青年と犬
道を青年と雑種と思われる犬が散歩している。
はたから見れば、別にどうっうて事無い日常風景であるが、その犬と青年にとってはこれが最後の思い出となるのだ。
青年は仕事中に倒れ、診断の結果末期の癌だった、医者によると余命は一週間
青年は助からないなら愛犬と、最後の時まで過ごしたいと思い、治療を拒み続けた
案の定体は日に日に弱り死へと近づいて行った、ついにはベッドから起き上がれなくなった。
青年は願った、最後の思い出に犬と散歩に行きたいと
翌日青年に奇跡は起きた。
青年は一歩一歩を踏みしめるように歩いていく、息が切れて、のどからヒューヒュー音がしているずいぶんと苦しそうだ、犬はそれを分かっているのか、青年のペースに合わせて歩いている。
「ハッピー散歩久しぶりだね、久しぶりだから少し疲れたよ」
青年はカラカラと明るく笑う、まるで何事もないかのように。
「ワン」
ハッピーは明るく吠えた。
ハッピーはすべて知っていた、知っていたがあえて知らない振りをしていた
青年と犬はかつてよくフリスビーをしていた広場のベンチに腰を下ろした
「ハッピー・・・ありがとう・・僕ハッピーの飼い主でよかったよ・・・でも・・もう少しそばにいたかった」
青年に一瞬だけ影が差した言うな気がした
日が暮れ家へ帰る途中青年は激しくせき込み吐血し倒れた
すぐに病院に搬送されたが間に合わなかった
心なしか青年の死に顔は笑っているように見えた
その数日後犬は青年の墓の前で寄り添うようにして死んでいた