第4話
しかし装備が銅でできた剣と
母親が作ってくれた布の服だけではな…。
武器や防具の売っている店へ行ってみるか。
国王様からもらった50ゴールドで何か買えるかもしれない。
俺は今まで行ったこともなかった、
武器や防具の売っている店へ足を運んでみることにした。
店内に足を踏み入れると、
いらっしゃい、自由に手にとって見てくれ
と声をかけてくれる店主。
俺は遠慮なく、店内を見て回った。
まずは防具のコーナーから。
ぬののふく 10ゴールド
たびびとのふく 70ゴールド
かわのよろい 150ゴールド
…!?高い!!
俺が今来ているのは布の服だ。母親が手作りしてくれた
この布の服と防御力はさほど変わらなさそうに見える
ぬののふく…10ゴールドもすんのかよこれ。
そして一見、布の服と何も違いが分からないたびびとのふく…
何でこれが70ゴールドもするのか全く意味が分からない。
いや、俺が分からないだけで本当は値段分の価値があるんだろうけど。
そうだ、武器…じゃあ武器はどうだ。
防具コーナーとは反対側に位置する、武器のコーナーも見てみると、
そこには…。
ひのきのぼう 5ゴールド
こんぼう 30ゴールド
どうのつるぎ 100ゴールド
…!!!た、高い!!
しかも、国王様にもらった銅でできた剣が一番高い!!
国王様はこの街で売っているものの中でも一番良い武器をくれたんだな…。
とりあえず”今の俺が買える、買って意義のあるもの”は何もないということが分かった。
俺は何も買わずに店を後にした。
じゃあ、次は旅に役立つ道具が売ってそうな店に行ってみよう。
俺は武器と防具の店のすぐそばにある道具屋へも行ってみることに。
店内に足を踏み入れると、
恰幅のよい店主が一言、いらっしゃいませと声をかけてくれた。
やくそう 8ゴールド
どくけしそう 10ゴールド
キマイラのつばさ 25ゴールド
売っている、旅の役に立ちそうな道具はこの3つだけだった。
他にも、小麦粉やら野菜やら雑貨やら、と
生活に使うものはそれなりに揃っていたが、
今の俺には必要ない。
さっき武器と防具の店へまず訪れる前にすれ違ったお姉さんも、
「旅に出るなら薬草は買っておいた方が良いわよ」
って言ってたし…ということで、とりあえず薬草を買うことにした。
あとは毒を持った魔物と戦うこともあるだろうし毒消し草も…
キマイラのつばさ、というのは魔物の一種であるキマイラから採れる
貴重なアイテムで、一対の翼状になっているこのアイテムを使う時には背中につけて使う。
すると”行ったことのある場所”の中でも、”今もっとも行きたい場所”へ
ひとっ飛びで飛んでいけるという便利な代物だ。
ちなみに何故そういう効果があるのかは分かっていないらしい。
…いつ必要になるか分からないもの、ってのは持ってても損はしなさそうだ。
ということで、キマイラの翼も1つ買ってみることにする。
薬草1つ、毒消し草1つ、キマイラの翼1つ。
これだけ買って残ったお金は7ゴールドしかなかった。
俺は道具の店を後にした。
とりあえず今の俺に必要なのは…防具。
少しでも強そうな防具を身につけたいところだけど、
立派な皮の鎧となると150ゴールド…。到底買えるもんじゃない。
…装備は心許無いが、俺にこの街でできることは、今のところもう無さそうだ。
街の外へ行ってみるか。
…魔物のいる、街の外。
果たして今の俺にどこまでできるのかは分からないけど。
俺は、街の外へと一歩を踏み出した。