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13 フラグ回収

 

 目的の物を買い、再びラフィリアの着せ替え人形になっていたが、そろそろ暗くなる時間帯である。ラフィリアが気に入った服を全て購入し、雑貨屋で姉妹でおそろいのネックレスを買って屋敷に帰ることにした。紙袋の中にレザーパンツが入っていたことなど私は見てないし知らないし気づいてない。


 この雑貨屋は魔道具を売っている珍しい店で、少し値は張るがいざとなった時の防御魔法などの魔力付与が出来る物が多いので庶民出身の騎士などに渡す親族が多いとか。

 ラフィリアは何故か私に恋愛成就の効果がある魔法石の指輪を勧めて来たが、何故だ。もしその指輪を買って欲しかったなら本当に申し訳ないことをしたと思うけれど、ラフィリアとルーカス殿下は私から見て結構いい感じだったから恋愛成就の魔法なんてなくても大丈夫だと思う。


 屋敷までは街灯が少なく暗くて危ない為、魔法で辺りを照らしながら帰る。え?先生が公共の場での魔力行使は退学って言ってた?……国家公務員って便利だよね。まず、私にはラフィリアの身の安全を守るという生まれた時からの義務がありますし?その為に魔道士になったわけだから。

 うん、何かあってもお父さんに頼んで揉み消してもらおう。そしてか弱い妹を守るためという大義名分があるし、魔法で誰かを攻撃したわけでもないんだから大丈夫だ。


「あ、お姉さま、あれ」


 ラフィリアが何かに気付いたように指を差したのでその方向を見てみると、なんと王家の馬車が。止まっているのは貴族女性向けのドレスや宝石が沢山売ってあるところ。ある意味一番強盗に狙われるやつ。強盗達にとって、ハイリスクハイリターンってやつ?バレたら捕まって地下牢送りだけど運良く逃げられればそのお金で生涯遊んで暮らせるっていう。


 さて、王妃様か。それともアナスタシア姫か。でもね、どちらにしろ一つ言わせて。この店ってたしか出張販売もやってるんだから普通に王城に呼んでください。護衛の為の騎士たちが見えるだけでも五人、気配を探ればあと七人はいるんだが。なんたる人員の無駄遣い。羽目を外したいのは分かるんですけど、ご自身の身の安全も考えましょうよ。


「あ、出てきました。……ルドルフ殿下と庶民が」


 ごめんなさい王妃様、姫様。今臣下である私がお二人に濡れ衣を着せました本当にごめんなさい。脳内で二人に土下座し謝罪した。本当に申し訳ないので今度いい所のお菓子の詰め合わせを持って謝りに行こう。

 いきなり謝ったら何がなんだか意味不明だと思うので、馬鹿王子の浮気の証拠を徹底的に集めて献上しよう。それが精一杯の誠意と言うやつである。


「あら?レティシアさんとラフィリアさんじゃないですか。二人とも、お忍びでお出かけですか?」


 ヒロインが話しかけてくるも、ラフィリア選手はこれを無視。当然である。学園では形だけとはいえ無礼講と言うやつなので、自分より上の貴族に自分から話しかけたり、様付けをしなかったりしても咎められることはない。相当な顰蹙を買うが、不敬罪で罰則とかもない。

 しかし、ここは天下の王都の城下街。バリッバリの公共の場である。よって、私とラフィリアにはヒロインの問いかけに答える義務はない。しかも、私達はこの国の貴族筆頭とも呼ばれる三大公爵家の娘である。しつこいようならこのまま不敬罪として通報してもいいんだぞおい。


 そして、そんな貴族の常識を教えている(と、前に浮気の弁解に自分で言っていた)馬鹿王子は何も言わない。こいつが考えてること当ててみよ。多分、自分と結婚すればヒロインは王妃なるから何も問題ないとか考えてそう。

 でもね、知ってる?実は王家と公爵家って権力的にはほぼ互角なんだぜ?ただでさえ公爵家の領地ってデカいから、王都と同じか少し大きいくらいなの。

 で、王家が治めるのは建前は国だけど、本当のことを言えば王都だけ。国王は一応貴族や一般庶民に命令できるけど、公爵家ともなれば、よっぽど重要なことではない限りその命令を断れる。


 つまりはだ、別にこの馬鹿王子が王になろうがなるまいが、ヒロインが私より立場が上になるわけでもないと言うことである。普通にこのままこの馬鹿王子が王になるとして、ならば確実にハミルトン公爵家の後ろ盾が必要になるからアイリス嬢が王妃になるのは決まり。

 なるほど、ならヒロインは側室扱いになって大した仕事をせずに国王の寵愛を受けるわけだ。うわあ……クーデター起こればいいのに。なんかこの二人って他の人に仕事押し付けて遊んでそうなイメージあるよね、完全な偏見だけども。


「あれれー?私がルドくんにお店貸し切りにしてもらったから、しょうがなく庶民専用のお店に行ったんですか?ごめんなさいねー?」


 あ、こいつうっぜえ。あと、私いつの間にかフラグ回収してるんだけど。そういやお店で貴族だからって店貸し切りにしろなんて横暴だよね、さすがにそんなのいないって言ったような気がする。あの時の私、本当にいたよ。王族の権力振りかざして庶民の為に貴族用の店貸し切りにするような横暴なやつ。

 そして、ラフィリアが今日の為に考えてくれてたプランを馬鹿にしやがった。怒ってないかなと隣を見ると、ラフィリアは無。そう、無表情でその顔からは何も読み取れることがない。あれ?最近こんな顔をどっかで見かけたような気がする。


 とりあえず、お前には物凄くイラついているけど。うざいとも思っているけれど。ラフィリアのこれはやばいので、今すぐ逃げるんだヒロインさん。


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