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幻惑的な恋人
「もう何年くらいですか?」
「20年くらいかな…」
「その割には
キレイですね」
「あ
15年くらいかも」
洗面所の水回りが
壊れてしまった
修理に来てくれた
作業員の男性に尋ねられて
そうか
もうこの家を建てて
15年になるのか
と思う
もう
と言うか
まだ
と言うか
その辺は
よく分からないけど…
「何人で
お住まいなんですか?」
「3人です」
「こんな大きな家に3人?
ご主人とお子さん?」
「ええ、まあ…」
少し身構える
ちょっと馴れ馴れしい?
初対面で
いきなり馴れ馴れしいのは
苦手だった
修理にかかった費用は
6万円
クレジットで支払う
「ご主人に相談しなくていいの?」
「は?」
「大金だから」
「ああ、ええ、まあ・・・」