少女の名
お久しぶりです。
期間がとても空いたお詫びもかねて、いつもより少し長くなっております。
また、他の作品を幾つか投稿していますのでそちらもお願いします。
白夜の知る吸血鬼族とは違う見た目をした少女は、先程の百足を倒した後に気絶してしまった。
白夜の知る限りでは、少女の使用した『凍土』は、上級魔法とされていた。
白夜も使えなくはないが、1度使用したらそのまま1日行動できなくなるだろう。
白夜は一応少女に回復魔法をかけておいたが、ダメージを受けていた様子もなく、ただ魔力切れを起こしているだけのようだ。
白夜は先日倒したレッドグリズリーの肉を取り出した。調味料は塩だけしかないが、疲れているので塩分をとることも同時にできる。
白夜はレッドグリズリーを食べ終えたあと、勝手に助けたという負い目もあってか少女をおいて、その場を立ち去ることを躊躇った。
その場で1日ほどたつと少女が声を出した。
「う~ん。ムニャムニャ」
「ん?・・・まだ、寝ているのか」
白夜も疲れがたまった状態での二徹はきつかったのか眠ってしまった。
「起きて。起きて」
白夜が起きると目の前には、少女の顔があった。少女が白夜に股がっていたこともあり白夜は顔を赤くした。
「あら、緊張しているの?それとも、恥ずかしいの?」
少女は白夜の顔色が変わったことに気付くと、問い詰めてきた。
「そんな分けねぇだろ。ほら、さっさと脚から降りろ」
「残念ね。興奮しているものかと思ったのだけど、違かったのね」
少女は反省した様子もなく、そう言うと白夜の脚から降りた。
「腹減ってないか?肉ならあるぞ」
「私は肉よりも欲しいものが2つあるわ」
「なんだよ?言ってみろ。俺に与えられるものならやるよ」
「言質は取ったわよ。私が欲しいのは、名前とあなたの血よ。貴方の血はとても美味しそうなの」
少女はそう言うと地面に手を着きながら白夜に迫ってきた。
「いやいや、待て。名前はともかくとして、血って何だ。血って」
「何も不思議なことは無いじゃない。私は吸血鬼よ。血を吸うのは当たり前よ。何年ものん・・・吸っていないから喉が渇いたの」
「はあ、分かったよ。お前の名前は・・・・・そうだな。髪や目の色から取ってアスールなんてどうだ?俺のいた世界の言葉の1つで青を表すんだ。血はどうするかなぁ~」
少女、もといアスールは期待した目で無言の圧力をかけてくる。
「・・・・・・(じ~)」
「・・・分かった。血をやるよ」
「ありがとう。では、飲ませてもらうわね」
アスールはそう言うと白夜の後ろから顔を近づけてきた。白夜の顔も徐々に赤く染まっていく。
アスールの顔はすでに上気していて真っ赤だ。
「いただきます。あーん。(ちゅ~)」
1分ほど経つと少女は白夜の首筋から口を離した。
「ありがとう。とても美味しかったわ」
そう言ったアスールの顔はとても真っ赤で、妖艶に見えた。