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三話 初陣

 バルト城があるザザンの街を出発して3日が 過ぎた朝、ベオウルフ達討伐隊は道端で休憩し ていた。


「ルメノ兵士長、後どの位でミノー村に着くん だ?」


 ベオウルフは剣の手入れをしながら討伐隊の 指揮官ルメノ兵士長に聞いた。


「予定では昼過ぎに到着予定ですが、この分だ と昼前に着きそうですな」


 ミノー村に到着次第ミノー村を越えた道に盗 賊が出没したと言う場所を確認するのが第一目 標。


 確認したら周囲の森や山を散策し盗賊団のア ジトを発見、もしくはある程度絞りこむのが第 二目標。


そして討伐が今回の大まかな作戦だ、ベオウ ルフ達や初陣組、新兵達は、出発時は多少の緊 張があったが3日が過ぎた今、緊張も薄れ程よ い警戒心で落ち着いていた。


「なんでミノー村周辺にアジトなんか造ったん だ?」


「ミノーに来る商隊が目当てなのでは?」


 ガルの言うようにミノーに来る商隊が2件被 害に遭っていた。


「どうせ狙うならザザンの街近くに居た方が一 杯襲えるんじゃねえか?」


 ロイが自分ならそうすると言いたげに問う。


「ザザンに俺達の城があるんだ、そんな近くで 襲ってたらその日に討伐されるだろ」


「ああ、そうか」


「ザザンに限らず、街ではなく村の近くにアジ トを置くって事はそれほどの規模じゃないって 事ですか?」


ガルが冷静に分析する。今まで黙って聞いて いたルメノ兵士長が答える。


「ああ、事前報告では奴等は最近バルト伯領に 流れて来たらしいし、小規模だと考えられる。 まあ、初陣には丁度良い案件ですな」


「…そうだな」


 ベオウルフは少し気になったが一人考え過ぎかなと深く考える のを止めた。休憩を終えミノー村に向かった。





 現バルト領内では敵国と膠着状態が続き平穏な空気が流れていて、数年前の大規模な出兵以来大きな問題もなく、やや内政向きにバルト領内の舵が取られていた。

 どんなに平穏な状態でも中には仕事に失敗した者や貧しい者等が発生し、犯罪に走る者が現れる。それはどの領内でも一定数存在し領主達の悩みの種であった。





―――







 バルト領内に多数存在する村落のひとで人口千に満たない小さな村、ミノー村にベオウルフ達は到着した。警戒心は有れど比較的平和な様子で村人達はさほど盗賊達を気にしてはいないようにベオウルフ達討伐隊を迎え入れた。



「これはこれは、皆さま方ご無事に到着何よりにけがざいます。」


 村長達数名に出迎えられ馬を降りたベオウルフ達は盗賊事件の話しを聞く。


「では盗賊事件に関して詳しく説明お願いします」


「はい、説明と言われしても…」




 ルメノ兵士長に問われた村長は、隣町から定期的に来る商隊が襲われたと、良くある事の様に簡単に説明した。




「盗賊と言っても脅して奪っただけか」


「やはり小規模な盗賊団みたいだね」


 ロイとガルがそれほどたいした事件じゃないと話していた。



 ベオウルフ達は小休止の後、直ぐに盗賊団のアジト探索を始めた。直ぐに盗賊団のアジトは見つかりミノー村近くの山岳地帯の丘の上の古い大きな物置小屋に居を構えていた、この物置はミノー村の田畑開拓の時に使われていたらしいが、今は使われておらず物もたいして入っていないとの事。


「さて、どうしましょうかね」


 ルメノ兵士長はベオウルフに伺うように呟いた。


「俺の事は気にするな、指揮官はあんただ」


 ルメノ兵士長が貴族で領主の息子である、ベオウルフに度々様子を伺っていたのは分かっていたが、成人しておらず正式な初陣でもない、ベオウルフに指揮権はない。ロイの初陣に勝手にガルと共に着いてきただけなのだ。


「分かりました。

では二手に別れて前後に囲いましょう」


 ルメノ兵士長の命で兵士長を除く討伐隊22名を半分に別けて、ベテラン兵士5名新兵3名初陣2名見習い1名をルメノ兵士長が率いてアジトの表側に。


 ベテラン兵士5名新兵2名初陣2名見習い2名をベテラン兵士が率いてアジトの裏側に向かった。



「裏側かよ」


「安心しろ

お前達初陣組と見習いは俺達が守ってやるさ」


 戦う確立の低い裏側に廻されて一人ごちるロイにベテラン兵士が軽口でロイに話していた。


 ロイ達が裏側に廻されたのは領主の息子であるベオウルフが居たからだろう、本人が気にするなと言ってもまだ若く才能豊かな領主の息子に危険を少なくしたいのがルメノ兵士長の優しさだった。




 こうして、ベオウルフ、ロイド、ガルーザスは初陣を飾る。

 初陣とは比較的危険性の少ない場面で戦争や闘争に馴れさせるための場である。



 この初陣が、こんなにも危険を孕んでいるとは誰も思っていなかった。







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