいるようで、尻込みしている空気はありありとわかる。

ならば、自分は何を成すべきか。

「……我、突貫す。おつかれ!」

一歩、軒先から躍り出る。

一歩、雨滴が眼鏡の視界を奪い去る。

一歩、ワイシャツが水を含んで透ける。

思う。

どうして俺はオッサンなんだ、透けシャツが許されるのは女子高生までじゃないか、と。

走るような真似はしない。

自分の限界くらいわかっている、ここで雨を避けようと走れば、すっころんでアスファルトの粉まみれになることくらい。

だから、一歩一歩、速足で駅へと向かう。

コンビニの前に差し掛かるが、入ろうとはしない。

売り切れてるに決まっているから、無駄な時間を使いたくない。

このまま駅に滑り込んで、はやいこと電車に乗って、自宅近くにたどり着くのが正着だ。

その一心から、ずぶぬれで電車に乗る。

優先席が空いていたので、遠慮なく座る。

ヘルプマークをぶら下げているアレなアレの、唯一の特権だ。

座ってる人がすべからくずぶぬれなのは、流石といったところか。

しかしなんともまた、寒い。

普段は快適なはずのエアコンが、絞れば溜まるほど水を吸った服を通して牙をむいている。

耐えること、しばし。

電車は、最寄り駅に滑り込む。

駅を出る。

大雨。

ため息。

ままよ大胆一歩を進め、ここは何処ぞ滝行の中。

そして思い出す。

あ、今日、米買って帰んないと食べるもんないわ、と。

だが無理だ。

流石にこれは無理、多少の奇行は許されるが、これで米買って歩いて帰るのは狂行だ。

なので、近所のスーパーで晩飯と明日の朝食を買った。

かつてはこの時間、半額シールが貼られ150円だった弁当も、時世柄400円近くへと値上がりし、量は減り、値下げされない姿を誇らしげに並べていた。

明日こそは、米を買わねば。

あと、これ書き終わったら炊き込みご飯の素をamazonでポチらなければ。

我が家は基本的に、米と言ったら炊き込みご飯になる。

昭和の貧乏サラリーマン家族が如く、炊き込みご飯ならおかずが要らない、いや、少なくて済む。

炊き込みご飯とみそ汁で、食卓が完結する日もあるのだ。

もっとも過食の気があるため、米は一食当たり一合半は食うので昼飯をサイダーで済ませたりしているのだが(今日は空腹に耐えられずおにぎりを買ったが)。

とにかく、明日は米だ。

米を買わねば。


☆今日の収支☆


出費:

三ツ矢サイダー

おにぎり(梅)

●287円(税込み)


弁当二つ(夕食・朝食用)

岩下の新生姜

●1,012円(税込み)


残額:

財布:12,253円

通帳:90,431円

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