一章 人食イギロチン 第九話
若干コメディ入りまーす。
××××
「静かに! 静かにしなさい!」
前方の教卓、その上に両手を叩きつける鬼風紀が一名。どうでもいいが、それ続けると手、腫れるぞ。ま、普段銃とかで皮厚くなってるはずだし、大丈夫かもだけど。
思いながらも俺は自分の席、滅多にやってこないため最後方にされてしまったベストポジションからあたりを見回す。
久方ぶりに授業に出席し、周囲の人間のみょーなテンションに付き合わされた一日の、最後。正確に言えば最後にセッティングされたLHRの時間。基本浮ついた雰囲気をもつクラスだが、今日は更に浮ついて見えるのは気のせいではないだろう。なぜなら………
「はい! ではLHRをはじめます! 本日の議題は、二週間後に迫った春の『緑葉祭』のクラス企画、および各クラス対抗サバイバルゲームのチーム選出と、生徒会企画であるミスコンのクラス代表者選出を行いたいと考えています」
「「「「Huuuuuuuuuuuuuuuu!!!」」」
鬼風紀の言葉と同時、クラス中から巻き起こるアメリカンな歓声。
立ち上がる男子生徒――――
銃を振りかざす猛者――――
控えめに拍手で迎える女子生徒――――
歓声の坩堝が、今まさにここにある。
「静かにっ!! はいそこ! 銃しまう安全装置かける! 暴発させたら始末書+便所掃除一週間の刑だからね! そこっ! だからと言って投げナイフ使わない! 特待生! 魔眼は控える! 特に隆生寺!」
「ふん。わかっているとも、鬼風紀。いや、今はわがクラスの委員長殿とお呼びしたほうがいいかな」
「……当然だろ」
隣席の小春に、思わず突っ込む。が、例によって例の如く小春にその程度のことが通じるはずがなく、
「まぁまぁナギよ。英気を養うのはそれほどにしておいて、お前も少しは楽しんだらどうだ? 見てみろわがクラスのこの雰囲気を。皆が二週間後に迫った祭りに向けて浮き足立ち、このような有様だ。これに乗らずして、何を楽しめと言うのだ、ナギよ」
だからって椅子寄せてまで肩組みに来るな。確かに楽しむつもりではいるけど、この空気はどっちかって言うと苦手なんだよ。
「まぁまぁ、苦手意識も払拭するにいい機会だ、せいぜい飲まれておくがいい。どうせこの後も俺たちに待っているのは殺戮の日々。今楽しまないで、いつ楽しむと言うのかね?」
「はい、後ろ! みんな楽しもうとしてるんだから同情誘うようなドシリアスな雑談しない!! あたしだってそうだけど、今は考えないが吉!」
むしろその言い方のほうがあおってると思うんだが、都坂委員長よ。
「はい、では程よく空気も落ち着いたところで――――」
落ち着いてねぇよ。
「―-――まずは、すっきり決まりそうなサバイバルゲームのチーム選出から行いたいと思います。立候補、もしくは推薦はありませんか?」
「はいはいはいはい!! まず、いーんちょーと隆生寺、穂村とカノンに修羅崎、柵内――――」
「は、もう決定ですので、他の人誰か立候補はありませんか?」
「って、決定かよ!」
勇み足で意見発表して、叩き潰されるクラス裁判長、板橋。軽薄でテンションに敏感で心の機微に気配りがきき運動神経がよく………しかしそれゆえ弄られ役で成績不振で女っ気がない、軽薄男の見本のような男だ。故に今のように撃墜されることも侭あり、クラスにとってはもはや名物だ。
「じゃあ、俺にやらせてくれぇ。なんか楽しそうだし、それに特待生と共闘なんてめったできねぇだろ? やっといて損はないと思うんだ」
「………って言ってるけど……特待生。どう思う? 特に修羅崎さん」
「え?」
と、いきなり話に引き込まれ困惑の声を上げたのは俺と同じ特待生組である一人の少女、柔らかな長髪をツーサイドアップにしたお嬢様然とした人物だ。
その人物、修羅崎澪はしばらく考えるように宙の一点を見つめ、
「………うん、問題なし――――かな。板橋君、近接戦型だったよね? このクラスの特待生面子だと、遠距離に偏りそうだし……」
「そう………。他の特待生! どう思う?」
「異議なしだ。澪の分析なら信用できる」
「俺も同感だな。我らが『The Lovers』の言葉に、間違いはあるまい」
「私の意見など一分の価値すら存在しません。私如きの意見を耳にするような時間的余裕が存在するならすでに提示されている価値ある意見に耳を傾けるべきかと」
「ふむ………じゃあ、入れても問題なし、か-―――。では、板橋はメンバー入りで問題ないのね?」
クラス全体に意向を問うように、委員長。
「異議な~し」
「おっけー」
「俺も俺も」
「と、言うわけですので、近接遊撃手として、板橋を加えます。板橋、自分なりに加えてほしいメンバーっている?」
「え? 決めていいのか?」
きょとん、とした表情で板橋。自分の役割はもう終わり、とでも思っていたのだろうか。あいにくながら、そう簡単に終わるほど、このクラスは甘くないぜ。
しばし考えるように、板橋は腕を組み、
「なら……そうだな。全体的にメンバーひょろいから、なるべくガタいのいい奴がほしいな」
「体格で言うなら………ヘカトンケイル三人衆のうちの誰か、とか?」
ぎくり、と教室の最後尾、そこに座る大柄男三人組の身が震えた。
「修羅崎さん、メンバーから考えて、一番いいのは誰だと思う?」
「え………と、アイガイオン、かな」
「おで!?」
後方大柄男三人組、わがクラスが誇ヘカトンケイル三人衆が筆頭、アイガイオンことジャクソン・小松が絶叫する。ちなみにこのレスラーのごとき名前、あろうことか本名であるというのだから驚きだ。人類というのは神秘の塊、故にこそ千差万別の差異を楽しむこともできる。うむ、生きてるって素晴らしい。
「どうしておでなんすか!?」
小さな目を限界まで見開き、巨体を揺らして席から立ち上がる小松。二メートル近い巨躯であるため、首を回して後方を伺えばとんでもない迫力がある。こら澪、この程度でビビるな。
「ひぅ……え、と。西原君でもいいかな、とも思ったんだけど…やっぱり一番パワーがあるのって小松君だし……それにさっきのみんなと一回は関わってるから、連携も取りやすいと思うの……」
おっかなびっくり、といった風体ながら、口にすることは一流のそれ。やはり性格がどうであれ、澪も特待生ということか。
NAS特待生№Ⅵ《The Lovers》《恋人》、修羅崎澪。その性能は射撃・近接・隠密等、さまざまな技能を必要とされるNASにおいて、平均以上ではあるものの特筆するほどのものではない程度しか持たず、だからと言って魔眼に恵まれているわけでもない、そんな一見すれば凡庸としか見えないようなものしか有していない人物である。
が、それでも彼女はNAS特待生なのだ。
NASという存在は特殊国家『資格』である。この資格を保有していれば、殺人者殺害のための殺人許可証と、一定レベルの生活を国家によって保障される権利と、ある程度であれば個人情報を閲覧できる権利などを一気に手にすることができるのだ。
つまり、その資格の取得にはそれなりどころではない素質を必要とする。
そんな中に学生の身分で存在しているのだ。
特筆できない能力が、存在しないわけがない。
修羅崎 澪が有する才能、それは『無個性』『没個性』にある。
澪には突出した点がない。言い換えれば、すべての分野においてそれなりの才能を発揮できる。
澪には人より前に出ようという気概がない。言い換えれば、すべてを客観的に認識できる。
そして、澪はひどく聡明であり、他人の長所短所を理解することに長けている。
これらすべてからなる究極的な才能、それは『連携』である。
己の長所と短所、他者の長所と短所、それぞれの適正な立ち位置など、連携の際に必要となるすべての要素を、澪は究極的に有している。自らのもつ平均的な癖のない才覚を他者の穴を埋めるために用い、他者の力を全力で引き出した上で自らも万全を期すことのできる、まさに連携のために存在するような才能の塊こそが、修羅崎 澪の特異点なのだ。
だからこそ、
「ぬぅ……そう言われては引き返すごともできないようでずな」
「ってことは、やるって解釈でいいの?」
「ぞうずるじかないでじょう。修羅崎どのの推薦とあれば、答えるのが責任でず」
やけに濁点の多い特徴的な言葉回しとともに席へと戻るジャクソン・小松。教室の床が一瞬軋み、澪が再び身を震わせる。
「はぁ………」
余程怖かったのだろうか、澪がため息をつきながら机へ突っ伏しかけ、
「なら、これで私とカノンと修羅崎さんに渚と隆生寺、それに柵内と板橋、小松で八人になったけど……このままいく?」
緑葉祭のクラス対抗サバイバルゲームの規定によれば、一クラスの登録可能人数は八人以上二十人未満だったはず。で、うちのクラスは有力株ぞろいだから行こうと思えばこのままでもいけないことはないとは思う。隣のクラスも結構な数の特待生がいたはずだし、おそらくは固めて投入してくると思って間違いない。と、いうことは確定している出場メンツはアイリスと萌木と孤実に帝、それと――――
「……小春、」
斜め後方、訳知り顔で諦観していたわが友人Aのほうをうかがう。
「ふむ、やはりその点は気になるか、わが友ナギよ」
「……思うところは同じってことか…」
「はいそこ! いったい何?」
「いや何、全力で勝利を狙わぬ限りは関係のないことだ」
ゆるゆると首を振る小春。見ようによっては挑発ともとれる動きだが、この程度の挑発に乗る委員長じゃないので別に諦観してても……
「待ちなさいよ! 出場するからには勝利を狙うのは当然のことでしょう。で、それに障害があるのなら教えなさい! クラス全体の士気にもかかわるんだから!」
委員長の言葉にうむうむとうなずくクラスメイト。やはりNAS養成科の学生NAS。血の気はそれなりに多いということか。
しょうがない、後ろのほうで俺にやれ、と言わんばかりにうなずいてやがる友人もいることだ。
「まずカノンと澪、お前らの最大射程は?」
「…………1253.77m」
「ふぇっ?! えっと、ヘッドショット限界が500、胴体でいいなら1000…だけど……」
とんでもなく冷静な対応ととんでもなくおどおどした対応をありがとう。まあ、これではっきりした。
「足りない、な。どう思う、小春」
「同感だ、ナギ。これでは距離が足りない」
「ちょっと! だから二人だけ訳知りじゃなくて、わかるように説明しなさい!」
まったく、だからちょっと落ち着いてくれ。
「簡単なことだ。隣のクラスにいる最高峰の狙撃手、あいつに届かないと、敗北は必至ってことだよ」
「あ………」
クラス全体もようやく思い至ったのか、全員の表情にわずかな影がさす。
そう、隣のクラスにはまだ一人、忘れられている怪物が存在する。1.5km先の標的の頭を打ち抜き、スコープなしでも数百メートルの狙撃を可能とし、狙った獲物を一切逃さぬ百発百中の腕をもつ硲学院最強の狙撃手、
緋鹿、七鳴の存在が。
硲学院の敷地は広い。校舎から最も離れている点でおよそ4km、うち一般生徒でも狙撃可能となる距離である1km圏内にある高台は八か所、距離を選ばなければ十二か所にある。その位置に、あの腕を持つ狙撃手を配置されてしまえば……こちらに勝ち目はない。
「……確かに、そうね………。高台だけでも十二か所あるのに、そこに七鳴置かれたら終わりだわ……狙撃可能距離が1000しかないなら、狙撃での応戦でも無理はあるし……となると…」
「おいおい、わしを忘れてもらっては困るぞ」
「「「!」」」
突然教室内に響いた、凛とした一声。その声にこの場にいる全員が銃を構える。全身に緊張が走り、無意識的に手が脇の下の銃のグリップを握りしめ……
「なんじゃなんじゃ、クラスメイトを撃つ気か主らは」
「――――あ」
その一言で、全員が武器から手を離した。
「久しいのぉ――この教室は」
「狩人さん……戻ったんですか?」
教室の中心に屹立する、ポニーテールに日本刀持ちの大人びた少女、狩人瑠花はにやりと笑みを見せ振り返り、
「おうおう、つい今しがたな。ナギも息災で何より……。仕事は順調かの?」
「おかげさまで。でも、どうしていきなり?」
緊張を解きほぐすように全員が息を吐く中、俺の真後ろの席を目指しながら狩人さんは、
「なに、祭りと聞いて戻ってこずにはおられんということよ。しかし、ひどい教室じゃな相変わらず。帰ってきただけで全員が警戒姿勢とは……場所が場所なら、全員の首がなくなっとるぞ」
「そりゃ、あんな帰還すればね――――」
そう、ここは曲がりなりにもNAS養成科。今まで武者修行として全国巡礼してた人がいきなり帰っていた程度で警戒姿勢になりはしない。
ただ単純に、後ろからその場を見ていたはずの俺ですらそこからいきなり湧いてきたとしか思えないような出現の仕方を見せられて、警戒しない人間がおかしいというそれだけの理屈だ。
「で、今度の成果はその日本刀ですか?」
「おうおう。旅先で良質なものが手に入ったのでな。前の硬鞭は使い切って壊れてしもうた。また要に世話になるまいて」
「泣きますよ、要が」
自作の武器壊されるとごねるからな、あいつ。特に狩人さんの鞭には手間かけたらしいし……
「ちょっと狩人さん! いきなり帰ってきて和を乱さないでください! 結構大事なこと決めてるんですから!」
「おうおうすまぬな。しかしわしが帰ってきたんじゃ、少なくとも二歩は前へ進むはずじゃろうて」
自信ありげに足を組み、頬杖をつく。この様子、よほど自信が――って、まあ、確かに前に進むな。
「なあ、澪」
「ふぇ? な、何?」
もじもじと前を向いたまま、澪。
「このメンバーに狩人さんって、アリか?」
え? と澪。そのまま考え込むように目線を天井のほうへとやり、
「え、と。前衛に偏るかもだけど、大丈夫、かな」
「よし、なら決まりだ。七鳴対策に、狩人さんも入ってもらう」
「うむ、承知した」
言いながら俺は前へ向き直り、
「……と、いうわけだ京。これでバランスと対策はどうにかなった。あとは立候補聞いといてくれ」
「了解。あ~、カオスなメンバーになったわね……。で、このカオスに加わるつもりのあるメンバー、ほかにいる?」
「「「………………」」」
教室内は、無言だった。
基本的に緑葉祭で行うクラス対抗サバイバルゲームは使用する弾丸こそ模擬弾だがその実、通常火器に限らず重火器魔眼その他なんでもありありの血みどろ戦になる。基本構成は学生NASも入ってくるのだが、今年のようにNAS特待生が異常に多いとなると、そのメンバーは特待生に偏り、結果、一般の立候補者はいなくなる。
ま、予想通り、誰も立候補はない。
「………立候補、なしね」
言いながら、満足げに委員長はうなずき、
「じゃあ、次。クラス企画なんだけど……これは前回の確認ね。前回決まった『ゴーストティーパーティー』に、異論は?」
「「「「なし」」」」
「よろしい。で、最後……なんだけど………」
「「「――――ッ」」」
にわかに。
教室内の空気が、ざわついた。
「――生徒会企画である、ミスコン出場生徒を決めたいと思います」
「「「Huuuuuuu!!」」
再び沸き立つ教室内。歓声を上げるクラスメイト(主に男子)。
「こらそこ! 銃はしまう安全装置掛ける撃鉄は下ろす! って手榴弾!? 問答無用よ! 『死線』の餌食にしてやるわ! ああもう! ナイフもダメ!」
絶叫を繰り返す委員長。ま、この先は俺に関係のないことなんで、どうでもいいか。小春もなんだか完全に傍観に徹することにしたみたいだし、角席のカノンは武器の手入れに入ってる。澪はと言うと、出ることになったときのことを考えているのか、さっきから真っ赤っかだ。
「なはははは……みな沸き立っておるのぉ」
「そりゃそうですよ。確か、狩人さんは去年出てましたよね? 留年組なんですから」
「おうとも。一応8位までは上ったぞい。かの神楽に敗北したが」
まったく、実力だけ見れば今すぐNAS試験に合格してもおかしくないってのに、何やってんだか。
「また出たらどうです? さっきから隣の澪が見てて哀れで……」
かたかた震えてるその姿は捕食者におびえる小動物のごとしだ。見ようによってはかわいいのかもしれないが、俺個人としては早く決めて楽にしてやりたい。各クラス一人は、絶対条件だ。
「なははは。和むじゃろうて。壊すのも忍びなかろう」
「そうかもしれませんけどね……」
基本的にこの手のイベントにクラスの女子は消極的なのだ。となると、いずれは澪に白羽の矢が立つのは必定だろう。見ていて哀れな小動物がもっと哀れになるのだ、あまり見ていて心地のいいものではない。
「ふむぅ……ナギは澪が嫌いかね?」
「はい?」
「ふひゅぇ!?」
隣から絶叫ひとつ。皆が振り向き、狩人さんが笑う。
「あの、どこをどうひねればそんな言葉が……?」
「なははは、なに、単純なことよ。澪のことを好いとるのなら通うに艶姿に興味を持とうというもの。ほれ、ミスコンの際にはそれなりの装いが支給されようが。ひととし前にわしもそれはそれは美しき着物にて飾りつけたものじゃがな。わしのようながさつな女子と違うて澪はお淑やかな大和撫子にも、可憐なる花にも成り出でる。想像するだに、さぞかし美しかろうて」
言われて俺は想像してみる。澪の現在の立ち姿の着衣を別の……そうだな、緋色の着物にでも変えて…と。
あ、確かに。
「想像に及ばなかったのなら別じゃが、想像しておったのなら澪を嫌ろうておると思われても仕方なかろうて。して、真意はどちらなのかのぅ、ナギや」
「むむむむむ……」
後方からにやにや笑い、隣席からじぃーっとこっちを見つめる目線。
………なんだ、このモテモテ主人公ちっくな状況は。俺はそんなに恋愛感情を抱かれる覚えも、抱いているつもりもないんだが……
「いや、好きか嫌いかなら好きなほうに入ってるつもりなんですけどね……」
「ふむぅ…なら先ほどの勘ぐりは前者のほうであった、ということかぇ?」
「ええ、そういうことですよ。見てみたいような気も、しないでもないんですが……」
まあ、本人が出ないって言ってるんだから「「出ます!」」見ようもない、か。
……って、あれ?
教室が静寂に包まれる。
立ち上がったのは、二人。両方とも、予想だにしないメンツ。
片方は諦観を決め込んでいたはずのカノン・クロスフォードがその人。いつものごとく無表情無感動な氷像の美貌をゆがめることなく、自然と立っている。が、問題なのはそこじゃない。確かにこっちが立ってるのも問題といえば問題なのだが、らしいからしくないかの問題に過ぎない。
だが、もう片方。
修羅崎 澪が立候補しているのは、どういうわけなんだ?
あのおとなしげな顔を真っ赤に染めて、羞恥心から顔をうつむけて、
それでも確かに、立候補してるぞ?
「……え……と、カノンと――修羅崎さん? 一応聞くけど、ホントに立候補でいいのね?」
「問題なく」
「…………はいっ」
「…なら、うちのクラスからのミスコン出場者は、これで決定で、いい?」
「いやいや、何やら面白そうな雲行きじゃ、わしも出させてもらう」
「っ、狩人さんまで?」
どうやら、
今度の緑葉祭は、ひと波乱ありそうだった。
いろいろな意味で。




