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「この漫画ももう飽きたでござるよ」
「オレハシンケンナンダガ!?」
隆太とは小、中学校の一時つるんでいたが高校がお互い別々になったから疎遠になっていた。
こんな事がなければ会う事なんてもうないと思ってたぐらいだ。
「隆太、あのな。っっっっっっうっっっっ!?」
「かっ、、、和也!?」
他に方法があったのなら教えてくれ。オレはそんなに勉強できるわけではない。だが、そんなオレにも羞恥心というものはあるんだ。
「あばっ、、、あばばばばばば」
「おいっ!カズヤ!?」
食糧が切れる前にここから出るんだ、却下。
ここにずっといたら狂いそうだ、却下。
牛人間、ミノタウロスだって寝るだろ?却下。
オレだけで行くわ。却下。
こんな不毛なやり取りを経て、オレがたどり着いた境地は、
「ブブブブ、、、タス、、、ブブブブ、ケテ」
「へ!?」
「ブブブブンピ~ピピピ、ワタ、、、シはアリ、ピ、アリス」
声色を変え、誰か適当な名前をつけたキャラをつくりあげ、
『とり憑かれたフリをする』
「アリス?」
「あな、たピ、、、ピピ、、、は選ばれた、、、、ピピ、勇者」
「え?」
「ピピ、『あ~めんどくせ!』シンクロ完了。私はアリス、今は囚われの身でどうする事もできません。だから必要な事をあなたに伝えます。まず、あなたは選ばれた勇者です。ミノタウロスを初めとする数多くの試練を越える事であなたは勇者として完成していきます。」
「ゆっ、、、勇者?」
「あっ!敵が‼お願いいたします!勇者となって私を助けに来て!」
「むむむむむ、、、、、、わかったでゴザルよ!」
畜生!こんなアホな事が簡単に通るなんて‼だが、こんなバカな事で葛藤してる時間ももったいない。オレは最期の詰めにでた。
「はっ!?さっきのイメージは?」
隆太から復唱されるのも癪だったから、オレははじめから理解+αしている事にした。
αというのは今後もスムーズにいかせるための、いわばごねられたら設定を後付けして説得させるためのパチだ。
「和也っ、、、、話はわかるね?」
「あ、ああ。今は世界がおかしくなって、どうにかできるのはアリスって女の子と、、、、勇者のおまえだけ、、、、みたいだな」
「え?世界っておかしくなってるの?」
しまった、、、、思わず変な事を口走ってしまった。だがしかたない。
「あっ。すまん。よくわかってないんだよな。けどさ?こういうのおまえの方が詳しいだろ?」
くっそ。苦し紛れにも程があるだろ!オレは心の中で舌打ちをし、隆太の返答に身構えた。
「う~ん。世界がどうのっていうのはわからないけど、今 なにかが起きてて、アリスちゃんを助けないといけないのはわかったよ。」