迷宮最終層~九首龍戦~⑤
アスールの放った火弾を吸い込んだ闇は、少しの間空中に漂った後消失した。おそらくこれが闇の能力なのだろう。
「アスール。あの闇を超えてダメージをあいつに与えることは出来るのか?」
「・・・・・多分無理。あの闇魔法は多分下級。さっき私が放った火弾も下級ではあるけど、闇に影響がなかったところを見ると、他の属性魔法での中級に近い威力があると思う」
「じゃあ、物理で攻撃するしかないかぁ~」
「ううん。多分光魔法ならば対抗できると思う。あと時空魔法も。あの闇は色々吸い込むむことは出来るだろうけど、実際は魔力を吸い取ってるだけだと思う。他の物は、その魔力につられて引っ張られているだけ」
「でも魔法は魔力で出来ているんだろ?」
「光魔法は魔力を使って光をさせる。そこまでは他と同じ。でも一か所だけ違うところがある。闇は光がなければできない。言い方を変えると、光と闇は反発しあう存在ということ。闇は光を吸うことは出来るだろうけど、一気に吸いきることは出来ないと思う。そして、時空魔法。時空魔法であの闇を封じることが出来る可能性がある。時空魔法はその周りの魔素を固定することでの空間固定と、逆に辺りを自分の魔力で満たすことで出来る時間固定ができる。時間固定の方は闇に吸い取られるから意味はない。けど空間固定ならば、闇の周りの魔素を固定して吸えなくできる。ただ問題が一つある。あの闇をあいつがいくつ作れるのかという事。私が止められるのは多くても十個が限界」
「俺も使えるけど、たぶん戦いながらだと五個くらいまでしかできない」
「だったら、短期決戦。私が空間固定と時間固定を同時に行う。対象はあいつ。白夜があいつの付近に近づいたら解除する。チャンスは一回限り。ファイト」
「はぁ、そうなるよな。じゃあ、行くぞ!」
こうして、九頭竜との最終決戦が始まった。