表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/18

10 ラフィリアの気持ち

 

 ヒロインの言葉にプンプン怒っているラフィリア。確かに、姉が嫌われてるって何もオブラートに包まずに言われたらそりゃ文句言いたくもなるだろうけど。


「お姉さまが嫌われているわけがないでしょう!むしろノアさまはお姉さまにぞっこんなんだから、勝手なこと言わないでちょうだい!」


 あー、待って。大声で恥ずかしいこと言わないでお願いだから。この勘違いはなんなの。なんで私の家族はみんな勘違いしてるの。


「よし、もっと言ってやれラフィリア!」


 あと、なんであんたはここにいるんだよばーちゃん。恋バナ大好き過ぎかよ。気配が完全に消えてたせいでご令嬢達がめっちゃびっくりしてるじゃんかどうにかしろ。

 突然の学園長突入と、その後ろからうちの担任が入ってきてあとは残りの生徒。

 あっという間に全員揃ってもう二人とも何も言えなくなっている。え、つまりは聞こえてたわけです?このくだり聞かれてたの?何それ恥ずかしすぎない?


「はい、成績表くばるから全員席に着け。さっさと配って下校するぞ」


 うちの担任は細かいことはどうでもいい系の人で、さっきまでの修羅場も全くもって気にしていない様子だった。この学園の教師は騎士、または魔道士の人が多い。うちの担任は祖母の部下で現役時代はそれはもう振り回されてきたらしい。


「夏期休暇中の注意事項だが、許可のない公共の場での魔力行使は禁止だ。破った場合はもちろん退学になるので、そのつもりで」


 極々当たり前のことを先生は言う。魔力は一般人を守るためにあるのであって、その魔法を攻撃のために使うのは大変顰蹙を買うのだ。

 え?どっかに公共の場であるはずの学園で魔法を使ったやつがいるって?国家公務員って便利だよね。正当防衛っていうこともあって、すぐに揉み消されたよ。


「んじゃ、俺からは以上。あとは、学園長の話を聞いて解散ですっと」


 え?あんたまだなんか話すの?って多分全員思った。本当に、他に何を話すことがあるんだ学園長。そして、担任はササッとどっかに行った。ちなみに、うちの担任の名前はアンセント・タンニン。祖母に「教師じゃないのに担任……ぶふっ」って弄られたらしい。そして、新人魔道士の教育担任を任されたとか。ちなみに、全部祖母談だ。


「で、アタシからの話だが。次の学期から庶民の女子生徒が一人増えるからそのつもりで。以上」


 庶民の女子生徒。当然ながら、教室は沸いた。耳を済ませると、「また?」だとか「あの人みたいなのが増えるんじゃないでしょうね?」とか主に不満が多かった。そりゃ、ヒロインみたいなのが増えたら嫌だよね。


 そして、今度こそ解散した。そしたら突っかかってくるの、王子とヒロインが。でも、何故か知らないけど宰相の息子と男どもは突っかかって来ない。どうしたお前ら、改心したの?いや、別にいいことなんだけど。


 周囲を見渡すと、祖母が自信満々にドヤ顔してた。つまりさっきは話をしてたのね。そして、王子以外は改心したから男どもがいなかったと。なるほど、じゃあ改心してない王子はもうヒロインにガチ恋してるからアイリス嬢に婚約破棄をおすすめしろと。



***



 お姉さまは、あのイリアとかいう庶民から何を言われても気にしていないようだった。


 一番最初にあの庶民がお姉さまに何か言ってきたのは入学から二ヶ月経った時だった。

 庶民は魔力持ちとしての義務を知らないけど、貴族からしたら守るべき人なのは変わらないから、優しく教えてあげようねって困った顔で笑ったの。


 あの庶民はよく『あくやくれいじょう』とか『おとめげーむ』とかいう単語を使うのだけど、わたくしにはよく分からなかった。お姉さまは分かっているみたいだけど、あまりいい顔をしなかったから悪い意味には違いないのよね。


 そんなお姉さまは、最近悩むことが多くなった。話しかけてもすぐには反応しなかったり、酷い時にはわたくしの存在にすら気づかないの。きっとあの庶民がノアさまに手を出そうとしているからだわ。

 お姉さまは小さなころから魔法の鍛練ばかりで恋愛面では疎かったから、こういう時にどうすればいいか分からないのね。


 そればかりか、お姉さまは自分はノアさまに嫌われてるって落ち込んでたの。絶対あの庶民に何か言われたんだわ!ノアさまがお姉さまのことを嫌っているはずがないもの。


 今日だって、お姉さまが忙しいお仕事の合間をぬってわたくしとの時間を作ってくださったのに、あの庶民が邪魔をする。わたくしとお姉さまがどこに遊びに出かけようが関係ないでしょう。何故ルドルフ殿下もこんな常識知らずを庇うのかが分からないわ。


 そして、挙句の果てにはお姉さまがノアさまに嫌われているですって?何を巫山戯たことを言っているのかしら。


 ノアさまがお姉さまと夏期休暇中に出かけたいって言っていたからその為のお洋服を買いに行くのに、殿下達と鉢合わせでもしたら最悪ね!いっそ、今日ノアさまが非番だったら制服でーとと言うものが出来るのに。


 お姉さまのことを嫌っているのなら、まずノアさまは誘わないわ!小さい頃から家に来ては、どうしたら好きになってもらえると思う?って毎日私に相談しに来て、お姉さまは強い人が好きって言っていたからそれを教えれば、強くなるために努力して次期騎士団長とも言われるくらいに強くなったのに。

 そしたら、お姉さまも負けたくないって鍛練の量を増やしたのは誤算だったけどこれってお互い思いあっているってことでしょう?


 だから、二人の恋路を邪魔なんてさせないわ。人の恋路を邪魔する人は馬に蹴られるっていうもの。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ