3
よし!どうなる事かと思ったが、どうにか隆太のやる気をだす事に成功したみたいだ。
「和也っ。必要な物もって早くいこう!」
「あっ、、、、あ~、うん。ね?」
手分けして、お互いがお互いのカバンに物を集め出した。オレは500mlの水にブロックタイプの携帯食糧、懐中電灯に電池の束、ライター数個に簡易医療キットを詰めた。
そして10分程して、
「さあいこうか!」
「あ~、はいはい」
オレは隆太の先導の下、長らく世話になったコンビニを後にした。
5m×5m、、、、コンクリートの通路は規則的に延びている。空のない世界。灯りは等間隔に電灯が並んでいる。両際の暗がりには、ライトを照らすも晴れない闇。
「段取りはわかってるよな?」
こんな不気味で見当もつかないようなコンクリートの迷宮。オレ達には他にも山ほどわからない難題があるだろう。だが、ひとつだけわかっている難題がある。
「ケンタウロスだよね。ケンタウロスは体が馬と胴体が人間のハイブリッドなんだけど、アイツは逆なんだよね。だから使える方法がこれなんだけど、、、、」
隆太は渋い顔をオレに向ける。言うな!そんな事わかっているさ!だが、オレには他になにも思い浮かばないんだ。
「いけるさ。形はおかしくても馬だろ?なら、いけるさ」
オレ達はコンビニに閉じ込められた時、食べ物は腐るため冷凍庫に全部詰め込んだんだ。その中には肉はもちろん野菜もある。
当然だが隆太はゴねたさ。勇者だアリスだ言われたところでこんな無茶ができるわけがない。
そんな事オレもわかってるよ。だが、このコンクリートの一本道で、現状あの人間を引きちぎる怪力をもつミノタウロスに遭遇した場合、これ以外どうしようもないのだ。
ほら見ろ!コツコツと遠くからケンタウロスの足音が聞こえた。
オレと隆太はお互い頷いて、例の物を取り付けたビニール紐をヒュンヒュンと回し始めた。
「ギ~?」
きた!一瞬ミノタウロスの鳴き声が聞こえ、次には暗がりからシルエットがハッキリしだした。
いつ見ても異様だ。牛頭の化物がスーツなんて着ているんだから。
『よし!角に引っかけれたら!』
オレと隆太は左右にわかれており、めいっぱいに壁にはりつき暗がりの中でチャンスを伺っている。
ミノタウロスからは紐の回転音しか聞こえてないはずだ!
慎重に時を待つ。
「あ!ごめ!」
嘘だろ!?隆太はあろう事か振り回していた最終兵器を指からすっぽ抜かせていたのだ!
「なんだ貴様ら?」
「しゃべった!?」
しかもそのせいでミノタウロスには二人とも見つかり、更にそのミノタウロスは人語を話す始末、、、、
「くっそがあ!!」
だが、オレはこれを好機と捉え、ミノタウロスの角目掛けて、紐のついた人参を投げ放った!